第21話:ド変態、現る
第21話になります!
話としては第18話の続きになります。
すみません、ちょっと立て込んでいて遅れました(T_T)
では、今回もよろしくお願い致しますm(_ _)m
目の色が混ざってる??
ホワイ?
何のこっちゃ?
それよりも…首っ…!!マジ攣るから!
「ぬぐおぉぉぉぉぉ…」と小声で痛みに耐えていると、気付いた姐さんがようやくパッと手を放して開放された。
もげるかと思たわ~、痛えぇ。
首を擦っていると、シエナがサッと手鏡を差し出す。それを借りて目を見てみると…
マジだ…
アルラの綺麗な、み空色の瞳の中心、瞳孔の周囲が私の琥珀色に変わってる。
は?何、どゆこと??
「アルラの瞳に、まるで綺麗な星が輝いているようだわ…。星、貴女の元々の瞳の色なのかしら?」
「…そうですね。私の瞳は琥珀色です。だいぶ異端な色ですが。」
「それは何故か聞いてもよろしい?」
「私の国では黒髪で、瞳も黒に近い焦げ茶が一番スタンダードな色なんです。ごくたまに私みたいな赤毛で琥珀色の目や緑色の目を持つ人が生まれてきます。
うちの祖父さんは灰色の目を持っていましたし、父は緑色の目ですが弟は焦げ茶なので、第1子にそういう子が生まれやすい家系なのかも知れません。」
これはマジでガチな話。
おかげで子供の頃はいじめられたわー。全部殴り飛ばした&泣かしたけどな。
頭髪証明書とか出すのもクッソうざかったし。あれ、いちいち美容院行かないとダメなのよ。今もあるのかな?
「そうなのね…。貴女がそれを悲観してなくて良かったわ。それに…希望が湧いてきた感じがするわ?アルラの名前の通りに。」
そう言って姐さんはそっと私の頬に手を添えた。
「悲観よりも寧ろ、自慢ですね。馬鹿除けにもなりますし、染めなくて良いし、目立つ事と目力の強ささえ目を瞑れば、何てこたぁ無いですよ?」
ケラケラと笑い、私は答える。
「あら、力だけじゃなく精神も強いのね?」
「色々強くなる必要がありましたから、しゃーないですわ。それが今、こうやって役に立つなら無駄じゃなかったな、ってしみじみ思いますよ。」
私達はクスクスと笑い合うと、ジェシーが「星、ベイクドマロウのおかわりありますか?」と可愛らしくおねだりしてきたのでハイハイと残っていたマシュマロをこんがり炙り、クッキーもどきの上に乗せて手渡した。
サンドしていないベイクドマロウも、焼きマシュマロの味が濃くなるから美味しんだぞ?チョコがあれば完璧だったんだけどね。
ようやく土台の憂いが無くなった。
休める場所が針の筵とか全く休めないし、いくら私が図太いって言ったって限度があるわいな。きちんとした塒やセーフハウスはマジ必須。
感想を言い合いながら楽しそうに菓子を食べる家族や使用人達を見やりつつ私はそっと、安堵の息を吐いた。
一夜明けて、憂いも無くなって目覚めスッキリ!で起床。
…嘘つきました、すんません。
無くなった訳じゃないんだよねぇ。でも、6割がたは解消したので、全くの嘘って訳では無い。
だって、残り4割のうち1割は今日解決する予定だし、残りは私の努力次第!
早くこの世界についての勉強と、魔法や魔術について総ざらいで照合と検証しないと…私の武器が増えない!!
プロレス&身体強化魔法、素で使える鼓膜破りのビンタ頼みでは、想定外の事象が起きたときに対処が出来ないイコール、最悪デッドエンドの図式が成り立ってしまう。
そ れ は 絶 対 に 避 け た い!
絶対条件が『アルラとガブリエラの無事な生還』であるから、そこはしっかり守らねば。
約束もしちゃったしね。
アハハハ〜☆長年理不尽と職種増やされた社畜ですもの。やれば出来るっっ!
後はかけられるプロレス技のバリエーション増やしたいから、ズボン作りたいんだよねぇ。ドレスやワンピースみたいなスカートだと、ミドルやローキックは良くてもハイキックやケンカキックをしようもんなら、アルラのおパンチュが見られてしまう!!
