第12話:タッグ、爆誕
第12話になります!
よろしくお願い致しますm(_ _)m
はぁい、私、星でぃ〜す☆
突然、【ステータス画面】が表示されちゃってクッソ慌ててるの♪
慌てるだろあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
こんなん、慌てるわぁあ!!!
出てこいデウスエクスマキナぁぁ!
出てくるにしても、タイミングっちゅーもんがあるやろがぃぃぃぃ!!
オーケー、落ち着こう私。
アルラを目の前にして、醜態は晒せんわ。
はい、アンガーマネジメント6秒ルール。
すー、はー、すー、はー…よし、大丈夫。
そんな私を見て心配になったのか、アルラが問いかけてきた。
「あの…星様?その、大丈夫でしょうか…情緒とか、えっと…色々と?」
あ、何かごめん。
いきなり訳わからん事叫び出して怒ってたら、ヤベェ奴認定だよねー!
不測の事態が起こった、って事で堪忍な?
ステータス画面を展開しながら、私はアルラに話しかける。
「ごめんね?
ちょっとハプニング発生しちゃったけど、気にしないでね♪
えーっと…コレ、見えてる?」
ステータス画面を指差しながら聞いてみると、アルラにもちゃんと見えているようで
「はい…その、光る板のようなものは見えております。それは一体、何なのでしょう?」
ですよねー。
私が見ても慌てる位のブツですよ。
あり得ないもの。マジで。
「コレ、が慌てた理由なのよ。
コレはね、貴女や私の状態や状況を情報として一覧で表示するものなの。
えーっと…この文字は読める?」
ステータス画面をタップし、アルラの目の前にも表示されるようにしてみると、画面の文字を目で追い始めた。
「これ、が……私の…情報なのですか?」
「そう。
にわかには信じられないかも知れないけれども、ね。
貴女の今現在の情報がリアルタイムで表示
されているわ。」
[名前]アルラ・エールー・アンブロジア
[職業]伯爵家令嬢 長女 国立メーデイア魔法学園2年生
[状態]正常(現在、意識体)
[体力]92/100
[魔力]385/****(封印中)
[属性]火:30風:100水:100地:75闇:40光:45
[戦闘力]力:30 防御:35 魔攻:123 魔防:187 速さ:40 幸運:70
[特技]集中 魔力操作 記憶量大
[加護]アヴァロンの加護
…基本のアベレージがわからんから、この数値も良いんだが悪いんだか判断に困るなぁ。
でも、属性値の風と水はかなり高いし、性格通りの数値なような気がしないでもない。特技の魔力操作と記憶量大、これは使わせてもらったけど、そっか、アルラの特技に助けられたのか。持っててくれてありがとう!
加護に関しても、これが一般的なものかどうか判断しかねるが…確かお母上が魔導国アヴァロンの出身だったよな?って事はアヴァロンの加護はアヴァロンの血統に因る加護なんだろうか?
そ れ よ り もっ!!
魔力量の「(封印中)」って何さ?!
意味不明過ぎる!何したんや??
アルラに至ってはビックリするやら納得するやら、うんうんと頷きながら画面をガン見している。
数値で自分の状態を見るなんて経験、無いもんねぇ。
そんなアルラ可愛いと思いながら、ステータス画面よりも後に表示された画面を見ると…この仕様ってさ…コンソール画面だよね?
テッパンかつベタ以外の機能出たよぉぉぉぉぉ!?
マジか…。
何の仕様を変更しろっつーのよ。
あ、でもコレ!この機能は使えるわ。
潜り込んだは良いけど、第八チャクラ内権能を使える程活性させてる訳でもないし、コレがユーザーインターフェースになるなら正直助かる。
ちゃちゃっとタブレットPCのように操作と機能確認をし、設定していく。
何も無かった空間に、一人暮らししていた私の部屋が投影され、何故か漂うアロマの香りに安心する。
…飼ってるメインクーンまでは投影されなかったか〜。残念。
うおぉ!ちゃんと感触ある!
一昨日届いたチェスターフィールドソファもムートン付きで存在してるよぉぉぉ(泣)
テーブルのアレ○サもそのまんまだし。
そしてアルラと入れ替わる前に、何でか晩酌してた地元の限定ワインとカナッペなどもそのまんまなのかよ。
ひとつ摘んでパクリ、と食べる。
サクッサクッと小気味良いクラッカーの食感と共にスモークサーモンの濃厚な脂とスモーキーさ、クリームチーズのさっぱりした酸味にケッパーとディルのアクセントが合わさって、いくらでもイケる。
うん、安定の美味さ。
マジか…触覚、嗅覚に続いて味覚まであんのかよ。
何でも有りか。
…いんや、これ多分、私の記憶の反映だな。
私が今まで食べたもの、飲んだもの、聞いたり読んだり体感した事が反映されてるんだ。
試しにアルラの口に、カナッペを放り込んでみる。
同じ空間にいるから、感覚の共有が為されていると思うんだよね。
目を白黒させながら、もぐもぐと食べる姿もクッソ可愛ぇなぁおい!
