第57話 第1章 (本章)開始 龍成の語らい
「ようこそ」
鯉滝龍成はそう告げる。
「この物語は、一人の男が紡いだ物語であり、同時にそうでもないと言える」
相変わらず難解なことを言う。
「これより始まる物語
少年・白鷺大樹は平凡ではない。白鷺という名に何よりも誇りを持っていた。
神、ディネアの目論みに気付いた、気づいてしまった大樹はクラスメートよりも600年先に異世界バルストへと落とされてしまう。
あわれな少年は、なにかに導かれるように手にした刀……天群雲を相棒に竜、猪、巨木、牛、山羊、羊、骸、鬼様々なものと戦い、友誼を結ぶ。
そして、迷宮……ダンジョンの深奥にてディネアに封じられし叡知ある巨人、プロメテウスを解き放ち己の身に宿した。
神への復讐を誓いし大樹は、異世界に落ちてしまったことで多くを失い、何よりも大切な名前を捨てた。
新たに得た名はラセツ・アツキ。
神へ一矢報いんとする者に相応しきその名を宿した男は止まることなどできぬ。引き返すことなどもってのほかだ。
されど何も出来ずに孤独で迎える死を恐れ、己の国を建国しようとする。
落ちた場所に最も近い国、テレッシアにて旅商人ジェフ・セイル、白髪の王女エレンと出会い、キンユウ公爵当主ザイナスの助力もあり王へとすることに成功し、エレンの腹違いの兄タイコウと安定した国家作りを進めさせた。
それによってラセツの作る国である大和は王の名の元に保証され、テレッシアの国民を口減らしも兼ねて大和へ連れ帰ることが認められた。」
龍成は一拍おき、
「ここより先は、ラセツによる国家建国のお話
では、どうぞ」
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。




