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第24話 しょうにんがなかまにくわわった

ブックマークありがとうございました。

ラセツは、当たって砕けろ、やらずに後悔するよりやってしろ、ハードルは高い方がくぐりやすい、死ぬ気でやってみろよ。死なねえから。


が、他者から見たときの評価である。

何でもかんでもやたら高い目標を掲げるし、取り敢えずやってみようの精神の下、為せば成ると呟きながら玉砕する。


基本的には全ての事に熱心だが、やり遂げると冷めやすい。

太く短い男である。

その生き様から、人は…“バカ筆頭”


と呼んだ。

しかし、そんな評価とは裏腹に計算高く、狡猾で臆病な面も持つ。

己が突っ込むのは、勝算が低くてもある程度あって、更に結果を問わずに目立つ時が多い。

それらを度外視するときもあるが、基本的にはそうである。


その為に、“バカ筆頭”等と呼ばれているのだが…

基本的には、自分自身だけで何かを成そうとはしない。

他力本願と言うべきか、力を合わせて事にあたると言うべきかは知らないが、その分人を見る目と、選ぶ目は鍛えられている。


ラセツにとって、自分と共にいるなどと言う言葉は遠回りの自殺か、あるいは、狂人か。はたまたゲイなのか?


それらを疑わせるには十分過ぎるものだった。

だからこそ、ジェフを見る。


破滅主義者や、危険を察知できない奴そういう奴を味方に取り込むのは、ある程度組織がでかくなって、それでいて自浄力の強い状況じゃなければ入れたくない。

はっきり言って、ゲイの方が貞操以外に気を配らなくて良い分楽なもんである。ラセツは瞳をスッと細めると、金色に爛々と輝く爬虫類じみた目に成る。


ジェフは、何かが這いずり回るような悪寒を感じ、身を竦める。

ーふむ、ある程度危険は察知できる、か。


ラセツは、案外拾い物か?

と、唇の右の端を少し吊り上げる。


「面白い。俺の道に付いてこれるか?ついて来れないと言うならば、国に帰るんだな、お前にも家族がいるだろう?」


「努力、しましょうかな?」


「言い切らない辺りが好きだぜ?まあ、良い。」


少し格好をつけた言い回しで会話をしていると、


「そんなことは良いけれど、ご飯は?」


と、エレンの問いが。


ラセツは、ぶち壊しだ…


と天を仰ぐようにしながら、“あちゃー”と言わんばかりに目元を押さえている。ジェフは、忘れていたけれど、不味いですな。と天を仰ぐように上を向く。


ラセツは、どうしたものかと考えた末に、現地補給しかあるまい、と腹を括る。行き当たりばっかりを体現するような男である。


エレンは、付近の地理を思い出しながら言う。


「今は両脇に林があるけれど、少し行くと草原よ?」


「致し方有るまい?食料が無いのだから。」


お前が食ったのだろう?とは言ってはいけない。都合の悪いことは、忘却の遥か彼方である。


「それに、草原には兎の一匹…一羽や二羽いるだろう。」


「…良いけれど、自分で捕ってよ?」


「まあ、任せるが良い。こういうことに関してはド級艦に乗っているつもりでいたまえ。」


泥どころか、砂で出来ているのではないだろうか。


「じゃあ、行きましょうか?荷は軽くなったのだから。」


「そうですな。軽くはなりましたからな。」


「ああ、感謝したまえよ?」


ゲスっ!

