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第14話:姐さんには敵いません

第14話になります!



よろしくお願い致しますm(_ _)m

自分のステータスにブチギレ・盛大なツッコミをかました私は、瞑想状態が強制解除され目を覚ました。


夜でも、夜明けでもなく。

完全(・・)に空は明るくなっていたのは想定外だったのだが。


うふふ、お空が明るいわぁ〜☆

…マジか。そんな時間経っとんたんか!!

今までの瞑想記録更新っすわ。

尻が痛ぇぇぇ~…。


思わず顔が引きつる私に、後ろから声が掛けられる。


「おはようございます、アルラ様…もしかして…その体勢のままお過ごしになられていたのですか?」


ギギギ、と音がしそうなぎこちなさで後ろを見ると、侍女のシエナも同様に顔を引きつらせているが、直ぐにこやかな憤怒の表情に替わり


「アルラ様?そのような姿勢で長時間過ごされていたとは、令嬢として如何なものかと。朝食の前に、体をほぐしますよ?」


「え…と、だいじょ「大丈夫ではございません。さ、行きますよ」…ハイ。」


拒否権なんて無かったさ。ハハハ。

そのままバスルームまで連行されて、みっちり小言付きマッサージで解されました…。

つらみ。


半分魂抜けかけた状態で食堂に向かうと、既に家族は揃っていた。


「皆様、おはようございます。すみません、遅れてしまいました。」


軽く礼をし、謝意を述べると


「おはよう、アルラちゃん。よく眠れたかしら?」


「お陰様で。気持ちよく目覚めました。」


にっこり微笑んで返事をするとシエナがカットイン。


「いいえ、奥様。アルラ様は令嬢にあるまじき姿勢で朝まで過ごされておりまして、腰から足元までガチガチに凝っておりました。」


要らん報告っっ!!

お母上、めっちゃ怖ぇんだよ!マジ止めろし!!


盛大に顔を引きつらせた私の視線の先にいたお母上は、絶対零度の微笑みをこちらに向けた。


「…アルラちゃん?や・す・み・な・さ・い、と言ったハズよ?」


「は、はひ…申し訳、ございますん」


…噛んだ。


お母上…水属性値高いんすか…食堂中がめっちゃ冷えてますが。


「母様!折角の食事が冷えてしまいますから落ち着いて下さい!」


「母上、皆が風邪を引いてしまいますよ?アルラの身体は丈夫ではないのですから、加減してください。」


おぅ、ジェシーとエルネスト兄、ナイスアシスト!

思わず握った拳から親指を突き立ててグッとサインを送る。


それを見たお母上が青筋を浮かべ、更に圧まで加えてきよった!!

うおぉ…息が詰まるぅぅぅぅ…!


その刹那、ドンドンドン!と食堂のドアが激しくノックされ、従僕が息を切らせて慌てた様子で駆け込んで来た。


「お、お食事中に失礼しますっ!だ、旦那様っ…大変でございます!」


目にクマを拵え、顔色の冴えない伯爵(オヤジさん)が「何事か」と問うと、従僕は抱えきれないほどの何かを見せながら叫んだ。


「おっ、お、お嬢様に…釣書が…とっ、届いておりますっ、それも…大量に!!」


ゴツッ!

あ。伯爵(オヤジさん)、テーブルに額打ったよ。イイ音したなぁ。

テーブル頑丈でヨカッタネー。


家令のウォルターは何かに思い当たったようで「あぁ、成程。」と頷いている。

そしてそのまま従僕に「今日いっぱい、届くと思うので保管しておくように」と命じていた。


え、まだ届くの、コレ?

もう何か朝食どころの騒ぎじゃ無いんだけど。


それでも食わないとなー。アルラの身体は空腹を訴えてるし。

手を合わせて、いただきます!


お通夜のような雰囲気の中、もすもすと軽めの朝食を食べる。


お母上のクッソ寒い冷気でも耐え抜いた、魔道具のフードウォーマー素晴らしいな。

あの冷気に晒されてもフレンチトーストはしみじゅわ温かで、美味しくいただけました♪

…サラダはバリッバリ霜付いてたけどな…。知覚過敏狙いの、お母上の地味〜な攻撃だったのか?

