表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/57

第6話 相見える

魔竜と化した灼竜を倒し、銀竜フィアスとの別れより二ヶ月。

肌寒さを感じながらも鍛錬に余念は無く、死なないぐらいの強い力を求めていた。

身長もすくすくと伸びて、163cm程だった体も169cmとなっており、これは異世界に来てから僅か(?)半年の事である。

最近は投擲の練習に力を入れ、石で飛ぶ鳥を落とすと言う事を食事の為にこなしていた。


石で行っているのは手に入れやすいからであり、不格好なダヴィデを名乗れる程度には様になっている。


まあ、そんなこんなで平和だが特に書く様な事も無く、遭難した人……ロビンソンクルーソーの劣化版生活を行なっていたが兎も角。


寒空の下、森のどの方面から見ても近付か無い限り目視出来ない様な死角に死角を重ねた様な、木と藪と爆発……射出される竹の竹林に囲まれた場所に大樹の家はある。

家といっても、竹をイカダの様にした物を何重にもして壁とし、屋根としている物でしかない。


夜の帳が降りて一時間。家からそろりと出て、就寝前のトイレに向かう大樹。

トイレをしている最中は、警戒心が最も強く、それ故に気付いた音だった。


ズッウウウウウン、ミキッ、ピシッと言ったような音が聞こえてくる。



`ブゴッアアアアアアンン”


ぐちょっ、ぐちょっという音。

寝込みを襲われるわけないもいかず、気になった大樹は筏のようにして立てかけておいた竹槍(30本)1束を担いでいった。


近視感(デジャビュ)


~✴️


「またか……」大樹は呟く


「何でまた……沼に落ちているんだ…」


怪異なる猪、金猪はまたもや沼に落ちていた。

それを見るや否や大樹は竹槍をバラし、一本、一本投擲することに。


暗い中で投擲しても竹槍の先が垂直に当たらないことから現在持っている光源(樹液の染み込んだ兎の皮を木に巻き付けて着火)を猪に当て明瞭にする。


「っほっ!」と大樹が投げると猪の体の隣に光源は刺さった。それを目印に、


「っ!っ!っ!っ!っ!っ!」と竹槍を本気で投げる。


かなり本気で投げる。

しかし、それでも大半の物は弾かれてしまう。

が、`ざくっ”と言う音とともに竹槍が何本か刺さり


そこを見ればしばらく経っているだろうにまだ竜の爪跡が残っていたのである。

故に大樹はそこを重点的に狙うことにしたのだが、


流石にそこまで長くは拘束されないか`ゴアアアアアアアアアアアァアン”と猪が吼え、悠長に狙いを定める大樹の方に突っ込んでくる。

無論大樹は避けようとしたが、竜ですら敵わなかった突進、逃げる事は叶わなかった。


しかし、偶然で竜すら殺めた大樹。

神は彼を捨てたが、運はあった。天群雲が猪の眉間に刺さる。


もちろん、唯刺さっただけの状態であり死ぬほどでは無く、言うなれば眉間に爪楊枝が刺さった状態。

猪は、その状態のまま方向転換し、木を背に立っている大樹に突っ込んだ。まさしく猪突猛進


「ぎょぺっぱあ!」


ミキッ!ミキッ!パンッ!


木の弾ける音と共におかしな声を上げながら、大樹は飛ばされていった

突進の痛みとは別の痛みを感じながら……


~~✴️


気が付けば大樹は岩の上にいた。

岩の破片が体の上に乗せており、それを払ったのち状況確認を始めた。


「っ痛。やばいぜ。いてえよ。 傷だらけって言うか、傷跡だらけじゃないか。しかも、こりゃ確実に治った状態でこうだろ……

 顔には傷跡がないが、全身が……学ランがかなり破けてるな」


一応大樹は、<治癒>を使ったが、一度治りきると駄目なようだ。

落ち着いた大樹が猪にふっ飛ばされた所に帰ってくると驚いたことに、猪の眉間に刀が奥深くまで刺さって死んでいた。

刺さったままの状態で突進したせいで自殺した様な物なのだが、そんな事は知らない大樹は


「……」


口をぽか〜んとして安堵やら色々なものを顔に浮かべていたが、何を思ったか、すっかり上手くなった解体技術で猪をバラバラにして、たき火で焼きだした。


その間表情は変わっていないからしとめたら、早く加工する。と言う癖習慣が体を動かしているようだ。


「美味そうだなっ!」


そして、文字どうり血の一滴も無駄にしない様に食べ始めた。


「ふう。美味しかったぁ」


大樹が食べ始めてから二日目、骨、牙、毛皮など、食べること以外に利用価値のあるものしか残っていなかった。

肉を熟成させることも無かったため、固かったがそれでも美味しい素材であったことから食べている途中、いつかと同じように大樹の体から何かが離れ、猪をさりげな〜く食べていたのだが大樹は気づいていなかった。


そんなこんなで荷物、主に猪の素材を纏めて(最近すっかり慣れてしまったので早かったが)竹槍を数本持って帰ろうとしたとき・・・・

不思議な光が足下から溢れ、穴が空いた。



……大樹の真下で。




ーーーーーー


「うっ、うわぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁ、あ“あ”あ“あ”あ”あ”あ”」


暗闇を落ちる、落ちる。恐怖はそこまで無いが、風が男としての価値を奪ってしまいそうな、浮遊感が嫌だった。金猪や灼竜の素材ごと落ちていたが、ここで光明!

