第47話:お婆ちゃんの知恵袋よりしゅごい古代の知恵
第47話になります!
今回もよろしくお願い致しますm(_ _)m
おーおー。教会関係者全員真っ青になってんぞ?誰かひとり位思い至れよ。馬鹿しかいねぇのか?
「ご令嬢、よろしいでしょうか?」
うん?さっきまで呪詛背負ってた兄さんか。「どうしました?」と返事をすると兄さんは「貴女様の仰る通り、我々の光魔法は効きませんでした…先程は呪詛を治療していただきましたが、あれも消滅までは至らなかった。我々はどうしたら良いのでしょうか…」めっちゃ悲壮感漂わせながら私に問う。
私は兄さんの肩に手を置きながら「貴方のような方もいるのですね」と前置きしてから言う。
「今から闇堕ちした聖女候補の呪詛を取り除きます!が!私はやられたら倍にして返す性格ですので、皆様の呪詛を取り除いたのち、その呪詛を聖女候補に返します。
呪詛にやられた方々をこちらへ集めて下さい!」
騎士や兵士、教会関係者が一丸となり呪詛被害にあった人々を一か所に集める。
うーん。何の呪詛かわからんが、残滓だけでコレは無いわ〜。直撃したら死ぬレベルだもんな。あっちの世界の即死系呪詛だってかなり難儀な上に作法だってクソ難しかったはず。暴れ出したり憑依される前にさっさと性女にぶん投げますかね。
「只今から儀式に入ります。終わるまでは皆様、静粛にお願い致します」
深呼吸五回から浅い呼吸七回の呼吸法で集中力を高め、柏手を三回打つ。
先ずは「おん あぼきゃ べえろしゃのう〜」と光明真言から始まり、三度唱え終わるとまた三度柏手を打つ。
それから「呪詛諸毒薬所欲害身者念彼観音力還著於本人」と観音経を唱え、柏手ひとつ打ち、真言宗の「生霊死霊を切りて放てよ梓弓、引き取り給え経の文字」を唱えダメ押しにいざなぎ流の不動明王生霊返し呪を噛まないよう唱える。
「祓い給え清め給え、神ながら守り給え、幸わえ給え。六根清浄急々如律令。神恩感謝」
再び三度柏手を打ち、呪詛の被害者達に手を向け「ア・プロセウケスタイ・カタラ・ベイロゥ・エピストロフィ!」と呪い解除、呪い返しの光魔法を唱えた途端、黒いモヤが被害者達の体からズルッと抜け、サイクロン掃除機の様にグルグルと渦を巻き出し空へ浮かぶと呪符を一枚飛ばしてから「呪いの元へ帰れ!急々如律令!」と命じると西方へ向かい飛び去った。
うっし!上手くいったぜオルァァァ!!呪い返しは倍以上がテッパンだし性女にはダメージを喰らわす事が出来たな。
いつ発動するかわからんけど。
「はい、よろしいですよ〜。さて、皆様具合は大丈夫でしょうか?」
被害者達の側に膝をついて容態を確認しながら意識チェックと脈の確認をしていると、先程の兄さんが「あの、ご令嬢?さっきの呪文は…」と聞いてきたので、あっさりと「光魔法の呪い解除の呪文に呪い返しを混ぜ込んだ神への祈りの複合呪文ですよ〜。流石に闇堕ち聖女の呪詛は短詠唱だけでは無理だと判断しました」と教えると「何と…」何だか知らんがガックリと項垂れてーら。邪魔だな。いや、教会関係者として今まで何してたんだよ、マジで。ただの呪いとかなら普通にあるんじゃねぇの?
被害者達は「う…気持ち悪さが、取れた?」「痛みが無い…無いぞ?!」「気持ちが落ち着いた…」「憎い…憎い…憎、くない?」やら言いながらも回復したのはわかった様子。皆、むくりと起き上がってあちこち確認している。うん、良かったね♪
首をコキコキ鳴らして凝りを解すと、くるりと隊長さんに向き直り、ひとつお願いをする。
「隊長さん、申し訳ないのですが…王宮の厨房でこれくらいの壺いっぱいの塩を二つ手配できませんでしょうか?」
「…塩、ですか?」
「はい、塩です。この闇堕ち聖女の残滓は残しておけません。これを祓う為に必要なのですよ」
「あ、はぁ…ではそのように」
西洋の凶祓いは聖水だが、日本は天然塩、粗塩がマストなのだよ。面倒臭いから説明はしないけどな!
この時代、あっちの世界ほどではないが塩の量産は出来ているので入手しやすい。ただ、量が量なので厨房にある分では足らないだろうけども、街に降りれば大丈夫っしょ。
小一時間程で隊長さんが荷車に塩を積んで持ってきてくれた。「ありがとうございます!大変でしたでしょう、隊長さん」小走りで荷車まで駆け寄り、労いの言葉を言うと隊長さんは「いやぁ、流石に厨房の在庫では足りませんでしたな。街の食材屋に頼んで岩塩を砕いてもらいましたわ」と苦笑しながら牢番さんと壺いっぱいの塩を荷車から下ろす。
「あ、荷車はそのままでお願いします。移動するのに使いますので」と言うと「?わかりました」と何とか了承してもらった。
さて。ではこの塩に浄化と魔除けの力を付与しますか!