ガリゴリ音のする葉物野菜は人生で初めて食うたわ。


朝食を食べ終え、少し食休みしてから公爵家昼餐の支度にかかる。

露出が少ないドレスを選び、汚れ防止のケープを付けてからうっすらメイクを施し、髪の毛を緩めに編み込んで高さの無いポニーテールにセットしたら完成。

流れるような作業とヘアセットの絶妙な力加減に、シエナの能力の高さを見たなー。

たまに美容院でセットすると担当によっては「痛っ!」てなる場面ってあると思うけど、本職じゃない侍女がプロ同等の仕事をやってのけるってのはスゴいと思う。

現代世界でも、アントワネットの時代にはヘアセットする時に「結髪師(けっぱつし)」って専門職が出来てた位だしな。


そしてアルラの素材の良さよ。

メスゴリラな私、テンション上がるわぁ♪

自分じゃ、こんなデザインのドレスは似合わない。

私の体型じゃ私の好きなデザインの服は似合わない。よくある、好きな色と似合う色が違うというやつな。

前にゆるふわOLを真似してみたけど、吐くほど似合わなくて絶望したのは苦い思い出だわ。


お母上の趣味を取り入れた、アヴァロン式のデザインは首元や袖口、裾などに繊細なレースをフリル状に絞りを入れた、シンプルでもゴージャスでも華やかさが出る特徴を持ったデザインは応用の幅もあり、素晴らしいの一言に尽きる。

そして縁にちょいちょい配置された金属と宝石のパーツ、これも個人的にツボる。

アヴァロン、いいね!

俄然興味湧いてきたよ。機会があれば是非行ってみたいもんだ。

フィールドワーカーの血が疼くわ〜。


内心、ウッホウホしながらテンション上げていたら、シエナが「そろそろお時間ですから、参りましょうねお嬢様。」と教えてくれたので、玄関へと向かう事に。


ホールにはお母上とジェシー、エルネスト兄がいたが、伯爵(オヤジさん)はまだ来ていなかったようだったけど直ぐに家令と共にやって来た。


「待たせたな。では、行こうか。」


お母上の額にキスしてから、皆と家令で馬車に乗り込み、公爵家へ向かう。


…何だろうな、この馬車も。

外観は中世から近世ヨーロッパの豪華な馬車なんだが、あんま揺れない謎仕様。

これも制作のふんわりなんちゃって設定だからか?

やるなら車輪も少しイジッたれや。グリップ甘過ぎてスリップが怖いわ。


車やバイクを自分でメンテナンス・セッティングする身としては、マジで恐怖しかない。

少し身体を固くした私に気づいたエルネスト兄が「(せい)、緊張しているのか?」と声を掛けてきた。


「うーん、改善点を見つけただけですので、お気になさらず。それよりもですね。」


そう言い、私はひとつ深呼吸。


「公爵家との話し合いの後で、伯爵家の使用人や騎士達にも事情説明は必要かと思いまして。


一応、それらしく振る舞ってはおりますが、私は学はあっても中身がド庶民ですし、見識高い貴族はもちろんの事、一流の使用人の観察眼は誤魔化せない事を知っております。

家令のウォルターは恐らく伯爵(オヤジさん)様から知らされてるでしょうが、シエナあたりはもう何かしら感づいていると思います。」


ホントこれな?

現実世界でも、業種問わずプロフェッショナルの観察眼はマジでハンパなかった。

一流テーラーなんかは見ただけで身体のバランスやクセを見抜いて服を縫うから、ちゃんとしたテーラーのオーダーメイド服は違う!と鳥肌モンだったのを今でも覚えてる。

そんなプロフェッショナルの使用人の目を誤魔化すだぁ?

ムリムリムリ!超・絶・無・理!!演技でカバー出来る範囲超えちゃってるもの。


使用人が表立って指摘する事は無いだろうが、明らかに不審感持つだろうしそれはモチベーションにも関わるからねぇ。

推論や想像で語られる話が一番厄介なのも知ってるから、外部に漏れる事を想定した場合、期間限定であってもこれは避けたい所だ。


「…わかった。では、晩餐が終わった後か就業時間が終わるあたりで集めよう。」


「ありがとうございます、伯爵様。お手数をお掛けいたしまして申し訳なく。」


腿の付け根に両手を置き、脇を締めて武の礼をする。


「私の天使が…武人になってしまった…(震)」


「?何かおっしゃいましたか?」


「い、いや…ゴホン。説明は良いが、どうやるのだ?説明するにしても直接見た私達なら兎も角、大分荒唐無稽過ぎて困る気がするのだが…」


ですよねー!