エレンの蹴りが脛に入るものの、


「~ーーッゥーー」


「おいおい、大丈夫か?」


鋼鉄の様な堅さを誇る脛の前に倒れる。

少し涙目になりつつ、声なき声で痛みを堪える。


「ふぅ、人をみだりに蹴るから、だぜ?」


如何にも教訓を与える賢人の如き顔でそうのたまうこの男を堪らなく恨めしく思ったが、殴ろうとでもしようものならば拳の方が壊れそうである。

耐えて馬車に乗り込んだ。


ラセツは、補強して(自身が乗れるほど)頑丈になった馬車の上にごろりと寝転がると、


「ほぅ」


と満足気な吐息を漏らした後に目を瞑る。

ジェフは、


「後始末は誰も手伝ってくれないんですな…」


と寂しく呟くと、後片付けの為に後ろを向く。

すると、そこにはもう纏め終えた荷物が一つになって置いてある。


「…いつの間に?」



海千山千の歴戦の猛者である“旅商人”ジェフであっても、戦慄を隠せない。

ちらりと馬車の方へと視線を向けるが、上にいるラセツは見えず…


「ふむ。」


とひとつ頷くと、興味を失ったかの様に荷を運び始めた。

ゴトリと荷を積み込むと、未だに脛が痛むのか息を吹き掛けながら擦っているエレンが見える。

そういうところを見れば、連れてきて良かったと心から思えるジェフであった。


二つ目の荷を積み込むと、気付いた。

何処かおかしいと感じていた。その違和感が、大きくなり、弾ける。


「荷台が、小さくなっていますな?」


そして、はっとする。

馬車自体に乗っていてすら、軋みをあげさせていたのに、上に乗っても大丈夫なのは…


「荷台を、潰しましたな?」


ジェフは頭を抱えたくなったが、何処か笑いが込み上げて、


「フフッ」


と笑ってしまう。

このような破天荒な人物が何処を目指し、何処まで進むのか。

それを考えると、


「人生とは、面白いものだ。」


つくづく、そう思う。

余談だが、荷台を潰されて笑っているジェフを哀れみの目でエレンは見ていた。


~✴️


自給自足の生活を続けている。林は最早彼方。今は、草原にいる。

小学校の頃に行った日光の戦場ヶ原を、少し豊かにした感じの草原である。

こんな草原があるならば、宿場町でも作れよ!と思わない事もないが、魔獣が出るらしい。


魔獣と言う言葉が最早便利ワードにしか思えない。

しかし、人によっては魔獣が近くに居るだけで体の具合が悪くなる事もあると言うのだから恐ろしい。


その一方で、死後の魔獣はそう言った人達も食べられるグルメだと言うのだから難しい。まあ、魔獣で苦しくなるのは、魔力抵抗の低いものや、魔力が強いものの訓練をしていないから反応してしまう者だけらしい。


最近の人族は、魔力が強まってきているから抵抗の低い事で苦しくなる奴は居ないらしい。え、俺?

俺は寄生スライムの粘鎧のお陰で魔素は遮断されている。

ダースβのマスクみたいなものだ。

無かったら、俺の場合魔獣或いは魔物化していても可笑しくない。


魔力値12を舐めたらいけないよ。

前にも言ったと思うが、魔獣は主に動物がなっちゃった奴で、基本的には知性がない。

老木とかも時たま成るらしいと言うか、ダンジョンのトレントはそれである。

ちなみに、正式名はドリアードらしい。


まあ、俺が地球の言葉に強制的に訳しているだけだから少し微妙ではあるね。

実際に訳すなら お化け老木 が一番相応しいかもしれない。

そのうち俺は、月が綺麗ですね、もI LOVE you に訳すかも。

まあ、それは昔失敗した事があるから懲り懲りなのだが。


で、魔獣は正確に言うならば、魔力抵抗(Ωと言うか)(キャパシティー)を越える魔素を受けちゃったり取り込んじゃって、知性が無くなったら魔獣。あったら魔物だ。


灼竜は魔竜(獣)である。恐らくリッチや老師は魔人(物)であろう。で、だ。

魔物に成ると大概の奴が凶暴化して反社会的に成る。


「フハハハハ」とか笑いながら、町中で暴れたり、「汚物は消毒だァァァ」とかわめきながら炎弾をブッ放したりとかね。

基本的には、魔物は群れを作らず、自分以外の生物を奴隷のように使う。

魔獣は、魔物に隷属するか群れを作る種類なら群れを作る。


エルフとか、森の民と直訳されるがファンタジー色を出すために敢えてエルフと言う、は魔物では無く亜人である。俺としては、人に亜ぐ(ひとにつぐ)と言う意味だからあまり使いたくないが、そんなことはどうでも良く。


