第16話:さいつよタニマチ、付きました
第16話になります!
休憩時のお供にどうぞ♪
よろしくお願い致しますm(_ _)m
公爵家の昼餐…マジで素晴らしす!
昼餐って事でハーフコースではあったんだけど…食前酒や突き出し、フロマージュ、食後酒が無いくらいで、ほぼほぼフルコースに近い豪華なものでした♪
この食事だけでも、公爵家がアンブロジア伯爵家とレオーネさんを歓迎してるのかわかるよね。
ポタージュで出てきたコンソメスープはホント涙出そうになる程美味しかったし、ポワソンの魚はスズキに似た脂と旨味のある白身魚で懐かしさ溢れるひと皿だったし、ヴィアンテの鹿っぽいジビエのグリルも火加減と肉の処理が適切かつ絶妙で、うまうま食べてた。
時間を忘れる程の食事ってホント美味しかったって証明だから、満足度はバカ高い。
カンバネリス公爵家の領地には海があるのだろうか?あるなら潜って雲丹やアワビ、牡蠣なんか獲って食べたい。切実に。
漁業権あったらアウトだが。
カフェプティフールを楽しみながら、先程話していた事の再開を。
優雅にカップを傾けながら、公爵様が「では、陛下の謁見時には“物語”の話はせず、事実だけを述べると言う事で良いかな?」
と伯爵に確認を取る。
「そうですね、それがよろしいかと。下手をすると虚偽や謀反の疑いあり、と捉えかねられないですからな。また、星の存在も隠しておきたい所です。」
「異世界人は御伽噺の存在だが、利用されるのは避けたいね。」
それが目の前にいてますよ〜♪
認めたくはないけど、あのクソビッチ性女もそうなんです。
「すまない、星殿について少し質問があるのだが…」
公爵家長男…名前知らんけど、何か聞きたいのかしら?
「ガブリエラ様の長兄様でいらっしゃいますね。如何いたしました?」
「あぁ、自己紹介がまだだったね。
私はジェイク。隣が次男のルーカス、母はオリビエと言う。それで、だ。星殿があの時使っていた火球を消した魔法と男爵令嬢の結界を破った魔法は、先程の報告書でカラクリが判明したが今ひとつ納得出来なかったので、解説をお願いしたいのと、貴女の使った身体強化の魔法。あれは我等が学んだ方法と少し、いや、大分違うようでな、あれはどうやったのか是非聞きたい。」
あれな?
気にはなるだろうね。基本魔法だと同じ属性か反対属性で、同じ威力をぶつけての相殺しかなさそうだし。
魔術だとそんなしち面倒臭い事しなくても出来るからねー。それ以上に、現代世界の科学知識に拠るものがデカい。
こっちの世界って、科学知識とか人体についてどこまで進んでるんだろうか?
「星、とお呼び下さいませ。家名はありますが、庶民でございます故。
こちらの知識がどうであるか、まだ把握しておりませんので何とも言えませんが、私の世界の知識を応用いたしました。
火は酸素…今、私達が吸っている空気が無ければ消えます。魔法ですと、魔力が込められていなければ消える、と判断いたしました。
あの時は咄嗟でしたが、現代知識と魔法知識の2つを合わせて火球を打ち消せました。」
「…!そのような事が…では、身体強化はどうやったのか、聞いても?」
まずはそこからか~。
っつか、魔法学園なんて言ってる時点で科学の概念は薄いよね。
「身体強化は普通に行いました。アルラの知識から引っ張り出したのもありますが、そこに現代知識も足した結果ですね。
コレが正体です。」
私は人差し指を上にし、『バリッ、パリパリッ』と小さな雷を発生させる。
原理が解ってりゃね、文系にだって簡単ですよ。
日本家屋やフローリングの部屋と違って、雷の材料になる塵が大量発生してるじゃない、この世界。屋敷や王宮は絨毯いっぱいだし、布を沢山使った服着てるし、そこかしこに塵と静電気が沢山ありますよ。
それに筋肉を刺激する低周波治療やら電気治療やら散々っぱらお世話になってましたしね(泣)
程度さえ間違わなければ、筋肉痛めたり痛みに悲鳴上げる事も無いわ。
ガタガタッ!とガブリエラ以外の人達が態勢を崩しながらこっちガン見してるけど…何故?魔法にもあるんじゃないの?
