1.プロローグ
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「まじかよ」
俺、結城悠翔はこれからどうしようというほぼ絶望に近い感情に苛まされていた。
もう高校3年の受験シーズンだというにも関わらず、返されたテストを見て深く息をついていた。前回のテストから全教科共に大幅にダウン。詳細な点数については伏せておこう。
別に普段から悲惨な点数というわけではなく、普段なら上の下といった感じだ。
いやもちろん原因は分かっている。たまたま本屋で見つけた、転生系のラノベにどっぷりハマってしまったからだ。俺の性格上、一回ハマり込むとしばらく抜け出せなくなるため、テスト週間にも関わらず、勉強を放棄してしまっていた。
それに加え、ずっと想いを寄せていた同級生に思い切って告白したものの、呆気なくフラれてしまった。しかもフラれ文句がヲタクっぽいからだそうだ。ナルシストではないが、ルックスにはそれなりに自信があったのにそこを突かれてしまってはぐうの音も出ない。
「おー結城にしては珍しいじゃん。赤点ギリギリとか」
「うるせぇ……ほっとけ……」
「おまけに告ってフラれるとか」
「もう穴があるなら入ってしまいたい……」
「誰だってそういうときくらいあるだろ。同情するぜ」
「お前だけには同情なんかされたくないんだが」
「へーよく言ってくれるぜ。今回のテストなんて俺とお前の点差なんてどんぐりの背比べの如くの差だぜ?」
「うっ……。まあそうだけどさ。お前と同等とは……。はぁ……。次の授業やる気出ないからサボるわ……」
「またかよ。最近サボりすぎだろ」
「いいんだよ……。保健室に行ってるでも適当に理由つけといてくれ。っていうか、ゆうてまだ2、3回目だろ」
「はいはい。でもほどほどにしとけよ?」
「分かってるよ」
俺は教室を後にし、屋上に向かった。
今はとにかく何もしたくなかった。
屋上は基本的に立ち入り禁止だが、最近は俺のサボり場と化していた。最近といってもまだ2、3回目なのだが、まあ普通の奴はサボらないから多いには多いだろう。
何故か最近、物事に対してどうもやる気が起きない。それほど俺へのダメージは大きかった。何から何まで自業自得なのだが、落ち込むものは落ち込む。
長い階段を上り、出た先にはよくありがちな屋上に、事故防止のためのやたらと高い格子がある。その格子に腰掛け、深く嘆息をつく。
このときの気分は最悪だった。そろそろ真面目に進路も決めなければいけないというのにこの有様だ。
「マジで大学どうしよ……」
しばらく一人でぶつぶつしゃべっていたら眠ってしまった。
目を覚ますと、見知らぬ大草原が無限に広がっていた。遥か彼方まで地平線が続き、空には太陽が1つと月が4つ浮かんでいる。え、ここどこ?
思わず見惚れてしまいそうになるほど綺麗な風景だが、そんなことを考えていられたのも一瞬だけだった。
激しい頭痛に腹痛、吐き気など全身に痛みが襲う。徐々に意識が朦朧として、視力が奪われていく。声を出すどころか呼吸をすることさえままならない。立っているのも困難で、思わず手を地面について、倒れてしまった。
うん。これ死ぬんじゃね?
ふざけてるわけじゃないが、というかふざける余裕などないんだが、マジで死にそう。どうにかしようともがこうとしたんだが、それもできるはずもなく。目は見えないし、体も当然動かない。そして全身が破裂しそうなくらい痛い。っていうかいまにも窒息死しそうなくらい苦しい。そして意識が途切れそうになる、その瞬間、
ピロン
は? 頭の中に謎の効果音が聞こえた。そこで俺の意識は途切れた。