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第11話:魂の至る場所

第11話になります。


よろしくお願い致しますm(_ _)m


今回はふんわりとスピリチュアル要素も入っております。

格闘技やり始めてから瞑想するようになりましたが、未だにタイマーが無いと時間忘れます(^_^;)

メンタルをごっそり削られた事と、明日に備えての準備もあり、事情聴取は解散になった。

伯爵(オヤジさん)、初っ端から白目剥いて泡吹いてたから、エルネスト兄も一緒になって報告書まとめるんだろうなぁ。

…どのくらい気絶してたんや?伯爵(オヤジさん)


部屋に戻り、吹き出した紅茶のシミがついてしまった部屋着を寝間着に着換え、シエナに謝りながら洗濯をお願いして退室してもらってから、私はある事を実行しようとしていた。



私の中にいるアルラとコンタクト出来ないか?と思った訳よ。


アルラの魂?存在は確かにここに在る。

中から外の様子は見れると思うけど、全くの説明無しで混乱の極みに陥ってると思うし、どうにか解決出来ないかな~と思っていたので、一人で落ち着ける今がチャンス。


ちなみに、ベタだけど「ステータスオープン」を試してみた結果、出てこなかった。

出てこなくて良かったのか、残念だったのか、何となくモヤる。

いじくってみたかったなー。


とりあえずはアルラとコンタクトを取るのが先だな。やった事無いから、ぶっつけ本番だけど。


ふっかふかの絨毯にソファにあったクッションを敷き、ついでに風邪を引かないようにガウンを着てブランケットも準備する。

そしてクッションに座って、いつも行っている結跏趺座の坐位をとり、静かに目を閉じる。


メールムドラーの手印を組み、マントラを唱え、呼吸法で気を巡らせながらミッション成功を祈願する。

雑念が湧き上がるままに5秒吸い、8秒吐くを繰り返し…徐々に深くなる呼吸に合わせ、手印をアジャリムードラーに変え、更に内に、内に潜っていく。


肉体と、空間の境目が段々、段々と曖昧になる感覚。


私が、意識が、拡がる。


ここまで出来たら、前半ミッションクリア。

さあ、アルラの意識を探しに行こう。



アルラ。


アルラ・エールー。


起きて…


返事をして…


問いかける度に、体の中にソナーのような波紋を広げて私じゃない意識を探る。


波紋と波紋がぶつかりあっては消え、また生まれる。


暫し、居場所を探す。


居るのは知覚出来ているし、パスの繋がりもあるが…本体が無い。


波紋を広げ、アルラの意識を辿っていくとある場所に私ではない、小さな光があった。


…確かにこの場所だと魂の居場所としては納得出来る。


人の身体に存在する、七つのチャクラの上、第八チャクラ。


別名『魂の至る場所』


ヨガや瞑想をよくやる人なら馴染みの言葉かも知れない。

このチャクラには、自分の魂の記憶や記録があるらしい。

友人の情報だけど。


とりあえず、アルラの魂を確認出来たので意識にアクセスを試みる。


臆病なアルラを驚かせないよう、優しく、穏やかに、包み込むように。


さっきの家族とのやり取りで、反応を見せていたんだ、大丈夫。

さぁ、話をしよう?


現実世界にいた時の私の姿で、アルラに呼びかける。流石に自分(アルラ)の姿が出てきたら驚くだろうしな。


やがて、膝を抱えて蹲る姿でアルラが顕現した。


うおぉ…やっぱめっちゃ可愛い。

ガブリエラとはまた系統の違う、尊みがあるわ。

緩やかに波打ち、光を放つロイヤルブロンドに、バッサバサの長い睫毛、象牙色の艷やかな肌に小柄で華奢な体躯と小っさい顔。


…世紀末覇王系メスゴリラな私とド対極じゃねぇか。

生まれてきてすいません。

でも、生きる!ノンフ○クション!!