「星様…これ、美味しゅうございますね!もうひとつ…えっと、いただけませんか?」
口に手をあて、うっすら顔を赤くしながら
おずおずとおかわりを要求するアルラ。
くっ!!
そう言われたら、断われねーよ!
遠慮なく、ひと皿まるっとお食べ?
嬉しそうにふわっと笑みを浮かべてプレートを受け取ると、サクサクもぐもぐ、小動物のようにカナッペを食べるアルラにほっこりしつつ、アイスティーや追加のカマンベールのメープルナッツがけ、レバーペーストに薄切りバゲット、山椒のマンディアンなどもテーブルに置いておく。
数は少なかったがカナッペを食べ終え、アイスティーを飲んでひと心地ついているアルラに、私は本人に意思確認を取るべく聞くことにした。
「アルラ、本題に入ろうか。
ガブリエラの婚約破棄の後、貴女は私と意識が交換されたところまでは覚えているのよね?
…その後、何があったか…知りたい?」
少し、間が開き。
「…知りたい、です。
知らずにいる事は出来ませんし…何より星様と入れ替わった時に知らかなった、ではあまりにも自分が無責任過ぎますので…。」
「了解。じゃあ、これから流す映像は事実だけど、ちょーーーっと衝撃的かも知れないから、気絶しないようにね?」
伯爵が白目剥いて気絶したからなー。
コンソール画面を操作し、巨大モニターで入れ替わった後の場面を見る。
…主観視点、俯瞰視点、第三者視点と3つモニターがあるのは何でだろう。
考えると疲れてくるな。
手元にシャンパンを出して、お気に入りのエ○メのマカロンを摘みながら一緒に鑑賞。
あ~…。
うん、そうなるか。
入れ替わってからの第一声を聞いた途端、「ん?」みたいな表情になり、脳筋の剣を弾いてカミゴ○変則版で蹴り飛ばしたあたりで可愛らしいお口がパカリと開く。
続いてザカリーも剣を抜いて斬りかかってきたのを突進から高高度打点のドロップキックを顔面に食らわし、勢いそのままにハーレイを巻き込んで鼻血を噴射しながらブッ飛んで行く。
アイザックが明らかに頭おかしい火球を放ってきた時の映像では悲鳴を上げていたが、それを打ち消した時の映像に差し掛かった時には「魔法陣…お母様の本にあったものだわ…!」と食い入るように見ていた。
カカト落としを食らわせた時の映像では自分の頭を両手でガードしていたり、ちょいちょい可愛気が出てきてキュンキュンするわ。
ただし。
とりあえず聖女を指さした挙げ句に座り込んで、床をバンバン叩きながら爆笑するシーンではアルラに怒られた。
「星様っ、これは貴族令嬢らしくありません!はしたな過ぎです、こんな姿っ!あんな大口を開けて笑っては令嬢失格です!」
とプンスコする姿もご褒美です。ありがとうございます。
思わず頭を撫でると「聞いてますか?星様!?」と更にプンスコ。クッソ可愛ぇ。
口にマカロン放ったれ♪
第一王子を垂直落下DDTで葬…ゲフン、沈黙させたシーンでは「あれは…死んでませんか…?」と言ってたけど、性女いるから問題無し☆
多分ね~(笑)
最後の対性女戦では、何でか口元ひくつかせてたわ。
おかわりフィニッシュムーブで如何わしい下着を丸出しに気絶する姿を見て、とうとうアルラも気絶した。
私は酒が美味くて仕方無い♪
2本目、アルマ○ド入りましたー!
ありがとうございまぁす!
ハッ!と意識を取り戻したアルラに気付け代わりのレモネードを差し出す。
アルラは受け取り頭を軽く振ると「全部、夢…では無いのですね…。」と半分感情の抜けた顔で呟いた。
うん、夢じゃないよ?