「町は……まだかなぁ。」


うさぎとかを捕るのは上手いラセツであるが、せっかく穴蔵から出たと言うのに、全然人と会っていない。前の町では笑われただけである。


神眼で町を先に見ても良いのだが、いかなる原理か、音は聞こえるのに、匂いはしないのだから直に見たいと言う思いがある。


「ラセツ!兎よ。」


エレンはラセツの作った兎捕り…円盤の様なものでマタギに習ったワラダウチと言うもの…を使った狩りが好きなようで、兎を異常に捕らせたがる。


一度、


「そんなに楽しいんなら、自分でやれよ。」


と言った事があるが、


「嫌よ。私がやっても下手だもの。」


とにべもない返答であった。

ラセツとしても、無理にやらせる事でも無いし、やらせようとも思わない。

どうせ投げるか、射るだけなので、特に何も言わなかった。

只、切実にして唯一の思いである、取りに行くのが面倒臭い事を話すと、


「なら、私が行ってくるわ」


と言って、エレンが取りに行くように成った。

一体何が彼女を駆り立てているのだろうか?

そのせいかお陰か、最近は兎料理に次ぐ兎料理である。

命を戴いている訳だし、文句は言わないが…


だが、すこしは思ってしまうのである。

他のも食べたいなあ…と。


兎はとらせるのに、他のは獲らせないエレンに構ってやりつつ、ラセツは辺りに気を配っておく。


「ラセツ!兎よ」


その声を聞きつつ、体を起こすと…ピクリと右眉を跳ね上げつつ


「大物が来たみたいだな。」


そう呟く。

左手と腰の捻りで兎捕りを放ると、独特の音をたてながら飛んでいく。

そうしたら、右手で弓を掴み、矢をつがえて目を細める。


「猪、か?」


成る程。この辺りには、根菜や稲科っぽい植物が生えている。

ここいらにいても、可笑しくはあるまいか。

ラセツは、真っ昼間から駆け回る猪目掛けて、弓に矢をつがえよっぴいて、当たるな、と思ったら、ひょうっと射る。


上手い具合に眉間に刺さった矢を見て、


「今日はツイているのかね?」


と呟くと、兎捕りを投げる音を聞いて馬車を停めていたジェフに、待ってろと声をかけて、飛び降りる。

猪に駆け寄ると、懐に入れておいたナイフを抜き放つ。


このナイフの切れ味はハッキリ言ってよろしくない。と言うのも、良すぎると、すぐ鈍くなってしまうのだ。

その為に、ある程度切れるようにしたら、必要以上には研がないのだ。


ラセツは、鼻唄を歌いながらあっさりと解体して、骨だけが抜けた猪を作る。

四本の足を先で縛れば、まさしく丸焼きの前の猪と言った体に成る。


そこを掴んでノッシノッシと歩き、馬車につくと、少しだけ嬉しそうに


「昼飯だ。」


と言った。


本日の昼食。

久しぶりの兎以外の食材。

しかし、肉と言うものに限らず、物には大小あれどクセと言うものが存在する。


肉の中でも、マトンや熊。

奴等は特に顕著であると言えよう。

つまりは、何が言いたいのかと言えば、


「あまり美味しくない。」


エレンの口に合わなかった、つまりはそう言う事だ。

酒と調味料に浸けて2、3時間置く程度では臭みが取れなかった様である。

それでも、肉の筋はしっかりとフォークでブスブスして柔らかくしたし、穴を開けた分味も染みてはいる。


あれだろうか。

俺の秘蔵のにんにく醤油が合わなかったのだろうか?