それにルチャ・リブレのような立体起動のアクションからの技も制限されるし、関節技も掛けられない。
思った以上に何も出来ないし、させてもらえないのだよ。
朝食終わったら、姐さんに相談してみようかな。まぁアカン!とは言わないっしょ。
ホットパンツはダメっぽいと思うけどな。
コンコン。
「おはようございます、星様。お目覚めですか?」
ガチャリと扉を開けて入ってきたのはシエナ。どうやら私の専属に決まったらしい。
「おはよう、シエナ。お陰様でぐっすり眠れてすっきりしたよ。」
猫のポーズでググッと両腕と背中、腰を伸ばしてから、両腕を頭上に上げて肘を掴んで少し胸を張りつつ肋間と脇腹を広げるストレッチを行いながら言うと、それを不思議そうに見るシエナ。
「星様…それも異世界の習慣でしょうか?」
「やる人はやるって感じかな?身体に良いんだよ、ストレッチ。ケガもしづらくなるし、軽い凝りなら解せるし、冷え性なんかも改善されたりとか?まぁ、身体が若くいられるのはありがたいからやってるって思ってくれれば良いよ。」
「(身体が若返る?!)それは本当でしょうか?!是非私めにも教えて下さいませっ!」
ひえ。
シエナさん…圧が強い強い!
どこの世界でも、美に対する女性の執念、凄まじす(汗)
朝の支度が終わるまで、シエナからのストレッチ&エクササイズ問答は止まなかった、とだけ言っておこう。
…腹減ったよー。
空きっ腹を抱えて食堂へ入ると、またもや私が最後だった。
「すみません、遅れまして。」と謝罪する。
姐さんから「今朝は何があったのかしら?」と問われたのでシエナにストレッチの話を、とサラッと軽く話す所で
「奥様!凄いですよ、星様のストレッチとエクササイズと言う運動!バストアップにヒップアップ、更には冷え性改善や身体が若くいられるのですっ!」
「「ブホッ!!」」
ちょ、シエナ熱弁すんな!!
伯爵とエル兄が思っくそ噴き出してるやんけ!
ほらぁぁぁぁぁ!姐さんも目ぇキラーン☆とかなってんでしょ?!
これ、何回目のデジャブだよ!!
「星、後で、詳しく。」
何でカタコトっぽく言ってんすか、姐さん?!
ほらー、もう逃がさねぇモードじゃぁぁん!!どうしてくれんのさぁぁ!
朝からドッタバタの食事を終え、謁見用に失礼のないドレスを着用し、メイクやヘアセットに取り掛かる。
今日は犬軍団がやらかした茶番劇についての事情聴取があるのだ。私等、ガッツリ関わっちゃってるし私に至ってはシメた側なので致し方無いわなぁ…昨日公爵家で擦り合わせしたから、想定外でも起きない限りは大丈夫なんだろうけど。
未成年であるジェシーはお留守番なので事情聴取は欠席になるが、ふわふわパンケーキ3段重ねと、パントリーにチョコレートがあったのでガナッシュを作製→マシュマロの中に入れて成形してみたので、食べる直前に炙って提供するように料理長にお願いしておいたから今、めっちゃゴキゲンである。…可愛チョロい。
もちろん、厨房スタッフの分も用意済みであるので皆で仲良く食べておくれ。
…よし。準備も整った。セミフォーマルのドレスのポケットと太腿に括りつけた護符と呪符もオッケー。ガブリエラとレオーネさんにあげる琥珀糖は、クラッチバッグにイン。忘れ物は無いね。
伯爵に姐さん、エル兄もしっかり武装…いや、ドレスアップし、護符もバッチリ身に着けている。
こんな時に何だが、映える外見だな~。それでいて隙が無い。
これもウチが特殊な理由の片鱗なんだろうか?