嘘くさ過ぎて飲み込むにも飲み込めねぇよ!ってツッコミ食らいそうだもん。


どうしたもんかと腕組みしながら悩んでいたら、パチリと扇子を閉じたお母上がひと言


「あらぁ、簡単よ?

あの大立ち回りを見せれば納得するわよぉ。


あとね、(せい)。腕組みは駄目よ?」


そう言ってうふふ、と笑った。


え?見せる?

またプロレス技をかけろとか?

どゆこと??


頭の中を「?」でいっぱいにしていると、「簡単な事よ?」と、お母上は指をくるくると回し始めた。


くるくる、くるくる回す指に陣が浮かび、ふわりと羽根を生やした光が姿を現す。


「これが“精霊”よ。この子があの広間にいて一部始終を見ていたの。これを使えばあの時の映像が見れるでしょう?」


な、何だってェェェェェェェ?!


ちょ、お母上マジパネぇ!!

一体何者ですか、お母上?!


「ヤベェ、お母上マジ女神…!そこにシビれる、憧れるぅぅぅ!!」


ついつい目をキラッキラさせてお母上を見るとお母上に「あらあら、(せい)、お口が元に戻っていてよ?」と嗜められた。


(せい)にも我が女神の素晴らしさの一端がわかったか。」


うんうんと頷き、ドヤ顔する伯爵(オヤジさん)


「母様の精霊、久々に見ました!やはり可愛いですね♪」


これまた目をキラッキラさせて精霊を見るジョシュア。


(せい)はともかく、父上もジェシーも知っているでしょうに…。」


ため息吐いて伯爵(オヤジさん)とジェシーをジト目で見るエルネスト兄。


エルネスト兄…苦労してんね。

よしよしと頭を撫でる。


壁にゴンッ!と頭をぶつけつつ驚くエルネスト兄。

えー、地味に傷つくわぁ。

ジェシーはジェシーで「兄様だけズルいです!(せい)、僕も撫でて下さいっ!」私の肩に頭を乗せて催促してくる。

愛いやつめ♪

手触りの良い、ふわふわのライトブロンドがうちのコ(メインクーン)を思い出させる。

あー可愛い、可愛いよー!


そんな私達の様子を微笑ましく見守るお母上と伯爵(オヤジさん)


「そういえば、(せい)はジョシュアの事はジェシーと呼んでるわね?」


およ?どうしたお母上。


「はい、ジョシュア様からジェシーかジョシュアと呼ぶようにお願いされましたので、恐れ多くもそのように。」


「ならば、エルネストや旦那様、私の事は?」


え?気になるの、そこ?!


「恐れながら、心の中ではエルネスト兄君様はエルネスト(にぃ)と。伯爵様はオヤジさん、ご母堂様はお母上と呼ばせていただいております。」


「エルネスト兄…」


「オヤジさん…」


「お母上…



駄目よ!固すぎてつまらないわ!」


はい?!不満ポイントそこなん?


ビックリしたジェシーと一緒にキョトンとする私にお母上は詰め寄る。


(せい)の世界で母親を表す言葉があるでしょう?いくつか言ってごらんなさいな。」


圧強めに言われましても…ねぇ。

じゃあ思いついたのを言ってみるか。


「では…お母さん、母様、おかん、ママ、おふくろ、かかさん、マザー、メール、ムッター、マードレ…あ、姐さん、とかでしょうか?」


最後はビミョーに違うけどな。

雰囲気的に入れてみた(笑)


「色々あるのねぇ…異世界って不思議だわぁ。

でも、何となく気に入ったのは姐さんかしら。」


こ こ で ま さ か の 姐 さ ん 呼 び!


意味わかってねぇ筈なんだが、ピンポイントで当たり引きよったよ、この人。


何だかんだで逸材揃いで面白過ぎるわ。

流石アルラの産みの親。


本当に家族仲の良いアンブロジア伯爵家だよなぁ。

私を受け入れるのも早いし、何とかアルラの望む穏便な結末に導いて行かなきゃね。


アルラのお母上、何でかイメージが某CMの女将になりつつあるような…(^_^;)



読んでいただきましてありがとうございます♪

今回もポイントとブックマークが少し増えていて、ありがたい限りです。・゜・(ノ∀`)・゜・。

昨日、アントンが地元に来てビックリ&闘魂充電できましたのでお裾分けを♪ダァーーーーーーー!!


よろしければ、下にあります☆☆☆☆☆やブックマーク、いいね!をポチッと押していだけますと大変励みになります♪

よろしくお願い申し上げますm(_ _)m

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