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007面倒な
007面倒な
女冒険者達にレベルアップの護衛をお願いするたびに、俺にお金を返そうとしてくる。
それが面倒になった。
「とりあえず貯めといて、まとめて返してくださいよ。利子も期限もいりませんから」
と言ってなんとか収めてもらった。
努力して得た金ではない。
命と引き換えに得たチート能力と言えないことも無いが、死んだのは事故だし、チート能力は棚ボタだ。
全く自分の能力によるものだという気がしない。
そんなお金だからか執着がなかったのだが、他人からしてみればお金は大事なものなのだ。
元々貧乏人だった俺は、お金持ちのお金の使い方というものがわからない。
貧乏人だった頃、お金は大事だった。
こっちに来てからすぐの頃も大事にしていた。
しかし、水滴を金粒に変えながら歩いている内に、俺の貧乏人精神は、もっと変な風に歪んでいた。
強くなりたいと思った。
物理的にも、精神的にも。
黄金の塊を手にしても、変なテンションにならない様に、強くなりたい。
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