まごうことなき現実DEATH☆
そこは仕方無いと思うよ。
アルラの思う解決方法は無かったし、他国のお偉方まで参加してるのに穏便に済ませられる方法なんて無い。
誰かが傷付くのは当たり前だったんだよ。
「私の世界の言葉なんだけどさ。
“犠牲なくして成功なし”ってのがあってね。
馬鹿共がやらかした事はガブリエラだけじゃなく、この国の評価も下げるものだった。国の評価を下げるという事は、貴族含め国民の生活に直結するんだよ。商人に足元見られて不当な商いさせられたり、グレードの落ちる貿易を強いられたり、貨幣価値が下がったり色々な。
普通は他国の要人達が居る場でそんな事はしない。
ガブリエラだって判ってたはずだ。
あの場を収めるには、馬鹿共を犠牲にして婚約破棄以上のインパクトを以てしか回収出来なかった。
だからこそのあの大立ち回りなワケよ。
わかる?」
聡い子の貴女ならわかるでしょう?と言うように視線を向ける。
沈痛な面持ちでスカートをギュッと握るアルラは黙ったままだ。
こればっかりは場数踏むしかないかも知れないねぇ。
綺麗事で済む事ばかりなら戦争も無くなってラブ&ピースな世界になるんだろうけども。
まぁ、アルラも本格的に社交界参加していけばド汚ぇ思惑やら貴族らしいアレコレに巻き込まれていくんだろうがなぁ。
16歳の女の子にはシビアかも知れない。
私はグイッとシャンパンを飲み干した。
「アルラ、これだけは覚えておいて?
死ぬまで綺麗なままでいられるヤツがいるとするならば、本人の代わりに周囲が代わりに泥を被ったり傷付いたりしているの。
貴女の場合なら、家族や使用人達がそれに当たるわ。
何故だかわかる?
それはね、何より貴女が大切だからよ?」
びくり、と肩を震わせ、泣きそうな顔で私を見るアルラ。
「人によっては、それを穏便な解決と判断するでしょう。
でもね、それは解決とは言わない。
ただの誤魔化し。自己犠牲によって成り立つ欺瞞。そして怠惰。
けれど。心底大切な存在の前にはそんなもんブッ飛ぶのよ。
誤魔化しでもいい。欺瞞でもいい。恩があるでもいい。
損得勘定を超えた、純粋な気持ちが。共有する時間が。誤魔化しも欺瞞も全てすっ飛ばして“願い”になる。」
分かってるかな?
それを貴女が、無意識に成した事を。
きらり、きらりと涙が光り、零れる。
「ガブリエラは少なくとも救われたわ。
穏便な解決では無かったかも知れないけど、あれだけ馬鹿共を派手に叩き潰して醜態晒してやったのを見て、スッキリしたみたい。
見て?この素敵な笑顔。サイッコーでしょ?」
止めていた続きの映像ー花道を去るシーンから再生する。
天井から降り注ぐ金色の紙幣や銀テープよりも輝く、ガブリエラの晴れやかな笑顔。
私的には正直、これを見られただけでも良かったなーって思う。
人生80年生きても、人ひとり救えれば御の字だっつーの。
開かれた大扉の前で、にこやかにカーテシーをし挨拶をする私達を泣きながら、それでもしっかりモニター越しに見つめるアルラ。
これは貴女の願いが導き、引き出したものである事を忘れてはならない。
「良か、た…あの、方は、笑えたのです、ね…わた、私は…お力に、なれた、の、ですね…」
アルラは涙で上手く喋れないながらも、ガブリエラの笑顔を見て救われた事を噛みしめる。
「そうよ、アルラ。
これは素直に喜ぶべき事よ。
ただ…ガブリエラにはまだ苦難が待っている。
クソビッチ性女もこれで諦めるとは思えないし、気になる事もある。
何より私と入れ替わっていない事がその証明なの。
だから、腹を括れ。覚悟を決めろ。
貴女が泥を被り、傷つく事を厭わずガブリエラを含めて大団円に導く事を。
大切な人達が笑える道を。
共に、歩める未来を。」
すいっと私は手を差し出す。
あの時、入れ替わったように。
「大丈夫、私も一緒に泥を被ってやる。
一緒に叶えるんだ。」
瞳にある怯えは未だに残っている。が、意を決したかのように目を閉じ、再び開かれた瞳には火が宿っていた。
「私も…ガブリエラ様や家族…大切な人達を守りたい。でも、私は無力だから…強くなりたい。
星様と一緒なら私は変われる…強く感じるの。
私の導きの星。共にいきましょう。」
アルラは、力強く手をとった。
それが嬉しくて。
私は過去イチ会心の笑みで受け取る。
「呼びタメ…呼び捨てで構わないよ。
よろしくね、相棒。」
出来るなら、貴女がこの世界で強く生きられるように陰ながら尽力するよ。
昨日のアメト○クで泣いてしまいました(T_T)
ちくしょう、粋な事してくれるぜ…。
そして、朝、ばっちり瞼腫れてブスが倍になったよ…。
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