第3話:犬軍団にはノーDQで
主役登場です。
一人称視点で書いてみましたが…メスゴリラ系女子なのでものっそいお口が悪いです(^_^;)
ご注意下さいませm(_ _)m
自分の部屋っぽい所で、ヨドバシカ○ラにある100インチ以上はありそうなモニターで見ていた映像。
地元から取り寄せた、限定のワインを飲みながら自作のチーズにハーブや生ハム、ブラックオリーブやケッパーをトッピングしたものをカナッペにして、それをつまみにぼんやり見ていた。
何かの原作の実写版か、若しくは随分リアルな夢だなぁって思っていたのよ。それまでは。
主役と思わしき女の子の、悲痛な叫びに思わず『私に任せろ!』って感情移入しちゃったのが悪かったのか。
頭痛と視界がチカチカとスパークして、目を瞑ったら…リアルガチだったよ!!
何で?ホワイ?!
今流行のアレか。異世界転生ってヤツか?
とりあえず、ホラー系じゃなくて良かったぁぁぁ!!
…でも、死んだ記憶が無いし実感もないのよねぇ。どうしたもんか。後で検証してみよう。うん。
一番困るのは、このシチュエーション的に考えると、これって『ざまぁ前提の逆ハー断罪劇』ってやつなん?『ライトノベル』は読んでたけれど、『乙女ゲーム』はプレイした事ないからサッパリわからんし、達成条件厳しいヤツだったらラストは世界滅亡系とか?
それよりも何の作品か全 く わ か ら ん。
うはぁ、詰んでね?これ。
いや、でも魔法使えるとかテンションぶち上がるね!うちの猫みたいに障子全ブチ抜きするくらい興奮してるよ。
リアルでもある意味魔法使いだったしな、私(泣)
んん〜?でも男限定のアレだったら女には適用されないのか??ジェンダーフリールールって事で納得しようじゃないか。
この体の持ち主と入れ替わる前に記憶のデフラグが行われていたようで、ひっどい頭痛と脳内チカチカなシナプス可塑性が起きたせいかアルラの今までの記憶がすんなり入ってきた。
よくある脳内の容量オーバーで倒れる→知恵熱発生で2、3日寝込むパターンは起きなかった模様。
現代人は1日で明治時代1年分の情報量を処理してるって言うし、見るからに中世?近世?な時代だから大丈夫だったと思おう、うん。
さて。
アルラ・エールー。
よく頑張った!ビビリの貴女がよくここまで出来たね。
怖かったっしょ?
今だけちょっとおやすみ。
貴女が敬愛する、ガブリエラの分までアイツ等処してやるからさぁ…
あとは、私に――――――任せろ。
デビュタントボールはまだ正式には終わっちゃいないし、コイツ等キンキラ犬軍団に容赦は要らねぇよな?
と、静かに、少しだけ嬉々としながら目の前の犬軍団を、どう処してやろうかシミュレートしていたら
「貴様のような悪女は身分剥奪の上に、国外追放を―――――――――」
何か駄犬がヤベー事言ってんぞ?!
それを言わしたらアカンやつだって、頭の中でガンガン警鐘が鳴っている。
ならば、最後まで言わせない。
魔力を声に乗せて一喝して割り込んだれ。
「何してくれてんだ、この、○○○○野郎共がっっっ!!!」
あ。
しもたぁぁぁぁ!
ムカつき過ぎて、ご令嬢らしからぬ発言叫んでしまったっ…。
何か周りから
「え、今○○○○野郎共って言った?」
「聞き間違い…いえ、言い間違い…かしら?」
「ごめん…噴きそう…(悶)」
めっちゃざわざわしてるしー!!!
やっちまった?私??
言っちゃったモンは仕方無い。
ちらりと横目でアルラの家族を確認したら…何で親父さんが白目剥いて泡吹いてんの?普通は母親が気絶とかじゃないのかな?魔力乗せ過ぎた??
と、とりあえず。
犬軍団に向けて、宣戦布告のご挨拶でもしましょうかね。
そこの脳筋、絶許!
