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第4話 怪獣決戦

さて、山を歩いてはや3時間。

ビニールシートを敷いてなかった事によって起こった惨事(服が湿る)が忘れられる程度には暖かく、途中で見つけた竹林にガサガサという音を立てながら入れば、筍が見つかる。


「筍か。焼いて食べれば美味い事は間違いない」


大樹は近寄っていくと、足下でカチッという音と共に地面が凹んだ。

嫌な予感がプンプンするなァと、冷や汗をたらりと流しながら足を直ぐに退ける。


同時、筍がピューという音と共に打ち上がり爆発


ポカンと間抜け面をさらしていた大樹だが、直ぐに顔を引きつらせ逃げる様に竹林から転がり出る。


「冗談。なんで筍が飛ぶんだ!」


大樹は焦りつつも、筍が食べたい。

それはもう切実に、だ。


唸った大樹は、地下茎に理由があるのか、筍本体に理由があるのか、尻に刺さったら笑いが取れるのかと考えた。


筍本体を上から押すと飛ぶと考えたら、横から押す。

押してもダメなら引いてみな。


と、繰り返し、地下茎と筍の間に針の様な形になっている物がある事が判明。

筍側には底に衝撃を受けると中身が爆発する様だ。


銃の弾みたいな構造だと思ってくれると嬉しい。


まあ、大樹は筍が食べたいだけなので仕組みはどうでも良く、底を気にしながら剥き、底と切り離し、アクを抜くことも出来ず、もう一度皮に包み焼いた。

味は、


「頬が落ちそうですらある、特に芯の辺りは味付けしてないのに塩っ気がきいている」


と言う大樹の感想が全てである。


ついで、と、竹を何本か切る道具がないためネジ切った。

それをカッターによって、竹槍にしていく。繊維の形状などから手間取るがどうせ時間はある。


終わったら、それの扱いに慣れる為に練習しだす。

そして帰って来たら、食事を取り、寝る。


竹槍の訓練二日、錆刀1日の配分で行いながら、どうしても山に下りる気がしない。

街に降りて憲兵に捕まって売られたらどうしようと考えているからだ。

異世界でランボーになるつもりは……憧れるが、無い。


先ず、文明レベルが分からない。


宗教が存在する程度であればどの時代からでも可能性があるのだ。

お約束の中世レベルならうっかりすると即病気になりかねないし、売られかねない。いや、売る価値もないから野垂れ死にかねない。


更なる昔、それこそ我らが故郷では埋葬なのかどうかすら判別ができない時代や信仰があったのかすら定かでない時代、10万年以上前のレベルからスタートする可能性もあるのだ。


ホモサピエンスたる我らに対するネアンデルタールの立場のものを討て、と。

昔、蟹に恐怖を覚えたゲームや他部族を滅ぼすゲームなどでテクは鍛えたが体がそれについていけないだろう。




ゲームで得た攻略知識やその手腕、やり込みを現実のテクニックであるかのように心中で仮定している大樹は残念なことに現実とゲームの違いもあやふやになりつつあった。

カンフー映画を観たあとの自分が強くなったような錯覚に近い。



が、まともな部分は山には自然の恵みがあるが、町中では無い。

一体どうしようか、などと考えながら、二週間目。


例の罠に、羽の生えた兎が掛かった。

これぞまさしく一羽の兎!と大樹はこっそり忍び寄り、上から石を叩きつける。


そして動かなくなったのを竹槍で刺して回収。

久方ぶりの動物性たんぱく質である。



~✴️


さて、肉を手に入れてから一ヶ月がたとうとしていた。


今の俺は、槍投げの要領で離れた場所にいる兎を仕留められる様になったり、棍棒で木を薙ぎ倒せたり(一発じゃ無いが)等、できる事が増えている。


食事も一時期茶色づくめで、彩も何もなかったが今ではチョットだけ違う。


そんな俺には危機が迫っていたのだ……

今の心境?危機の後にはさらなる危機が待っている?かな。

いや、危機じゃ無いかも知れないけれども口では


「手は動かさない」


って言っている初対面の奴にナイフ突きつけられている状況に近いかも知れない。


例えが意味不明?