作り方は、新ニンニクを醤油に浸けるだけというお手軽さながら、旨いのである。


「仕方あるまいか…」


ラセツは、腰に括り付けてある小さい樽を外す。


この樽は、セントバーナードが付けるワイン樽よりも小さく嵩張らない。

この中には、さらに小さい壺が入っていて、その中で六年ものの梅干しが入っている。

六年も漬ければ、梅本来の甘さと酸っぱさが同居してこういう肉の付け合わせとしては優秀である。うってつけと言えよう。


只、梅干しは作るのが面倒臭い。

まず、梅を探す。これには十年ほどかけている。


そして、成った実を収穫。

所詮ラセツの片手間にすぎない。


その為に、傷んでいる物が多い。

それを取り除くので一苦労。


梅のへそを取る。

これも面倒臭い。ここで傷めたらパァであるから丁寧に行わなければならない。

そしてラセツが丁寧に丹精込めて作り出した蜂蜜達を大量消費して赤紫蘇での色付けも行う。

なんだろうか、ゲーム等の素材を集めた後に使いきったような、そんな時に感じる虚無感や喪失感を全身に受けながら3年程待ったら完成である。

待てば待つほど美味いが食べてしまう為、6年物は案外貴重なのである。


さて、そんな梅干しを肉に塗り込んで焼く。

そして、パクリと一口するのだ。

うん美味い。焼いてから塗った方が美味そうだな。


ジッと凝視してくるエレンを尻目に、我がラセツ王国(仮)傘下に、しいては我が配下に成ったジェフに与える。

ジェフが上手くルートを作って上手に売ってくれればお金に成る。


お金になれば、出来ることが増えて俺が嬉しい。

そして、俺の喜びはジェフの幸せ。WINーWINだな。

とてつもなく横暴な事を考えるラセツであるが、ラセツとしては


“俺に付いてくると言うこと。つまりは、そう言う事だ。”


と、良心は咎められない。


“俺の幸せは皆の幸せ”


こう書くと、物凄く聖人の如く皆の幸せこそが私の幸せです。と言う意味に見えるから不思議である。


実情は、私の幸せこそが皆の幸せです、だが。


ラセツはいい加減凝視が睨みに成っているエレンを見ると、仕方無いなァと言わんばかりに肩を竦め、溜め息をつくと皿に載せてやる。

ジェフの。


エレンはキレてラセツの脛に蹴りを入れて悶絶する。

ラセツは、この娘はいい加減学習しないのかねぇ?と思いながら今度こそエレンの皿に載せてやる。

それをパクリと食べると、満足げな表情を浮かべ…酸っぱさで再び悶える。

それを見てラセツはゲラゲラと笑い、ジェフもつられて笑う。

エレンはそれに不満を抱きながら、それほど嫌では無いことに驚いた。


~……~…~…~✴️


ガラガラと馬車の車輪と車軸が鳴るなか、車内ではエレンが眠り、御者台にはジェフと普段は軋むことを嫌って乗らないラセツが珍しいことに乗っていた。


「…成る程。そう言うことでしたか。」


「ああ。エレンの素性はこんな所だな。」


ジェフはエレンの身の上話を聞いて何処か納得していた。


「ですが、何故今?」


「ここから先、お前が俺と共に在ると言うのならば、逃れられん。」


「継承問題、ですな?」


「直近で言うならば、そうだ。そして、これの厄介さは、歴史が教えてくれる。」


「私には関係ない事だと思っていたのですがなぁ」


「俺は、エレンを王に推す。奴の意思に関係なく、だ。そして利用させて貰おう。」


罪悪感を感じぬ訳ではなく、飲み込んでいる。

ジェフは、己を曲げられる者を何人か見てきた。大概が自分を守るためのモノだった。

一体、この人は何を守ろうとしているのだろうか?


「一体何に利用なさるのですかな?」


好奇心のままに尋ねる。


「国を新しく作ろうと思ってな。」


「国、ですかな?」


「左様。俺の、人民による、俺の為の国だ。」


「何の為にですかな?」


「それを知るにゃあ未だ資格がないな。」


「では、精進せねばなりませんな。」


「はっはっは。そうだな。或いは…いや、たら、ればはよそう。」


「?」


「我が協力者ジェフよ!お前に尋ねよう!」


「ッ!?」


ジェフの背中に震えが走る。

思わず這いつくばってしまうほどの圧力を感じるが、ラセツの爛々と金色に輝く瞳がそれを許さない。


「お前が此より先に我と共に在るか、と。」


「…ええ。勿論です。」


「成る程。多少考えたな?」


「そうですな。」


「いや、構わんよ。むしろ考えてくれる方が、有難い。」


「それは何故?」


「重要なことを考えないのは一人で十分なのさ。」


ラセツは馬車の上にヒラリと上ると、その軽やかな動きとは裏腹に馬車が揺れた。

それを感じながら、目を瞑った。



……


『ラセツよ、もしあの問いに否を突きつけられた時どうした?』


「…プロメテウスか。その問いは無意味だな。」


『何故だ?』


「その時にならねば分からないからさ。俺は愚かだから。」


『行き当たりばったりだと?』


「そうとも言うね。でも、俺はあいつが結構お気に入りだ。」


『そうか。』


「だから、あまり壊したくないね。」


『…』



~~✴️


我々“ラセツと愉快な仲間達”は現在二つ目の町に来ている。

旅の様子を更に綴ってもまあ構わなかったのだが、それをやると俺の日記帳はあっという間に埋まってしまうだろう。さて、話を戻そう。


二つ目の町の名をツギニと言う。

このカイシから始まりオリウスを突き抜けていく街道を、“禁域”とか“魔境”と言われる場所からの魔物の大規模進行、それを食い止めた英雄ハシビロ公が使ったことに因んでハシビ街道と言う。