塩の入った壺の封を開け、柏手を三度打ち護符を乗せて手を置く。
「大御 神祝 神惟」と初めに唱え、祓詞、大祓詞、ひふみ祝詞、龍神祝詞、略祓詞、略拝詞を次々に奏上する。鳥居祝詞は今回はパス。
唱え終わると地面へと座り、壺の塩に更なる付与を施す手印を仕込み、最後に光明真言を唱えて終了〜!
試しに塩を舐めてみると…めっちゃ滑らかで美味いし邪気が取れていく。倒れていた人達にもひとつまみ分を舐めてもらい、完全な邪気払いをすると何でか「!?」みたいなリアクションされた。こっちの人にもバッチリ効いたようで何よりだよ。
とりあえず牢番さんから借りた箱に壺から塩をザックザックと掬い取り、それを持ちながら地下牢入口から塩を撒きつつ大祓詞を唱えながら降りていく。牢に到達すると中に容赦無く塩をバンバン水戸泉並みにブチ撒き、柏手を打ち不動明王火界呪を唱えながら印を組む。すると、最初にブチ撒いた真っ白な塩がじわじわと茶色く変色していく。箱を持ってもらっている隊長さんは「これ、は…!」と驚いているも、私も今は真言を唱えなきゃならんので答えられない。
唱えながら箱から塩を追加でバンバン撒いていく。撒かれる度に変色する塩。三度目の火界呪で塩の変色は止み、漸く浄化が終わった。
「白の戦乙女様…今のは何だったのでしょう?塩が茶色くなるとは…」
うん、まぁそんな疑問は湧くよな。
これはあっちの世界でもあったんだけど念がこびりついた宝石やら天然石の数珠やらによくある現象なんだよな。
「あれが穢れ、呪詛、邪気です。あの塩は、魔除けと浄化の力を強めていますが、凶祓いの呪文を唱えても更なる塩の追加と呪文が要求される程強く残っておりました」
「あれが、邪気や穢れ…実際目にすると驚きますな…」
それが一般的な反応です。
私も初めて見た時は驚くよりもビビりましたよ?マジ怖ぇもん!
「それも今、無くなりましたから大丈夫ですよ♪ではこの護符を貼ってから戻りましょう」ペタリと護符を壁に貼り付け、風魔法で撒いた塩を回収しながら上へと戻り、使った塩は、火魔法の温度を高温にし気体にする。突如上がった黄色い炎に驚かれるも、邪気を吸った塩を燃やしたらこうなった、と端折って話したら納得されたわ。
次は塩を荷車に積み、性女が辿ったルートに沿ってさっきみたいに塩を撒きながら大祓詞をつつ清めていく。
流石に王宮内で荷車は使えないので、隊長さんと牢番さんに台車を借りて押してもらいながら作業を進める。
…かな〜り奇異の目で見られたけどな。
被害者がいた所には柏手を打ち、花瓶から花を抜き取り供えて手を合わせてから観音経を唱え手を合わせる。
「その行為は何なのですか?」と不思議そうに言われたので「死した方への弔いと餞、そして迷わず未練を残さず、あるべき場所へ逝ける呪文です」切ない表情で答える。
隊長さんと牢番さんはそれを聞くと「ありがとうございます、白の戦乙女様」片膝をつき騎士の礼をとる。死が身近な彼等だからこその感謝だろう。戦場では弔う事すら出来ないのだから。
「いいえ、これは当然の事です。ですから…これが終わるまではお付き合い下さいね」
微笑しながら私は言う。彼等は「勿論ですとも!」と力強く言い切った。
ちまちまと浄化、弔いをしながら漸く元第一王子の私室へと辿り着き、扉を開けてもらうと…地下牢と同じ位禍々しい邪気に満ちていた。
どうせここで最後だから、浄化塩の大盤振る舞いしたんぞゴルァァァァァァ!!
塩を握り、お高そうな絨毯が真っ白になるまでぶん投げてから不動明王火界呪を唱え印を組むと、やはりここも塩がじわじわと茶色く変色していく。牢番さんは初めて見たから酷く驚いていたが、隊長さんから説明を受け納得していた。
私は追加で塩をバンバンぶん投げる。特にベッドに。火界呪を唱える度に茶色くなる塩を更にぶん投げ、五度目の火界呪でやっと変色は治まった。塩もちょうど空になったから間に合って良かったよ、マジ。
「はぁ〜!終わったぁぁぁ!隊長さん、牢番さん、お付き合い下さりありがとうございました。無事に終了しました」ぺこりと頭を下げてお礼を言う。二人は「頭をお上げ下さい、白の戦乙女様!私達の方こそ礼を申さねばならないのに」と、少し慌てふためいている。その様子にくすりとしながら「では、締めに入口まで戻りながら塩を回収しましょう」風魔法を発動させながら言う私に「そうですな!そのまま放置したら始末書モノですからなぁ」「私なんて無断で持ち場を離れていますから減給されてしまいますよ」と笑い合いながらゆっくりと歩を進める。
後にこの隊長さんと牢番さんにより私に更なるエピソードと二つ名が付く事になるが、それはほんの少しだけ先の話になる事を私は知らない。
天然塩の浄化はホントに万能かつ使い勝手が良いので重宝してます✧◝(⁰▿⁰)◜✧
ただし天然石のアクセサリーは塩の浄化に適さないものもありますのでご注意を。
そして!
ポイントといいね、ブックマークが増えておりました上に初めて…初めて感想をいただきましたぁぁぁ(´;ω;`)ウッ…
ありがた過ぎてちょっと涙が。
本当に、ありがとうございますっ!ありがとうございます!!
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今回もお読みくださいましてありがとうございましたm(_ _)m
 