いやぁ…改めて近くで見ても、マジで神秘。

何、この遺伝子の奇跡。

魂でもこんな可愛いとか反則だろうよ。

伯爵(オヤジさん)、ゴリッゴリのゴリマッチョでワイルド過ぎる系イケメンだが、お母上は某セレブ姉妹の妹似のセクスィーグラマラス美女だからなー。

どこをどうイジったらこうなんねん。



アルラに近付き、そっと頭を撫でながら話かける。


「アルラ…ガブリエラは助かったよ?あの馬鹿たれ共も、頭お花畑(クソビッチ)聖女も、生きてるのが恥ずかしいくらいの酷い目に遭ったからね?んで、周りが言う程でも無かったのよ、これが。お勉強は出来るけど頭はパーだったんだな。」


クスクスと、こみ上げる思い出し笑いを漏らしつつ尚も続ける。


「そうそう、途中でさ、レオーネ・コルネイユさんが助けてくれてね?ホントあの人カッコいいな。馬鹿共より余程紳士的、騎士的で信用出来るよね。最後、広間から帰る時に、ガブリエラ様をお姫様抱っこしてくれてさ。まるで御伽噺の王子様とお姫様みたいだったんだよ?」


撫で心地の良い頭の形と、うるうるさらつやな髪の毛の質感、素晴らしす。


「信用出来ると言えば、アルラの家族もすっごい素敵な家族だよね。貴女の父も母も兄も弟も…良い人過ぎて私、感動しちゃったよ。こんな私を信用してくれてさ…。

だから…



アルラと、アルラが大切な人達は、私が守る。」


我ながら単純な理由で、馬鹿じゃね?って思うけど、人が動く理由なんて至極単純で何でもない事だったりするんだよね。

あのお母上もそうだったように。


そして、このエリアは『魂の至る場所』。

嘘は吐けないし、通用しない。

それは本心にも適用される。


だから、アルラ。


ここではガチの腹の割りあい、だ。


少しでもいい。


貴女と、話がしたい。



金褐色の、睫毛がふるふると震えたかと思うと、ゆっくり持ち上がる。


閉じられていた瞳に宿る色は、晴れた秋の透き通った空のような、み空色。


「おはよう、アルラ・エールー。

そして、はじめまして、かな?


私は(せい)。貴女の叫びに、願いに応え、叶える者だよ?」


私は表情筋を総動員し、怖がられないよう微笑を浮かべる。

…大丈夫だよな?な?


目を見開き、私を見つめるアルラ。

目を閉じていても可愛かったけど…目を開けたら更に破壊力半端無ぇな?!

お母上と同じ位置にホクロあるし、少し垂れ目がちな所はお母上とジョシュアに似てるね。

可愛いは正義!って言われても、即皮膚反射で同意するレベルでヤバ可愛い。


美少女エフェクトなのか、アルラの周りにはキラキラした星屑が沢山揺蕩っている。

いや、え?綺麗だけど、めっちゃ気になる現象起きてね?


マジでパラメーターとかステータス見てみたい。


『フォンッ』


……。


…は?え?


し、知らない、見てない、気付いてないぞ…。

出ない筈の冷や汗、脂汗がダラダラ出てる感覚がする。


『ヴンッ』


無機質な音と共に追加で現れた、ソレは。

紛れもなくフォーマット化された【ステータス画面】だった。




おぎゃーーーーーーーーーーす!!!!


今、出んのかよっ!!




****************************

アルラside




嗚呼、ガブリエラ様…


お労しいどころではないわ…


貴女様に瑕疵など何も無かったのに、あんなに沢山の貴族や関係諸国の来賓方の前で…婚約破棄だなんて…

恥をかかせる事が目的だとしても、あまりに無体で厚顔無恥な方法に、私の顔は青褪め、カタカタと体は震える。


何とかガブリエラ様のお力になりたくて…考えるより先に、身体が動いてしまった。


でも。


それが間違いだったのかも知れない。



私は、無力。


学園での成績は良いかも知れないけれど、鈍臭いし、直ぐ慌てるし、自分に自信など無いし、何より…臆病で友人がほぼいない。


不敬覚悟で、ガブリエラ様のお側に辿り着く事は出来たけれど、広間中の視線より何も出来ない自分に今更ながら愕然とし、湧き上がる恐怖に飲まれそうになる。


救いの手など無い。


最初から分かっていた事だけれど、今、それを痛い程、身を斬られているのではと錯覚する程に、その事実が私を打ちのめす。


ハッ、ハッと呼吸は浅くなり、ズキズキと頭が痛み、視界もチカチカと激しく光りだす。


神様…いいえ、誰でもいい。


誰か…誰か、助けて!!




