第33話:女子は白鳥の如く、人知れず涙ぐましく努力する
第33話になります!
今回もよろしくお願い致しますm(_ _)m
シエナと共に自室に戻り、楽な部屋着に着替える。
ドロワーズ、めっちゃ可愛ぇやんけ!しかもスーピマコットン並みにしっとりスベスベな生地っ!!異世界、いや乙女ゲーム何なん?!
髪をひと括りにしてから机にあったペン軸を簪代わりにして、くるりと髪を絡めて挿すとシエナから悲鳴が上がったが知らん知らん。
これが楽なんだってば。
室内お仕事モードに入った私は紙とペンを片手に、主に筋肉増強及び修復する食材や糖質制限メニューの組み合わせなどをガリガリと覚えているだけ書き込みながら、事の顛末をシエナに話す。
書き物をしながらなので、シエナの表情は見えないが時折「はぁぁ?!」や「またそんな無茶を…」などツッコミが入るので聞こえてはいるのだろう。
ド変態の話になると「げっ!アイツ…あの方、そんなに出世してたんですか?!」とか言っていたので、おそらく伯爵家の騒動も知ってんだろう。
「アイツなー、突然求婚してきよってな。当主の伯爵様すっ飛ばして言ってんのもアカンしエル兄様に言われるまでもなく私の中ではド変態に認定だし、魔法にしか興味無いとか私がいなくなった後のアルラが可哀想だし申し訳ないわ。」
「ド変態…」
「ド変態でえぇやんか、あんなん。無駄にキラキラしいしキモいし生理的に無理!!不幸になるの確定じゃん?いや〜無理無理無理!」
「せ、星、様っ…あはははっ!!侯爵家の跡継ぎをド変態とか…やだ、ピッタリじゃないですか…生理的に無理…ププッ!た、確かにあれは無理…」
シエナよ、ド変態へのストレス解消されてなかったのか…。ゲラゲラ笑って解消したらいいよ。
でも、次に会った時に「おっす、ド変態。元気ぃ?」とか言い出しそうだな。
「そういえば星様、ものっすごいあけすけと言いますか蓮っ葉な口調ですけど、それが素ですか?」
「あーそうね、これが素っちゃあ素かな?私の国は殆ど平民だから。一部のエリート達や知名度ある連中は上級国民って呼ばれてるけどね。まぁ、平民の中にも色々あるっちゃああるんだけども」
「そうなんですねぇ…でも、貴族のように人に仕えられる事に慣れていらっしゃるような感じを受けます」
「そこは家の財力と言うか、そっち系の話になるかなぁ?でも根っ子は戦闘民族なド庶民だから」
ちょっと良いレストランやブティック、美容院に呉服屋やディーラーに行けば受けられる接客術を受けてたらこうなるよ、うん。
ガリガリと忙しなく動かしていたペンを置き、シエナに向き合った私は改めて伝える。
「アルラお嬢様との差が天と地の底くらいあるけども、元に戻るまではよろしく頼むよシエナ」
「お任せください!…何となく、これに慣れないとダメな気がしますので」
その予感は当たるかも知れない。
人はそれを『フラグ』と言うんだよ。
アルラは今、私の知識をどんどん吸収してるからなぁ…化けるかも知れん。うん、黙っとこ。
「そうそう、さっきの続きなんですけれど」とシエナが前置きして話を続ける。
「待ち伏せしてまで星様を狙うなんて、ストーカーに磨きが掛かってますよね、あのド変態。奥様への付きまといより厄介じゃないですか」
「それな!しかも二回目の待ち伏せの時は抱きついてきやがってなぁ。あれ、誰かに見られたら既成事実と捉えかねられんから焦ったわ。
伯爵様がキレなかったらマジピンチだったし。」
「はあぁ?!あのド変態、抱きついてきたんですか?知能の代わりに常識無くしたんですかね?!血統武器をブッ刺してやれば良かったんですよ星様!そしたら再起不能か永眠しましたのに。」
うわ、シエナさん?ちょっと落ち着いて?
そして思ったより血統武器がヤバい代物だと判明。まぁ、ヤバかろうがヤバくなかろうがブッ刺したら永眠になるやろ。
「気持ちはありがたいけども伯爵様がシメてくれたし、後で私とガブリエラ様もあのムカつく面を散々蹴っぱぐってボコボコにしてきたから!」
「流石ですっ!あの顔さえ見れなくしたら価値ダダ下がりですもんね♪」
アレを嫡男にするとか、イェーガー侯爵家は大丈夫なのかね。この国、女系の継承権もあるから他に適当な継嗣はおらんのかな?
