第50話:家電もトラブルも起こる時は何故か連鎖する
第50話になります!
今回もよろしくお願い致しますm(_ _)m
マ神様が魔道具を解除し、皆が陛下へ向けて一斉に頭を垂れる。
いや、早過ぎひん?!
陛下ってヒマが有り余る仕事とちゃうよな!
脳内で盛大にツッコミをかましつつ「良い、面を上げよ」との声で頭を上げ、姿勢を正す。
「脱獄した聖女候補について何やらあったようだが…カンバネリス公爵よ、其方から報告を頼む」
「畏まりてございます」
そうして公爵様から事情説明が入る。
事情の説明は十分程で終わったが、その後の教会関係者と王宮魔法使い達の証言と浄化で変色した塩を見ると案の定陛下は頭を抱えて呻き出した。
ですよねー!でもね、まごうことなき真実なんだよ。飲み込めや。
「公爵よ…浄化の為ならば聖水ではないのか?何故に塩なのだ?」
あ、やっぱそこに思い至る?スルーしてはくれなかったか〜。でも打ち合わせ済みなんだなぁ。残念っ☆
「アルラ嬢曰く、東方の国は浄化に塩を使うと知っていたようで、使ってみた所上手く出来たとの事です。変色の様子はこちらの警備隊長と牢番が目撃しております」
隊長さんと牢番さんが綺麗に礼をする。
「アルラ嬢、ひとつ良いか?」
「アルラ・エールー・アンブロジア、只今陛下の御前に。何なりとご質問を。」
陛下のご指名に頭を下げつつ質問を待つ私。
「塩は邪気を吸うのは見てわかったが、闇堕ちした聖女候補のいた場所はそれ程までに邪気に塗れていた、と言う解釈で良いだろうか」
「その解釈で良いと思われます。事実、塩が変色したのは地下牢と元第一王子殿下の私室だけでした。そこも今は被害を出さない為に既に浄化させていただきました」
「同様の被害は出ると思うか?」
「…恐らく。邪気や呪詛で人を殺められる事を鑑みても無いとは言えませんし、目的あっての脱走ですから邪魔が入れば躊躇わず彼奴はやるかと」
「そうか…。
教会関係者達よ、聖女候補とはいえ闇堕ちし、人を殺めし者をこのまま放置は出来ぬ。今すぐ聖国へ、この証拠の塩を持ち聖帝と大聖女へと連絡を取り、疾く対策にあたれ。そして公爵、伯爵よ、更に頭の痛い事態が起きた」
「もしや、元側近達も逃げましたかな?」
おおぅ、公爵様にマ神様も想定の範囲内だったか。っつーか、マジ逃げたんか。ホント底抜けの馬鹿共だな。
「恐らく、ナサニエルと聖女候補と共に逃げた。各家の使用人達が目撃していたので発見が早かったが…逃げて何処へ向かうつもりだろうな」
ふーっ、と深くため息を吐き、ゲン○ウポーズで苦悩の色濃い表情を浮かべる陛下にマ神様が「それについては西方に逃げた模様です。アルラが浄化の際に邪気を聖女候補の元へと返した時に、邪気は西方に飛び去ったと報告がありました」と補足する。
「西方…?西方に何かあったか?」
「私共にもわかりかねますが、何か目的があって向かっている事には違いない事だけは確かかと。」
「では西方の国境警備隊へ通知と追手を放て。逃してはならぬ。教会関係者も解除が使える者、熟練度が高いものは道中アルラ嬢の呪文を習得しつつ追手に同行せよ!」
「「「「「はっ!」」」」」
危険物を放ったらかしにはしておけないもんねぇ。特に教会、聖国はこれ知ったらヤベェだろ。国が揺らぐわな。
ってか、あの性女のやらかしの返答も来てねぇのに新たな通知って…タイムラグありすぎてさぁ、そっちのほうがヤバくね?
私はマ神様にこっそりと「このままでは聖国の返事は遅れるばかりで役に立たないと思いますので、少しばかり力を貸してもよろしいでしょうか?」と尋ねると「通知だけならば…まぁ良いか。借りも作れるしな」と了解を貰ったので書面が完成次第、爆速で飛ばしてやろうじゃないか。ビビらしたるからな?
早速公爵様に書簡の書き付けをお願いし、私はマ神様に魔石を五つ程融通してもらい、姐さんの魔導書にあった魔法陣を使って伝書鳳凰を作成。魔石三つで聖国までの推進力を、もう一つで電報のように短文の音声を発するように設定、残り一つで単純なプログラムを仕込む。
さぁ、聖国のド肝をぶち抜いていらっしゃい!!