「雷…魔法…」
誰かが呟く。
ガブリエラだけは「綺麗…」って言ってくれてるけど、メジャーじゃないの?雷って。
再度頭の中に「?」が乱舞するも、姐さんが頭痛を堪えるような表情でこちらを見る。
「星…貴女、一言もこれについては話してないわよね?」
ヤベッ!朝食の時と同じ空気になる!!
それだけは回避せねば…。
「すみません、奥様。
皆様が驚かれるものだとは思いませんでした…アルラの知識にも雷魔法の概念がありましたので、てっきり一般的なものだとばかり。」
「貴女って子は本当に…。まだ隠している事は無いのかしら?」
隠してるとは人聞きの悪い事を仰るわ~、姐さんてば。
「隠している訳ではございませんが、私の国で使われている魔術がありまして、それはこちらで使えるのか検証してみたいとは思っております。」
「あら、それは今使えるものなのかしら?」
「使えない事もありませんが…公爵様の許可が必要になります。野外で行った方が被害が少ないと判断しての事です。」
特に神の力を借りる真言はおっかないのだよ、姐さん。
「ならば、試してみるといい。私も興味があるから是非お願いしたいね。」
公爵様と奥様がいい笑顔で許可してくれたけど…これ、人生初の試みなんだよ。
何あっても知らねぇかんな?
魔法の基本原理は多分どの世界でも似たりよったりだろうし、それに新しい概念であるプラズマを加えたものだからネー。
とりあえず作ってみた呪符を取り出し、食堂から庭に出て、植え込みに飾ってあるオブジェに狙いを定める。
刀印を組んだ指に呪符を挟み、気を込めつつ発動の呪「急々如律令!」と唱えると同時に刀印を振り抜く!
今回書いた呪符は『雷符』。
発動は成され、雷撃が飛ぶ。雷撃はオブジェどころか、植え込みに向かって広範囲に拡散した。
うおぉぉぉ!マジで発動したよ!!
密かにテンションぶち上がってる私の視界に、植え込みの側にあった大樹からボトリと何かが落ちたのが見えた。
瞬時に身体強化を発動させ、庭石を踏み台に低木を飛び越えて何とか立ち上がった不審者を確認。
顔は隠しているが結構がっしり目で高身体の不審者にはコレをお見舞いしてやるぁ!
アントンが名付けし名技っ!暴走王・小川○也の元祖スペース・トルネード・オガワ
(STO)を食らいやがれ!
「オラァァァ!」と、気合と共にブチかます。
影だとしたら、身体能力もかなり高いと踏んで、絶対逃さないように一発で意識を刈り取るダメージを与えなければならない。
この技は柔道の大外刈をベースに、ラリアットとリストクラッチ、相撲の浴びせ倒しの要素を組み込んだもので、そのまま自分の体重を浴びせながら押し倒し、相手の後頭部や背中をマットに叩きつける。
受け身なんぞ取れないから脳にダメージと揺さぶりがモロに来る。
これね、本当にダメージやばいのよ。藤原組長を始め、名だたるレスラー達が失神してKO食らうくらいだから。
今回はアルラの体重が軽いのでラリアットではなく相手の前髪を鷲掴みにし、更にそのまま後頭部を打つタイミングに合わせ、掌底を食らわす事で前頭部と後頭部のサンドイッチダメージを与えようと言う寸法だ。
「…!!」悲鳴も上げられず前頭部と後頭部にしこたまダメージを食らって立てなくなった所にダメ押しでっ!