岩の僅かな隙間から突き出る様にして生えた木に地獄に仏とはこの事よ!と捕まる。

その木が毒だったら、脆かったらなどと言う事は考える暇もなかった。

唯、その木が偶然其処に在ったのは、大樹が“白鷺”である時点で最早必然なのだろう。


「っ痛。、ひどい目にあった。しかし暗い。月明かりの下なら大体の事ができる俺であっても完全な闇に対しては3〜4m先までしか見えねぇぜ」


と言う大樹


普通の現代を生きる日本人には一寸先も見えない暗がりのはずだから、少しおかしいと言える。

突っ込むなら、獣かっ!!であろうか。


結局、木のしなりによって体重及び荷物が支えられ、しなった枝の先二メートル程が地面であった。


「ふう、とりあえず円形に近いホール的な場所にいるのか……

道は一本だからスタートかゴール、唯の行き止まりか……まあ良い、道が何本もあれば迷ったが、一本のみ。進んでみるか」


荷物を落として身軽にしてから飛び降りた大樹はそう言って、骨を蔦で束ね、皮類は畳んで載せる。

そうして、背負子の様な物に背負って進む。


「よくある壁に手を着けて進むっていうのをやろうかと考えたが、うっかりかぶれる成分とかがついていた場合きつすぎる。やめておくか、一本道だしな。一応、竹槍で擦りながら行けばいいだろう」



次に着いたのは、岩が仄かにひかるザ・ダンジョンと言わんばかり場所であった。

明るい場所で手元がよく見える(それでも、カーテンを閉め切った昼間の室内ぐらい)ので、大樹は今までやろうと思いながらも出来なかった事をやろうと考えていた。


大樹は竜の尾のあたりの槍と同じぐらい硬いけれども、節がないのにしなやかと言う不思議な骨を二本用意し、竜の真っ直ぐ伸びた牙を窪みに押し込むと・・・槍となった。

ちなみに押し込んだ牙はもう抜けない。


そして、猪の軽く反った牙も押し込むと・・・薙刀のようになった。


そして、すごくしなる竜の骨と、適度な固さのある、が、しなる猪の骨を重ねて、木枠と楔形の道具を使い、少しづつ曲げていく。


木で作るのであればもっと時間がかかるし職人技が必要になるが代替素材かつ急造品。

同時ににかわとして金猪の皮を煮出す。


「親戚の爺さんに習って「可も不可も無し」と言われる程度ではなぁ」


そんなことを言いながら、枠からはがし漆っぽい液体、竜の髭っぽいのを使って弦にする。


その後、猪の毛皮を包帯状に切り(皮はなめしてある。)、巻き付け弓の完成である。

が、乾燥は時間がかかるので、その間に元・竹槍を縦に割っていく。

竹ひごぐらいの細さから握り拳ぐらいの矢を作ったことで急造弓矢の完成であるが、丁寧に使わなければバラバラになりそうである。


大樹自身単一素材で作りたかったが性質が極端なこともあり複合する他なく、それ故に接着部分のみならない強度に明らかな不安を抱える事になると共に引く力は余計に必要となった。

素材の燻し、乾燥、素材同士の合わせ、本来そういったものには10年単位で準備が必要だが、素材自体の持つ剛性、粘性に期待した強引な作出、大樹は素材を活かせない現状に忸怩たる思いを抱いた。



また余った硬い棒状で適度な長さの骨を棒にし、長刀や、槍で棒術をするための練習用として用いる他、蔓を編んで縄を作った。


前に作っていたこれらの武器は失ったが、竜と、猪の素材から作った武器を手に入れることでアップデートを図った。


「よっし。こんなもんだろ。武器も出来たし、進んでみるか」


~~✴️


武器を作るのに数日時間を費やし、ダンジョン幾日目か。


`ゴアアアアアアアアッッッ”


雄叫びが聞こえる。


「っつ!またかっ!」


現在大樹は追いかけられていた。

それもこれも5時間前、大樹が進み出した時に出てきた犬が原因であった。


大樹が歩き出すと横から犬型の魔獣が踊りかかってきたのだ。

それにあわせて新しい槍で突いたら、抵抗なくスウッーっと入っていった。


それに喜んでいたら……


“ゥオッオオオオオオオオオオォオン”


と吠えられ、犬達が続々とくる


「なんてこった!犬は筋肉質で固そうで食べたくないから、極力殺したくないんだが。いや、赤身は美味いか・・・?これはまさか、チャウチャウ」


“チャウチャウチャウンチャウ”


犬の咆哮が響く。

ただ、血は美味いからっという理由で傷をつけて血だけでも飲もうとしていると、また犬がくる。

最近の大樹は血が好物と言う、現代では確実に気持ち悪がれる奴になっていた。


そのせいで隙ができてずっと逃げているのだ。

とその時、なんやかんや言っても余裕があった大樹も凍り付く奴が迫っていた。


`グアッッッアアアアアア!”


「新手か!」


大樹は、鈍足を飛ばし駆ける。

大樹→!?


???→うま、うま


金猪→美味しく食べてくれてありがとう


チャウチャウ→チャウチャウちゃうんちゃう

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