2話 誘拐犯の家で
「ねーどこ行くのー?」
無邪気にくるるは聞くが、不審者は動揺しすぎて反応しない。
走行時間は10分程度。どうやら森に連れて行ったりするわけでもなく、くるるの住むアパートからも歩いて行ける距離の閑静な住宅街に入っていった。
駐車したのはごく普通のアパートだ。
「あ、着いたンゴw(やばい、心臓が破裂しそう……あぁ神様、仏様ありがとう。)」
「はーい!!やっと闇魔法が見れるんだ!!」
全身黒い男と体操服姿の女子小学生がアパートの一室に入っていった。完全アウトである。
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「わー!!なにこれ!!私と同じくらいの年齢の女の子がいーっぱい!!これ、私が持ってるブルマに似てるー!!しかもたーくさん!!」
「そ、そんなに騒がれると死ぬw社会的に死ぬw(震え)」
男の秘蔵コレクションを漁り尽くすくるるである。アウトすぎる写真集や、履くわけのない女子小学生用のブルマ。その他に部屋にはゴミが大量に落ちていた。
「…ん?なにこれ。この子私にそっくり!!ポーズ真似しちゃお♡」
くるるが拾ったのは小学校高学年くらいの女子がブルマを膝まで下ろしている写真。
くるるが腰のゴムを引っ張って下ろそうとした時…
「君、ほんとにすごすぎンゴwwwデュフッwどれどれ……お兄たんの恐ろしさ見せつけてあげなくちゃ……♡」
ねっとりとした声でさっきとは裏腹に正面から迫ってくる。顔つきも発情しきっていて別人と化していた。
能天気なくるるはやっとこの状況を読み込んだ。これはまずいと。頭が真っ白になった。わけもわからずいつものクセでピコピコハンマーを振りかざした。
「えぇい!!」
びゃ……!!
「うぉぉ!!」
電子音と共にピコピコハンマーから稲妻が男に走った。
「どういうこと?なにこれ……」
今起きた摩訶不思議な現象にくるるは唖然とした。
「なんだそれ……」
苦しげな憎しみを含んだような声を出していたのは黒い上下の紛れもない美青年である。