フィニッシュムーブは後藤洋○紀のっ!!
昇龍結界じゃおらぁっ!!!
「ギリッギリに極めてるから逃げらんねぇぞぉ?不審者さん。」
ニヤリと笑いながらガッチリ両腕と体を極め上げ、ロマンスグレーのイケオジ家令と侍女に「ロープと糸、それと焼いてないパン生地を持ってきて!!」と叫ぶ。
両親指を糸で拘束すると、外れにくくて良いのよね。コイツが影か何かだとすると、ロープだけで拘束すんのは些か心配だし。パン生地は耳穴に突っ込んで耳栓代わりに使用。衛生観念上、スタッフが美味しくいただけないのが残念だが、致し方無い。
耳穴にパン生地を押し込んだ上に鼻だけ開けて頭をぐるぐると布で巻いて拘束完了。
そのまま公爵家の地下牢へ連行してもらう。
「星、今のもプロレスなのかい?武器無しで対象を沈黙させる威力は勿論だが、技のキレと言い随分とバリエーションがあるのだね。」
「王宮で見た技ともまた違って、しなやかな動きと仕留め方がヒョウのようで…ずっと見ていたいですわね。」
公爵様と奥様が拍手をしながらお褒めの言葉を掛けてきた。
ヒョウおるんか、この世界。
「あれ、ウチの護衛騎士の修練に組み込めないかな…」
「いや、僕達もちょっと習っておいたほうが良くない?兄さん。星殿であの威力だし、僕等ならもっと…」
「武器が無い時の対処法としても使えますね。関節を極める技等は汎用性がありますし、間合いが取れない時も有効ですよ、プロレスは。」
おぅふ。公爵家子息達とレオーネさんが何かこそこそ言うてるわ〜。プロレスだけじゃなくて色々あるわよ格闘技。
「すみません、視界に確認出来た時点で即仕留めさせていただきましたが、差し出がましい真似を致しました。」
と、公爵様にとりあえず謝罪しとく。
不審者なのは間違い無いが、公爵家の面子もあるだろうしなー。
これは現実世界でも仕事していればよくある事だし。
「謝罪は要らないよ、星。寧ろ、我々は心強い味方を得て安心しているのだよ。学園では君とレオーネ殿がガブリエラを危険から遠ざけてくれるし、これ以上無い援軍と言える。君達はこちらの派閥でも無いから、立ち位置としても悪くない。何よりーーーーーーー
ガブリエラの味方、友人だからね。」
そう言って公爵様は本心からの笑みを見せる。
オイィィィィィ!破壊力パネェな?!
「あら、旦那様。面白い、が抜けておりましてよ?」
うふふ、と微笑みながら奥様が補足するが、それ、補足が本心じゃね?
「うちの奥方はよく見ているね。
だからね、星。そしてアンブロジア伯爵。私達カンバネリス公爵家と一門は君達を守り、手助けになろうと思う。」
ごん太のタニマチ、付きましたーーーー!!
え、マジで?
うちって中立じゃなかったか?
「派閥に入ると言う事ではないよ?勿論入ってもらっても構わないが、アンブロジア伯爵家の立ち位置は特殊だろう?
だから、家同士の立場を超えた友誼を結ぶと思ってもらえれば良い。
幸い、そちらのエルネスト殿はうちのルーカスと同期だし、怪しむ者は殆どいないだろう。」
あー、なるほどね。それなら大丈夫じゃね?伯爵も心なしかホッとしている。
ってか、うちの立ち位置って中立以外にも何かあんの?