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
聖国 大聖女side
本日の祈りを捧げる為、私は光の王宮の奥庭にある石版と聖泉の元へと歩いていた。
先日、神託により任命した聖女候補がエクサルファ国を揺るがす騒動を起こし、その対応に追われていたので精神の状態を正常に戻さねば私の役目である祈りに支障をきたしてしまう。
神託は絶対のはずなのに…何故斯様な事になったのか。神どころか聖帝様も何も仰っては下さらない。
奥庭に入る前に聖泉から引いてきた聖水に頭まですっぽりと浸かり、邪念を追い払うように精神統一を行ってから洗い立てのペプロスを身に纏い、杖を持ちて祈りを捧げる。
無事に祈りを捧げ、石版と聖泉がふわりと光を放つのを確認した後で私は執務に戻ろうと手早く着換え、大聖女のローブを身に纏うと光の王宮の左にある宮へ羽の様に広がった渡り廊下を歩いていた時、それは起きた。
キラキラと金色の光を放ちながら、尾羽根の長い鳥が北西の方角から一直線にこちらへ向かって飛んでくると、優雅に光の王宮をくるりと旋回する。
何て神々しい鳥なのかしら…。ほうっとその鳥に見惚れていると、鳥はこちらへ向かい口を開いた。
「我ハ、エクサルファ国ヨリノ使者!聖国、大聖女様へ急報!コチラノ書簡ト瓶ヲ受ケ取ラレタシ!」
金の神々しい鳥は魔法を解くと、エクサルファ国の紋章封蝋が押された書簡と禍々しい穢れ、邪気に満ちた瓶が魔石に守られてふわり、ふわりと落ちてくる。
側付きの女官がそれを受け取ると、私の元へと歩み寄り、跪いてそれを差し出す。
書簡を広げて読むこと暫し。
あ、んの…小娘……っ!!
何て事を!!
よりによって『闇堕ち』ですって?聖国の聖職者達は常に信仰により、己を律し、民の為にその力を振るう事を良しとしている。信仰の深さは光属性を高める為に必要であるし、神のお力を受けやすくする為にも必要な事であるのは聖国の国民どころか教会関係者ならば当たり前に知っている。
しかし、あの娘は…何も学ばなかったようね。神に叛く『闇堕ち』などと…再教育は最早無理。闇に堕ちた聖職者、聖女はもれなく異端審問官により『煉獄』へと生きたまま送られる。『煉獄』は聖職者や聖女にとって死以上に恐れられる刑罰。
バカな娘。作り話か御伽噺と思ったのでしょうね。光の王宮へ来た時、最初に案内したはずなのに。
『煉獄』…そこはまるで光が満ち溢れ、花々が咲き乱れる場所と言われているが詳細は語られていないし生きて帰ってきた者もいない。門番である双子の御使い様により守護された『煉獄』の入り口は『闇堕ち』した者しか入れない。
『闇堕ち』した証拠である、と書かれていた瓶は禍々しい穢れと邪気に塗れていて、ひと目でそれとわかるモノだった。
これは…聖国だけならまだしも、多国家にまたがる件は私の手には正直余る。政治的駆け引きに加えて、信仰をも疑われてしまう事態になってしまうのが宗教国家の弱点だろう。
急いで聖帝様にお知らせし、指示を仰がなければ!
同時にエクサルファ国の教会関係者達の、いや、その上層部の無能さに歯噛みする。何と無能な事か!彼の国には風魔法をこのように伝達出来る、素晴らしい魔法が存在するのに、未だ早馬を乗り継いでの伝達手段しか取れぬとは…更には『闇堕ち』を闇魔法と誤認し騒ぎ立てるなど言語道断!このような愚か者は推薦者共々、いち奉仕者から扱き倒してしまいましょう。
鬼気迫る私の表情に女官達が怯えるが、今はそんな事を気にしている場合ではない!
来た道を引き返し、私は聖帝様の執務室へと駆け急ぐ。
光の双子神よ……何卒、無辜の民をお守り下さい…。
今日は編集作業その他諸々に追われるハメに…。
帰宅したら、かぼちゃのツルが三日でビロビロに伸びていて成長にビビりました(^_^;)
そして星は安定のやらかしです(苦笑)
大聖女は聖帝様の次にエライ人ですが、中間管理職の悲哀がちょっぴり漂っておりますね…。
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