この街道を東に進むと、オラリオ候爵領を初めとした複数のテレッシア貴族の領土を横切り、テレッシア王国 王都 エッセルガルド に到着する。

複数の領土を横切るから遠く聞こえるが、ハシビ街道付近は貴族領が密集しているためそこまで遠くない。


これには理由があって、魔境からエッセルガルドまでの平坦な一本道はここしかなく、それを抑える為に複数の貴族を配置することで一個目の貴族の兵団が敗れても二個目三個目と続けられるからである。


その為に、ハシビ街道は軍道として広く作られており、それに面する都市は堅城であったり逆に壁を無くして逃げ易くしたりするなど工夫が凝らされている。

そして、この町ツギニは商業都市の別名を持ち、多くの商人、旅人を受け入れるために壁がないタイプの都市である。

将来、俺が上手く国を作れた場合このツギニに集まる商人をそっくりそのまま移すのが夢である。



~…✴️


町に入る為には基本的には二つの入口がある。


一つ目はハシビ街道から入る。


これが最も一般的であり、一般的であるが故に最も混む。


二つ目が、禁域側から入ることだ。

つまりは、俺たちだ。


最近気付いたのだが、禁域、あるいは魔境と言うのは俺のよく知る場所なんじゃないかと思うんだが……

おっほん。魔境側からは、結構速く入れるからハシビ街道からわざわざこっちに回ってくる方が早いときもあるらしい。


で、俺たちはそのまま入れると言う訳だな。


「身分を証明できるもの、目的を言え!」


厳つい門番からの言葉にしたがい、ジェフとエレンは証明して、中にはいる。

二人ずつ見ていくスタイルなので、奇数の俺だけおいてかれてショックである。


「身分を証明できるもの、目的を言え!」


厳つい門番は俺を見上げながら言うから、意気揚々と傭兵証を出す。

この紋所が目に入らぬか~


「目的はなんだ?」


「仲間に付いて来た。」


「そうか。問題は起こすなよ!」


起こさねえよ!全く失礼しちゃうわ。

と、思いながら中にはいるとジェフ達が待っている。


ラセツは、入った関所のお隣から牽かれて来るジェフの馬車を見ながらジェフ達に声をかける。


「入れたぞー」


「良かったわね。入れなかったらおいてけぼりだったわね!」


鬼かこいつは!


そんな内心を隠してラセツは、


「それで、約束の店は期待してもいいのかね?ジェフよ。」


ジェフに話をふる。

流石にこれから王に推す少女の頭に拳骨を落とすわけにはいかない。

ラセツは小学生の時に編み出して改良され続けた技をぶち込みたくなる衝動を楽しみで紛れさせる。


「ええ。無論ですな。私が自信を持って案内させていただきます」


「まぁ。俺は味には厳しくないがな。」


嘘である。“食のクロムウェル”とまで呼ばれる程この男の食にかける執念とすら言えるこだわりはすごい。

自分では普通だと思っているが…


「お手柔らかにお願いしたい所ですな。」


ラセツ達がトコトコ、と言うには一人(いか)ついのが居るが歩いていく。

町の中央。一目で中央と分かる、複数の道路の交差地点でジェフは止まった。


そこには、この町にあって場違いと言えるほどに綺麗な店があった。


「こちらが、我がセイル商会が誇る、“シード”です。」


ラセツ→高いところは、良いなぁ


ジェフ→愉快


エレン→同情と哀れみ


プロメテウス→きえて……いく


龍生→なろうっぽい名前が思いついた!次回から一定期間の間、気分転換に


『“馬鹿の怨返し”クラス転移なのに、神の怒りを買って一人だけ異世界に落とされた~600年におよぶ戦争記』


へ名前を変更します。


龍成→タイトルがコロコロ変わると編纂している私が困るんですが。

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