そんな事を考えながらも、馬車に乗り込み
王宮へ向かう。
程なくして王宮へ到着すると、手続きを済ませてから中へ踏み入る。
私達の謁見は最重要事項だったようで、正直引くくらいのド丁寧な対応かつ慌てっぷりに家族全員が『おい、ちょっと落ち着け』と内心突っ込んだ。おっさんが椅子倒したり呼び出しの案内鈴(もちろん魔道具だ)を落としたりしてあんな慌ててる姿を見る機会ってあんまり無いし、受付?なのに大丈夫なんだろうか、って思うのは当然だよねぇ。
入口ホール横にある控室にて案内係を待っていると、ノックと共にドアが開けられ「アンブロジア伯爵家の皆様、御機嫌よう。本日は陛下への謁見でお間違えございませんでしょうか?」と挨拶と共にやってきた人物を見た隣のエル兄が、突然「なあっ…?!何でお前が!」と慌て出したので、視線を追ってみると…
これまたキラキラしい見た目の貴公子然とした人が立っていた。ローブみたいなマントなんだろうか?目にも鮮やかなロイヤルマリンブルー色のマント?を羽織っている。
「おや、エルネスト?私が来てはマズイのですか?」
「マズイに決まっているだろう?!どうせウチのアルラ目当てに来たんだろう、お前。この魔法馬鹿が。」
余裕綽々にエル兄と話す、この魔法馬鹿はどうやら見知った人物の様子。
そして扉を閉めろ。開いたままの扉から目をハートにした令嬢やメイドやらが集団で覗いて…違うな、堂々と魔法馬鹿をガン見しとるやないけ。
「とりあえず…お前はドアを閉めろ。落ち着いて話も出来ん。もしくは今すぐ案内しろ。」
エル兄が眉間にシワを寄せながら当たり前の事を言ってるが、そりゃそうだ。
何故に私等が令嬢方のハートの一斉射撃プラス私には嫉妬の念まで送られなきゃなんねぇんだ。マジうぜぇ。
性女と同じく、スカートを上に蓑虫状態にして、そこら辺に転がすぞコラ?
「あぁ、それは失礼した。さぁ、君たちも仕事に戻りなさい。君たちがいないと王宮が成り立たないからね?」
爽やかに笑うその面、マジ胡散臭ぇぇぇ!わかっててやってるよな。
言ってる事はド正論だけど、何か腹立つわ。
ようやく扉が閉められ、やっと落ち着いたかと思ったその瞬間、魔法馬鹿は膝スライディングしながら私の元へやってくると、徐ろに両手をとりうっとりした顔で握ってきた。
「貴女が…っ、あの素晴らしい魔法を展開したアルラ嬢ですね!!お会いできて光栄ですっ!私と結婚してくださいっ!!」
皮膚反射で秒もかからずに私、サブイボ大発生。
「ぎぃやぁぁあぁあぁぁぁ!!
何じゃこのド変態!死にくされぇぇぇ!!!」
私の絶叫と共にエル兄が右から拳を、私は左から膝蹴りを魔法馬鹿…もうド変態でいいや。ド変態の顔面に食らわせるとそれはもう幸せそうな、恍惚とした表情で床に沈んでいった。
兄と初めてのコンビ技でクイック決めたけど…これはあんま嬉しくないし、こんなセルもキショ過ぎるわぁ…。
いや、両手を握られてたからね。咄嗟に出せるのが頭突きか膝だったのよ。でも、こんなド変態に顔近付けて頭突きとか死んでもイヤだし、シエナが整えてくれたヘアスタイルを崩したくないし、膝蹴りしか選択肢が残らなかったわ。
いやしかし…実際にやられるとマジキメェな、これ。壁ドンと同じ位の恐怖やわ。
…された事ないけどな。
それよりも結婚してくれ!とか言うてなかったか?コイツ。
絶対ゴメンだわ!!
床に沈んでも尚、私の手を話さないド変態に妙に感心しつつもやっぱキメェ!とサブイボが訴えるので、エル兄や伯爵にも手伝ってもらい、四苦八苦しながらやっと剥がした。
魔法職ってこんな力強いんか?
指力が半端ないんですけど…。
謁見前からもうぐったりだよ…お家帰りたいよぅ。
プロレス用語
●クイック→返しや流れの中で3カウント取られる事。
●セル→技を食らった時のリアクションの事。笑ってはい○ないで、月○方正が蝶野にビンタ食らった時のリアクションが一番想像しやすいかとw
新たなキャラクターはド変態でしたwww
スマートなキャラ設定だったはずが、書いているうちに二郎系ラーメン並みに濃ゆい感じに…何故だ。
そして、ポイントとブックマーク登録してくださり、ありがとうございますー!!
本当に嬉しいです(*´ω`*)感謝申し上げます♪
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頑張りますよー!
今回も読んでいただきましてありがとうございましたm(_ _)m