また新たな疑問が湧いてる間に、公爵様と伯爵は握手を交わしている。
姐さんは公爵家領地でしか取れない貴重な薬草などを融通してもらえる話や、新しく開発した化粧品について奥様とキャッキャウフフと話し込んでいる。
…うん、まぁ上手く纏まったのか、ね。
「アルラ。」
ガブリエラがレオーネさんと一緒にこちらへ向かってきた。
片手に日傘、もう片方に銀のトレイ持って追い掛けてくる侍女さん、大変やな。
「ガブリエラ様、レオーネ様。」
私も木漏れ陽を浴びつつ二人の名を呼び、微笑む。
この二人が並んで歩いてると、普通に令嬢と護衛騎士だもんなー。これに私が加わると仲良しトリオにチェンジって。立場もバラバラだし、一貫性が同期しか無いから都合が良いわな。
「良かった…何処もケガしてないわね?」
心配だったのか、ガブリエラがあちこち私の身体やデイドレスの破損などチェックしている。
うへぁ?!ちょ、スカートは捲っちゃらめぇぇぇぇ!!
「ガブリエラ様、その辺で。」
レオーネさんがガブリエラの肩に手を置きながらストップを掛けた。
ハッ!と自分の行動に気付いたガブリエラは何をしていたのか解ったのか真っ赤になり、両頬を抑えて蹲る。
羞恥に悶え、ちょっと涙目になりながら顔を上げ、小声で「ごめ、ごめんなさい…!あの、あ、アルラが心配で…」なんて言われてみ?
その可愛らしさに全 員 被 弾したわ!!
私も例外なく被弾した。ズドン!とな。
ちくしょう…っ!可愛らし過ぎるやろ!!
皆、鼻や口元を抑えてプルプルしながら身悶えしとるやないけ。
神よ!いるなら今、このシーンを切り取って永久保存し給え…っ!!
鼻血が吹き出そうになりながらも、ガブリエラの前に跪き、
「私の事が心配だったのですね?ありがとうございます、ガブリエラ様。いつでも足は見てよろしいですよ。」
フォローしながら、間近でバッチリ堪能させていただきましたぁぁぁ!
我が人生に一遍の悔いなし…っ!
ほんでよ、レオーネさん。「うっわ、血迷ってるわ~」とかボソッと言ってドン引くの止めてくんね?ジェラってんすかw?うひゃひゃひゃ。
あ、丁度良いや。
不審者も出てきたし、作っといて良かったのかも知れん。特技のリスクセンサーが働いたらしい。
ごそごそとクラッチバッグの中を漁り、昨夜試しに作ってみた護符を取り出して皆に配る。
「こちらは昨夜、作法に則り作りました護符になります。
皆様にお持ちいただければ、と思いまして。」
悪いとは思ったけど、クローゼットにあったファーから毛を刈り取り即席の筆を作って紙とインクも一緒に清めてから護符を書いてみたのだ。
墨は後日作成しなければ。
開眼もばっちりしといたので、もう効力は発揮されてる。
災いを一度だけ防ぐ効果があるから、何かの役には立つでしょ。高位貴族って危険多いと聞くし。
まじまじと護符を見ていた姐さんは護符に手をかざしたりしていたが
「驚いたわ…魔術に近いけど魔術では無いのね。聖女が持っていた呪いの神具ほどではないけれど、この護符から清い力を感じるわ。」
「この護符から母様みたいなキラキラの力が出ていますね!星、ありがとう!」
ジェシーもわかるのね。
うん、いい子いい子♪
エルネスト兄は…何で真っ白になってんの?
公爵家の方々も呆気に取られてますな。
ロマンスグレーのイケオジ家令なんか小刻みに手を震わせながら「これは…何と画期的な手法なのだ…」とか言ってるし。
あんれ〜?これ、もしかして大事の予感?
タイトルが、何か「冷やし中華、始めました」的なゴロの良さに(^_^;)
そして明日の仕事が鬱で仕方無い…。粗塩と鏡、榊は準備しとかないと。
本日もじわっとポイントとブックマークが増えておりましたァァァァァ!
本当にありがとうございますっ!(T_T)
深謝です☆
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