なら、ワニの檻に突き落とされた時に、「そいつベジタリアンだから安心して」と言われている状況だ。


~~~~~~~~~~~少し前に遡り~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ふふふ。今だったら、冒険者ギルド的な物に行ってもバカにされる事は無いに違いない」


さっさと街に降りれば良いものを、異世界あるあるをやる為に一ヶ月を費やし、しかして一ヶ月経っても人の範疇にいるあたり主人公の素質は無いに違いない。

が、大樹の元々の身体能力が日本人の平均並みで左腕を野球のピッチャー返しで痛めて、右腕をトラックとの接触で再起不能にされていたにしては強くなっていた。


要するに調子に乗っていた。しかも、調子に乗っている割りに弱かった。

しかし、調子に乗った大樹は、街に降りてみる。


……明日にだが。


そんな大樹は山の中腹に築いた小屋、竹がログハウスの様になっているのだが全て先が尖っている竹槍であり、そんな小屋からペットボトルや、竹の水筒を植物の蔦で()ったもので括り肩がけにして山頂に向かう。


山頂で水を汲んでいる最中。


(なにか、嫌な予感がプンプンするなァ)


その鋭い勘を信じ、のそのそと森に逃げるように入れば


バキバキッ と言う音と共に反対の森から金色の体毛を持つ体高、(体長では無い)が三メートルあろうかと言う怪異なる巨獣が出てきた。


口元からは、刃の如き鋭さの牙。


鼻は巨大で、見ただけで恐ろしく鼻が効くであろう事をうかがわせる。

それに比例するかの様に巨体には、脂肪と言うより強靭なる筋肉と言う印象を受ける物が付いている。


もっとも、その巨躯に反比例する所もあり、足は非常に太いものの短い。

そして瞳に宿るは知性の光。


その姿は、巨大な金色(こんじき)の猪と言った所である。

そんな巨獣、金猪(きんじし)は水を飲もうとしてか、泥濘(ぬかるみ)へと脚を踏み入れる。


さて、この泥濘は大樹の作った罠で底がそこそこ深い。

……底だけに。


ゴッホン。そして、その先には兎用に落とし穴がある。

そして、巨体を誇る金猪はがっつりハマった。


“ブッゴァァァァァァァン!!!!”


ハマった事による怒りだろうか?

音とは空気を震わして伝わっている、と言うことを証明せるに充分すぎる衝撃のある圧倒的な咆哮。


空気はビリビリと震え、地は慄くかの様に揺れ、木はきしむ。

怪異なる巨獣は、異世界にありがちな超越種たる竜等とは違う、地球にも近似種がいる姿でありながら決定的に違う圧倒的な存在であった。


恐るべき金猪の事を主に違いないと考えながら窒息死するのをまっている大樹。

そんな姑息な事を考える大樹にフッと影が差した。

再び此処にいるのは不味いと感じ、逃げる。


GOAAAAAAAAAAaAANNNnNnnNu!!


聴いた者に恐怖を植え付けるかの如き爆音と評したくなる程の声と共に、赤い鱗を纏い、口から泡を吹いて白目を剥いている、狂犬病の様になっている角の二本生えた翼持つトカゲ……竜と評すべき存在が降ってきた。


金猪の咆哮に誘われたのか、その現れた竜は金猪に顔を向けている。


大樹は離れている所にいたため、怖れつつも、竜を見ていた。

好奇心からである。


平和な何もない山で平穏に暮らしていたはずが怒濤の展開で怪獣決戦。

そんな中で竜を見て大樹は、


「ふうむ。竜の原初は馬に角が生えたもので、麒麟と言うべきものだったはずだ。蛟のような龍は川の化身、となれば奴はドラゴン……西洋思想の中で生まれたものか?いや、たまたま似通って」


とつぶやいていると、


猪が沼から躍り出


`ブゴッアアアアアアアアッッッッッン”


と吠える。

距離は離れているのに耳鳴りがしそうだった。

竜も負けじとか


`goaaaaaaaaaaaaaaaaaa”


金猪に劣らぬ声で叫ぶ。

それと同時に爪で猪を切り裂こうとするが、猪は竜に向けて走り出していた。

爪が見えていないかのように。


大樹はその間に道具と刀、竹槍を持って待機していた。

そして、その目を怪獣戦闘に向け、猪はどうなったかと見ると、爪より速く竜の懐に入っている。

まさに猪突猛進。


その勢いを殺さず牙で刺す抉る等々、超超至近距離戦闘……否、密着戦とでも言うべき己が肉体を凶器とした戦闘が続く。

その後も猪の間合いだったのだが、竜がボロボロになりながらも猪を切り裂いた。


そのときに竜は爪が折れた上に竜は死にかけ、猪は爪が刺さったままのせいで動けない。


今だっ!逃げろっ!大樹の体と本能は逃げの一手を選択していた。

こんな馬鹿化た戦闘に巻き込まれてたまるかッ!

後ろをちらりと見ると、竜は大樹を見ていて……


大樹は、


「死んだか?いや、まだ奴は動けないはず、猪もいるんだぜ?」


逃げる。

が、竜が刹那の内に迫り竜の尾が大樹を遮る。


ああっ、これは死中に活路を見いだせなければ死ぬ……!

今、ここでっ!

大樹→焦り


金猪→怒り

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