たかが脳筋が呼び捨てに、ましてや“悪女”なんて言っていい人じゃないんだよ、ガブリエラは。
アタマお花畑の、しょっぱいお前等とは違う。
実家の躾の賜物かつ営業用の猫ガン被りモードでにこやかに、優雅に、淑やかに。オマケに威圧もサービス♪
遠慮すんな、こんなもん粗品じゃい。
「アンブロジア伯爵家が一女、アルラ・エールーと申します。このクッソつまらなく噴飯ものの、見る価値も無い茶番劇を終わらせ、畏れ多くも友人でございますガブリエラ・カンバネリス公爵令嬢をお救いします為に参上仕りました次第です。」
私の、人生初のカーテシーを決めつつゴキゲンな宣戦布告を。
さあ、犬軍団。
テメーら、全鏖しにしてやんよォ。
案の定、脳筋っぽい外見のジェイデンがブチ切れてこっち向かって来たな。馬鹿だなー、剣なんて持ってきちゃダメじゃん。たかが騎士見習い、側近見習いの分際で帯剣なんか許される訳ないでしょうに。
あ、剣抜いちゃったよ。トリプル役満で一発アウトー!マジ期待を裏切らねぇな、脳筋はよ。
ガブリエラに当たらないよう、一歩前に進んで防御の形『後屈立』の姿勢で迎え討ちましょうか。
正当防衛って理由を保険で付けておきたいしね。通じるかわからんけど、とりあえずやってみないとね。
両手に魔力を纏わせ、身体強化を発動。
おぉ〜…滑らかに発動出来たよ。ブワッと鳥肌立つほど感動した!オカンよ、娘は魔法使いにジョブチェンジしました。…自分で言っておいてちょっと泣きたい。でも結果オッケー。
アルラは使った事無いみたいだが、知識としてはあるみたいで助かった。アルラの蓄えた知識、めっちゃ助かってるよ!後で頭撫でたげる。
と、内心セルフツッコミしたり褒めたり忙しいが、脳筋よ。型にハマった剣術で、使い手がお遊びでしか修練してない剣なんぞ怖ないわ。
脳筋が剣を振りかぶるその瞬間、スッと息を吸い込み肚から再度叫ぶ。
「正当防衛―――――――っ!」
よし、広間中に響いたから皆聞こえたね?
っつうか動揺すんなや脳筋。剣のスピードも剣筋もガッタガタのブレッブレになってんぞ。
左手の裏拳で剣を弾き落とし、そのまま手首を掴むとカミゴ○変則バージョンで部分身体強化した蹴りを下腹部にブチ込む。
飯伏幸○の最強必殺技で、華々しく巫山戯た断罪劇のブチ壊しを飾ろうじゃないか。
「ぐべぇ!」
とか言いながらアホみたいにぶっ飛んでく脳筋。おおぅ、身体強化しゅごい。
ギリギリ金的近くの下腹部って筋肉薄っすいからダメージ大きいんだよねぇ。ヒールで狙って蹴っぱぐってるから、痛いよね♪
アルラは身長小さめなのでカミゴ○をアレンジしてみたんだけど、ダメージは思ったより大きいので戦闘には暫く戻ってこれないし、小の方を漏らしてる可能性大!だからコイツは放っといて大丈夫だな。
…少だけでなく、大もセットで漏らしてるのを希望するわ。
ヲイ、こら。騎士の命である剣を抜き身で放かしてんじゃねぇよ。
私は綺麗に磨きあげられたそれを拾い上げ、振りかぶると脳筋がブッ飛んでいったほうへぶん投げた。
親切だわぁ、私。感謝せぇよ脳筋。
しっかしこうやって動いてみると、お貴族サマのご令嬢って非力・体力無しって嘘だと思う。
社交ダンス一曲踊るのだって結構体力とスタミナ要るのに毎日レッスンして、パーティじゃ何曲も踊るんでしょ?
あの重たいドレスだって普段着だし、体力無いとか絶対嘘だべ?って当然思うよ。
ヒールも履いてるから脚力と体幹もあるだろうし、コルセットなんて着けているとしたら更に負荷アップの加圧トレーニングじゃん。それでいて痩せてるとか侮れん。
右手をグッパ、グッパしながら感覚を確かめていたら、王子一派、アホ面晒してポカーンとしとんな〜(笑)
ご自慢の顔面偏差値と無駄なキラキラしさが台無しですわ。
やっべ、スマホかカメラ欲しい!!
異世界便利グッズであったりしないかな?
笑い上戸な私の為にも、アルラの願いの為にも、ガブリエラが受けた屈辱を熨斗付けて叩き返す為にも。
品も何もあったもんじゃない、ただただ欲を貫き通すだけで“先”も見据えない、こんな巫山戯た断罪劇は粛々と私が終わらせてやる。
こんなもんじゃ終わらねぇよ?王子サマよォ。
すいっと姿勢を後屈立に構え直して、ブル○ス・リーのように指4本をくいくいっと動かし『かかって来いよ?』と挑発のポーズを。
「よぅし。お前等全員、ストロングスタイルでお仕置き決定な?
剣まで抜いて斬りかかってきたんだ、言い訳も容赦も無しだ!」
アントンが許しても、私が許さねぇからな!
どこからか「カーーーン!」と、ゴングが高らかに鳴り響くのが聞こえた。
補足。
○犬軍団→残念なグループの意味。プロレス用語。
○カミゴ○→飯伏幸太選手の必殺技のひとつ。