第34話:世界を超えても恐ろしきモノは
第34話になります!
今回もよろしくお願い致しますm(_ _)m
朝、スッキリと目覚めてベッドから降り、身体を確認すると筋肉痛は無かったのでタンパク質と入浴時のマッサージが功を奏した形になった。
よっし!では朝の走り込みから始めますか。
予め従僕のお仕着せ(もちろん新品)を強だ…手配していたので、それを着用し、玄関から出て屋敷の周りをグルグルと周回。
タウンハウスはそんなに広くないので歩数から距離を割り出し、とりあえず1キロのタイムを計測し、そこから計5キロ程走る。
…あかん。アルラもスタミナあんま無いのが発覚。ゼェゼェいいながら芝生にへたり込むとシエナがタオルを持ってギクシャクと歩いてきた。
「せ、星様っ…よく、動けますね…っ!」
「おは、よ、シエナ…。シエ、ナは筋肉痛だから、体動かせば早く治る、よ…アカンわ…スタミナ、無いわ〜」
汗ダラダラの状態から受け取ったタオルで拭う。
あれ?もしかしたらこれ、魔法で酸素作れるんじゃね?水を電気分解すれば酸素作れるし。後は苛性ソーダか重曹があれば完璧!
苛性ソーダは石鹸作るのに必要だし、重曹なら厨房にあったな。
さっきよりはマシになった呼吸で厨房に行き、重曹を小さな壺に入れてもらい、早速試してみる。
水生成!丸くなるようにバランスボール大にしてから重曹投入し、水流を作ってよく溶かしてからの〜雷魔法発動!!
確か電圧上げると酸素生成量が増すはず。エントロピーが何ちゃらとか習ったなー。
ドパァァァン!!
うおっ!加減間違えた!
真正面から水爆発を喰らい、ビシャビシャになる。
途中までは良かったんだけどなー。雷魔法の加減間違って水素に引火しちゃったか。
水浸し&ひっくり返って吹っ飛ぶくらいで済んで良かったわ。
よし、次は間違えない。
水、風、雷の三属性同時発動で水素を上空に逃し、酸素を生成。圧縮したものを吸う。
…おぉ、懐かしい感覚。心肺機能が通常に戻るのがわかる。味も匂いも無いけれど、使い慣れた酸素スプレーのあの感覚。
はぁぁ~気持ち良い♪深呼吸して隅々まで酸素を行き渡らせていたその時、鬼が近づいていたのに気付かなかった。
「星、朝から何を、しているのです?!」
あっ…。お、おはようございます?
姐さんに正座しながらしこたま怒られた後、痺れる足に苦悶しながら部屋まで戻り汗を流す。
朝から怒られると萎えるねー。若干しょんぼりしながら着替えて食堂に向かい、朝食をいただく。
「星、今日のスケジュールは決まっているのか?」
エル兄からの質問に「大方は。これから姐さんと服についての打ち合わせと発注、厨房にて私の独自メニューの打ち合わせ、午後は学業と魔法の勉強と復習、それから筋トレですね」と答える。
「そういえば従僕のお仕着せを持っていってたな。やはり動きを重視しての事か?」
「そうです。ドレスだといいとこ二〜三割しか動けませんし、あのド変態…魔法師団副長の襲撃で痛感いたしましたので、即改善せねばならないと思いまして」
更に、と続ける。
「胸甲も作りたいと考えておりますから、マ神…伯爵様かエルネスト兄様に防具の職人も紹介いただければと」
「何故に胸甲が必要なのだ?」
「掛ける技によって胸が相手に触れるモノもありますから、服越しとは言えアルラの胸を触れさせたくはありませんし、何より」
「「「何より?」」」
「姐さん同様、アルラのお胸も大きめなので激しい運動をするとクーパー靭帯が切れて、乳が垂れます!」
「「「ブフッ!!」」」
マ神様、エル兄、姐さん、家令、シエナが一斉に噴き出した。うっわ、汚いな!
姐さんがカートから銀のトレイをひっ掴んで私の頭に叩きつけた。
クワァ〜ン!と良い音したわぁぁ!!痛ってぇ。
ジェシーは今意味がわかったようで顔を真っ赤にしている。何かゴメンね?