「ドレスじゃなかったら、更にボコれたのになぁ…無茶苦茶残念だわぁ〜悔い残ったわ~」
ふぅ、とため息つきながら零すとシエナはうんうんと頷いて「そういえば、ガブリエラ様の婚約破棄騒動での星様は殆ど蹴り技で倒していらっしゃいましたね」と思い出しながら呟いた。
「だってスカートの中身見えたらマズイじゃない?私はいいけど、アルラのピンチじゃん。それはダメだわ。
だから今、戦える服のデザイン画を描いてるのよ。」
食材や調理メニューを書き終え、引き続き描き殴るようにラフデザイン画を描いていた紙を数枚広げる。
「この国で女性がパンツスタイルを着る事は大丈夫なのかな?レオーネがパンツスタイルの騎士服だから受け入れられていると思ったんだけど」
まじまじとデザイン画を見ているシエナに聞いてみる。
「この国には無いデザインですね…でも奥様が良く使われるアヴァロン風の意匠も取り入れられていて、寧ろ新しい流行になりそうじゃないですか?
この、パッと見ドレスですけどスカートの前パーツだけ取り外して動きやすくなるデザインは誰も忌避感を持たないかと。
編み上げブーツも着用されている令嬢もおりますし」
アヴァロン風のデザインって姐さんか、もしくは同じようにこちらに出てきた権力者くらいしか使ってないだろうから、珍しいっちゃ珍しいか。
「星様に変わってから、アルラ様の雰囲気までガラッと変わりましたからねぇ。儚げで可愛らしい雰囲気が、お祭りのような賑々しさと男前な雰囲気に変わって、使用人の中でも結構な人気なんですよ?」
…前略。オカンよ。
貴女の娘は界を超えても性質を変えられなかったようです(泣)
ちくしょおおぉぉぉぉ、マジかあぁぁぁぁ!!アルラ、ごめん!もしかしたら貴女の婚期を遅らせる原因は私になるかも知れぬ…。
少し涙ぐみながら時計を見ると、就寝時間が近づいていたので食べた分の消化の為にもエクササイズしなくちゃな。
勿論、ヒップアップ効果やシェイプアップに興味津々なシエナも付き合わせる。仲間がいれば長続きするアレですね☆
「イチ、ニー、サン、シッ、ニーニッ、サン、シッ!」
カウントしながら黙々と、休み休み体幹と下半身を鍛えるストレッチやエクササイズをこなしていく。
足パカやってたら「あひぃぃぃ〜」とシエナの呻き声が聞こえてくるけど、キッツイよねぇ足パカ。でもな、これ腹筋にも効くから足が細くなるだけじゃなく腹回りの肉も消えるよ〜♪
シエナがランジ三段活用からのヒップスクワットエクササイズで段々と挫折しそうになってきたのでハッパをかけるか。
「キツイかっ、シエナぁぁ!そのっ、キツさがあっ、明日のっ、引き締まった脚にっ!プリケツにっ!なるんだぁぁぁ!!」
ハッとした顔でこちらを見るシエナは「プッ、プリケツ!プリケツとは何ですか?!」と真剣な顔で問う。
「プリケツとはぁぁ!プリッとしたケツっ!プリッとキュッと上がったお尻だぁぁぁ!!」
「プリケツっ!素敵な響きですっ!」
「「目指せ!プリケツっっ!!」」
「プリケツっ!」
「プリケツっ!」
途中から叫びつつ、こなすこと小一時間。
ふぅ、いい汗かいたぁ〜!そしてアルラの筋力の確認も出来た。ここまでやっても足はガクガクしないので、筋力はあっちの女子の並以上あるな。
シエナよ…めっちゃプルップルしてるな…。股関節カッチカチなんじゃね?これやってれば解れるから一緒に続けようぜ!
女子はメイクもですが、こんな感じで涙ぐましく努力しているのよってお話ですね(^_^;)
私は寝ながらストレッチで何故か腰痛起こしました…何故だろう。
普通にストレッチやエクササイズしたら治りましたが、合わなかったのかしら。
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今回もお読みくださいましてありがとうございましたm(_ _)m




