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008お金を手に入れたらまずやること

008お金を手に入れたらまずやること


 

 ドバッと大量の金塊を作り出し、家を5軒買った。

 

 □

 

 まず一軒目を買ってから、子供達を集めて、小遣い稼ぎに水をどんどん運ばせた。

 女冒険者の件もあったので、子供達には平均雑用賃金のだいたい⒈5倍ほど掴ませておいた。

 

 それを全部黄金に変えて、商人と不動産屋を家に招いた。

 俺がいつの間にか裏で有名なのを俺だけが知らなかったらしい。

 風俗地帯の用心棒(たまにチップ渡してる)にお願いして連れて来て貰ったのだが、ビビりながらもちゃんと来てくれた。

 そら、王族とかいう噂まで立ってるぐらいだし。びびるよね。

 不動産屋はこの家を買う時に顔合わせしているが、商人は初だった。

 

 □

 

 1樽5リットルぐらいだろうか。

 子供を20人雇ってどんどん運ばせた。

 もっと大きなのもあったけど、子供達に運ばせるのでサイズ抑えた。

 

 大きな樽にまとめて……とも考えたのだが、そうなると、本当に巨大な金塊になってしまう。それはマズイ。持ち運びもできんし。

 形が自由に整形できればいいのだが、今の所それができそうな気配はない。レベルアップしたらできる様になるかな?

 

 積み上げられた樽は20個。

 依頼を先に出してあったから、子供の数は20人と決まっていたので、樽屋(よく使われているらしく専門店あった)で20個買って荷車で運んでもらった。

 こんなに樽を買う人は珍しいらしく、口では何も言わないが何だか不審者を見る様な目で俺を見ていた。懐かしい感じ。

 

 午前中1回運んでもらって、昼飯代を賃金と別で渡して一旦解散。

 それから5kg(予測)の金塊20個を汗だくで運んだ。

 大きさは缶ビールより小さいかなというサイズなのだが、重い。

 一応レベル7だが、それでもちょっとした筋トレになった。

 

 そして午後再集合してもらって、空になった樽を配り、また水汲み。

 報酬を渡してる解散。

 

 □


 つまり、合計200kg程の金塊がある。

 

 地球の金相場ではおよそ9億だ。

 

 最初はビビっていたのだが、一晩明けてみると微妙に筋肉痛になってたし、手掴みでゴンゴン放り投げていたりもしたので、何も感じなくなっていた。

 一本5kgとして地球相場2000万円を超える。

 手荒く扱えるようなものではないはずなのだが、40本もぶん投げていると流石に飽きた。

 

 むしろ、こんな一気に金を流しちゃったら経済がやばいんじゃないかとか、そっちの方が怖かった。

 

 □

 

 そして、また家を買った。

 

 街中に散らばる様に、だいたい15坪(およそ30畳)で2階建の家を買った。

 微妙な大きさだ。


 不動産は大事である。

 

 それに箱物は倉庫や貸し出したり、色々使える。

 庭は無いけど、一階部分か屋上を畑にしても良い。

 

 

 □

 

 俺は、まず金持ちになったらやってみたい事を実行する事にしたのだ。

 

 地球にいた頃、日本中に別荘持って、例えば暑くなってきたら北に、寒くなってきたら南に移動して生活したいとか、そんな事を考えていた。

 季節や梅雨前線に合わせて2ヶ月おきぐらいで小刻みに移動する。

 …… まぁ、貧乏人の妄想だったけどね。

 この世界ではそれが可能だ。

 

 とりあえず街の中で実現してみた。

 

 □

 

 

 早速困った。

 風俗地域から出て家を構えてみると、用心棒は剥がれてしまった。

 そして、商人が入れ替わり立ち代りで投資の話を持ちかけてくる。

 全部断っている。めんどくせぇ。

 

 例えば、靴を10足用意して、毎日履き替えていけば靴が痛まないと知ってはいても、結局お気に入りの靴をずっと履き倒す事になる。

 流石に10足も持ってなかったけど、俺はそういう性格だった。

 

 家を10軒もってるけど、一周したらもう飽きた。

 最初に買った一軒に入り浸っている。

 ここ風俗地帯からも近いからさ。

 

 セックスして眠るなんて最高!

 と思っていたけど、独り寝の良さもわかった。

 昔は寂しいと感じていたのに、変わったものだ。

 

 娼館に寝泊まりしている時はセキュリティの心配が無かった。

 しかし、一人暮らしとなると違う。

 大手の方々は気味悪がって手を出してこないと思うが、どこの世界にも飛び抜けたDQNはいるのである。

 

 だから、

 

「っいっらー! てんめ、かねだせやんめー!」

 もう何言ってんのかわからん。

 強盗なら強盗らしく要求ぐらいまともに言ったらどうなのか。


 俺はレベル7で一般人より多少強い。

 だが、皮膚が鋼鉄になるわけではないし、内臓が一瞬で回復するわけでもない。そういう技はあるみたいだけど俺にはできん。

 ヒョロヒョロのDQNが5人。

 自分の腕を切っちゃうんじゃないかと思うぐらい危なっかしく弄んでいるあのダガーで刺されれば俺は死ぬのである。

 

 ビビりながら、

「お金ならいくらでもあげますから、命は助けてくださいよ? お願いしますよ?」

 と命乞いをしてみたのだが、

「っすっかなー、っろしちゃっかなー、うへへへへへ」

 と、何を言っているのかわからない。

 命乞いが成功したのかどうか判断しかねる。

 

 とりあえず一階に降りて、金を詰めていた樽を指差す。

 

 水1gの体積に対し、金だと19g

 ちょっとシャレにならんほど重い。

 なので、せっかく買ってきた樽は余った金塊を突っ込んであった。

 5リットル樽一杯に詰めたら嫌な音で軋んでいたので、だいたい半分より少ない程度に詰めてある。

 商人もこの金塊のサイズに困っていたので、縮みぐあいを感覚で憶えるために大量に練習で作った金粒もザックリと樽の中に入れてある。

 

 また金塊を増やしてあったので、この20個の樽で地球価格9億どころではない黄金がある。

 

 樽に貯まっている金塊にDQN5人は目の色を変えて群がった。

 おい、俺の警戒はいいのかよ。

 

 一本だけでも十分な稼ぎのはずなのに、欲張って脇に抱えたり懐に入れたり。

 そしたらビリっと音が鳴って金塊が落ちた。

 バカだろ。いや、バカだから強盗なんてしてるんだろうけど。

 

 さっきまでビビっていた俺は、そんなDQN達の後ろ姿を見ていて一気に冷めた。

 

 冷静になって気付いた事がある。

 

 こいつらをこのまま帰してはいけない。

 

 暴力で金が奪えるとバレたら、これから先の生活どうなるのか。

 

 地球での嫌な思い出がどんどん思い出されて吐きそうになった。

 

 

 

 こいつらを生かして帰すわけにはいかない。

 


 ◯

 

 


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