『任せろ。タッチ交代だ!』



聞こえたのは神様の声?

それとも私が生み出した幻聴?


“タッチ交代”の意味はわからないけれど、薄れ行く意識の中、差し伸べられた手に触れて…私の意識はふっつりと、途切れた。




無力。


私は、無力。


受けた恩すら返せない、恩知らず。


沈む意識に身を任せ、昏い、ドロリとした闇へ堕ちていく。


きらきら、きらきらと周りを星屑のように光る護りの力が、それを押し留めているかのように輝きを増してゆく。


刹那。


猛烈に暴れ回る風と、吹き上がる焔が、私から闇を打ち払った。

私ではない感情が、魔力が震え、まるで吐き出すかのように荒れ狂う。


ちっぽけな私ごと吹き飛ばし、焼き尽くすかのように。


あぁ、私の魂はここで消えるのね。

人知れず消えゆく事に、歓喜にも似た思いを感じるも、それは為されなかった。


温かな光と魔力に私は包まれ、柔らかく保護される。


そして、不意に聞こえた声。


『アルラ・エールー。



よく頑張った!ビビリの貴女がよくここまで出来たね。

今だけちょっとおやすみ。

貴女が敬愛する、ガブリエラの分までアイツ等処してやるからさぁ…



あとは、私にーーー任せろ。』



これは…意識を失う直前に聞いた声ではなかったかしら?


私の、浅はかな行動は非難されこそすれ、褒めてくれたのは…この人だけ。

ガブリエラ様をお助けしたい気持ちも肯定してくれた。


大丈夫。

この人ならば。


温かな光は一層煌めきを増し。

私の目から滂沱の涙がとめどなく流れる。  


お願いいたします…ガブリエラ様をお救い下さい…



打ち払われ、欠片程の闇も消え去ったこの空間へと誘われて、私はようやく本当の意味で身を委ねる事が出来た。


先程の声に言われたように、今は少しだけ眠りましょう。



それから暫し。


穏やかに呼び掛けられる声と、優しく頭を撫でる温かな手に、意識がゆらり、ゆらりと揺さぶられる。


私に話しかける声と、一緒にうっすら聞こえるのは…この方の心の声なのね。


ガブリエラ様は、この方の活躍で無事に窮地を乗り切れたよう。

この方も私と同じく、第一王子殿下や聖女様に怒って下さった。

…それが堪らなく嬉しい。

大した事は無かったとおっしゃっていたけれど…学園では成績上位者なのですが。


レオーネ様も手を貸して下さった事は、とても嬉しい報告でした。

帝国からの留学生ですが、成績も優秀で騎士科の座学の単位は全てクリアし、今は貴族科の科目も履修なさる程の頭脳です。

偶然、ガブリエラ様と共にお友達になりましたが…自分の立場もおありでしょうに…お強い方です。

お姫様抱っこは是非見てみたかったですね。


うふふ。

私の愛すべき家族にもお会いしたのですね、この方は。

そうです、素敵でしょう?私はお父様とお母様、エル兄様、ジェシーと家族になれてとても幸運ですのよ。

使用人も領民も、大好きなのです。自慢の家族なの。


胸の真ん中がじわり、と熱を持ち身体が幸福感で満ちていく。


『さあ、話をしよう?』


私は、ゆっくりと目を開ける。

目の前にいたのは、背が高くがっちりした赤毛の…え、男性?女性?どっちかしら??

でも、縁が緑がかった琥珀色の瞳がとても綺麗…。

不躾ながらも、ぼおっと見蕩れていた私に、この方は語りかけた。


「おはよう、アルラ・エールー。

そして、はじめまして、かな?


私は、(せい)。貴女の叫びに、願いに応え、叶える者だよ?」




アルラちゃんですが、星が暴れまくっている一部始終を知りません。意識無かったので。

のほほんと感謝していますが…知ったら気絶するかも。


星の外見ですが、赤毛に琥珀色の目はたまに東北地方に出る特徴です。

同期に一人いました。


そして、ポイントとブックマーク登録していただきましてありがとうございますー!

深く御礼申し上げます。

テンション上がって冷コー押すはずが、まちがってホットを押してカップがデロデロになるイージーミス(笑)


もしよろしければ、ポイントやブックマーク、いいね!をポチッと押していだけますと大変励みになります♪

よろしくお願い致します。

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