いやぁ、でも胸の形は大事なのよ?マジで。
激しく動いたり、ランニングの着地衝撃でもクーパー靭帯はダメージを受けるから、今朝のランニングはシーツを割いたものでぐるぐる巻きにしてから走ったのだ。
流石にそこはファンタジー補正かからないだろう。
この世界、ブラジャー無いんだもんよ。
寝るときはナイトブラ着用していた身としては安心出来んのよ。デザイン画に補正下着のデザインも入れておいたので、作ってくんないかな。そしたらビスチェとか要らなくなるぞ?
「ゲホッ…星、食事中に言う事では無かったぞ、全く。しかし、あのような事が起きた時に全力を発揮出来ないのはデメリットだな。学園内で起きれば私は対処できないし、必要ならば作るが良い」
「失礼しました。そしてご理解と許可をいただきありがとうございます。」
カトラリーを置いてペコリと頭を下げて礼を述べる。
伯爵家のお金を使うから、許可は必要よね。
さくさくっと朝食を終え、デザイン画を抱えて姐さんが待機しているサロンへ向かう。扉をノックし、「星です」と告げると入室の許可が出たので「失礼致します」と中に入る。
日中に入るサロンは夜とはまた見え方が違って白メインの漆喰細工が遺憾無く発揮された、建築マニアが見たら垂涎モノの、上品さが嫌味なく表現された心地よい空間で私は思わず「ほうっ」と感嘆する。
「星、お座りなさいな」
と姐さんに声を掛けられたのでソファに腰掛ける。
「昨夜デザインをざっと描いてみました。一応シエナにも確認を取りましたが、女性のパンツスタイルにも忌避感が薄いようでしたので、パンツスタイル中心のデザイン画になりますが…」
そう前置きしてデザイン画をテーブルに広げ、姐さんのチェックと修正を受ける。
「驚いたわ、星、貴女絵も描けるのね」
「恥ずかしながら…。以前お渡しした護符などはその通りに書かねば効果が変わるので、絵はそれなりに描けます」
「魔法陣も正確さが要求されるから、その特技は役立つわよきっと。」
うふふと微笑みながら言う姐さんは、休みなくデザイン画を見て修正を入れている。
貴族夫人、スゲェな?!
姐さん付きの侍女であるエメリナが淹れた紅茶を飲みつつ、校正が終わるのを待っていたらピタリとペンが止まった。
終わったかな?と思って覗き込むと補正下着のデザイン画が見えた。
「星?そういえば食事の時に言ってましたが、あの話は本当ですか?」
あの話?クーパー靭帯の事かな?
「クーパー靭帯の事でしょうか?ならば本当の事ですね。女性の体は男性とはまた違っておりまして、胸の筋肉は大胸筋とクーパー靭帯で支えられておりますが、特にこのクーパー靭帯が傷付き切れると胸の形が崩れ、だらんと垂れます」
そう言うと姐さんはゴクリと唾を飲み、エメリナは「ひっ」と小さく悲鳴を上げた。
うん、恐怖だよね。
特に首や手、膝に年齢が現れるのと一緒で乳垂れたらマジでこの世の終わりな感じで悲観するわ。
クーパー靭帯は再生しないし、コラーゲン摂取と合わせて傷付けないようにするしかないのが現状だ。
「それにビスチェは身体の成長や内臓、骨格を歪めるのであまりオススメは出来ませんし、着用するのは貴族だけですからね。だからこその補正下着ですし、簡易版なら庶民まで気軽に着用出来るかと」
ただのセクスィーアイテムに成り下がっていた、この世界の下着に機能性を付与したのだ。これも伯爵家の財政にプラスされると良いな~とは考えている。何てったって美に力を入れる女の執念は凄まじいものだって知ってるからね。
「なるほど…これは良いわね。産後にも助かるアイテムだわ!エメリナ、グレーシー夫人を呼んでちょうだい。これは今すぐ私達が試すべきだわ!」
「勿論です奥様っ!馬車を全速で走らせてまいります!!」
え、ちょ、私の服が先よね?!ごっつ心配になってきた…
女の、美への執念がマジ恐ろしい事を世界が違っても思い知らされました…ハイ。
その後、自分も恩恵にあずかれると知って上機嫌なシエナと共に厨房に向かう私の姿はかなりしょぼくれておりましたとさ。
女性がお金をかけるのは、メイクや基礎化粧品だけじゃないと言うお話ですネー。
そしてナイトブラは優秀。
多分、同意してくださる方もおられるはずっ!!
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今回もお読みくださいましてありがとうございましたm(_ _)m




