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第2話ちょっとした回想

長いお付き合いになれば幸いです

「今日この日が死ぬ日だというのであれば、これほどいい日は無いだろう」


死ぬときは、笑おう。

生まれたときには泣いていたのだから。


「運命よ、我が前にひれ伏すが良いーーーーッ!!」



~✴️



 やあ、初めまして。

 俺は苗字以外は極めて平凡……かどうかはそこら辺に置いておいて、お茶目な少年だ。

 その苗字にしたって、白鷺(しらさぎ)っていう一目じゃあ分かりにくい名前ってだけで、城好きにしてみれば、姫路城のアレだろう?という程度の物に過ぎない。

 後、うちの一族は結び付きが強いってのも、俺の乏しいキャラクター像にアクセントを加えてくれる。

名前も大樹であり、まるでSLの名前をくっつけたみたいですらある。

だが、お気に入りの名前だ。


 特技ではないが、奴隷商人に拐われて紛争地帯にうっかり入っちゃった、涙無しには語れないお話を語ることも出来る。

 釣り人でもあるから、多少話が大きくなるのは見逃してほしい。


 はっはっは、はぁ。


 ~~~~回想的な何か~~~~


 とある雨の日。

 土砂降りでは無く、シトシトと降っている日


 三つの傘が並んで動いている


 何処か神経質そうな顔の少年とゴリラに似た顔のガタイの良い少年。

 とうとうこの日が来た、と言わんばかりの顔をした少年


 彼らは、中学校三年生。


 受験を2,3カ月後に控える、由緒正しき(?)受験生である。

 そして、受験前最後の定期考査。


 天才とも称される頭脳、

 はたまた努力の結晶を頭に、

 或いは、無駄な自信とちっぽけな脳を引っさげ、三人で歩いていた。

 


 

ちっぽけな頭脳を持つ白鷺 大樹(しらさぎ たいき)

その隣のゴリラ顔は、坂崎(さかざき) 雄斗(ゆうと)

最後に、自他共に認める天才、須藤 巧(すどう たくみ)


 彼らが教室に入ると、数人が此方をチラリと見て挨拶をしてくる。


「ういーっす。よう。元気か?テスト勉強したか」


 適当な挨拶だが、こんなもんである。

 そして、テスト前によく見られる光景である問題の出し合いが始まる。


巧は個人での集中型なので、テスト前は会話をしなくなる。

大樹と雄斗はお互いに向かい合わせに座ると


「TPPの日本語での正式名称。」


「白○桃」


「馬鹿か?」


「冗談だ。環太平洋パートナーシップ協定だろ?」


「お前、冗談言ってられるのか?」


「う、うるさいっ。ゴリラのくせに生意気だぞっ」


 若干声を変えながら楽しげに言う大樹。


「お前は毎度毎度のことながら、俺のことをゴリラと言うが何処がそうなのだ?」


 若干呆れが混じっている。


「顔だよ。ゴリラ」


「よし。表出ろ」


「ヤダよ」


 やいのやいのとじゃれ合っていたが、大樹の首が雄斗の手で締められる。

その手を大樹が青い顔でタップ、しかし力無くぶら下がりあたかも安い人形のようになり始めたあたりで、


「ちょっと、大樹の顔が青いわよっ!」


 一人の少女が入って来る。

 この少女の名前は、日向(ひゅうが) 千穂(ちほ)と言う。

 大樹とは小学校6年間と中学校の2年間を過ごして来た。


 本来なら大樹は他の中学校に通っているべきだった。

 しかし、大樹のせいでは無いが、関わった事により、校舎が倒壊したのだ。

 何があったかは言えないが、倒壊したのだ。


「えっほっ、げほぅ。ヒューヒュー。川の向こうで曾祖父さんが呼んでいたぞ?」


「まだ、随分余裕そうじゃないか。お前の曾祖父さんまだ道場主やってるだろ。107歳で」


 現在は大樹の入り浸っていた工房の隣の道場に君臨している。

 まだ歯が2本しか抜けてない事と病気になったことが無いのが自慢である。


「物の例えだよ。死ぬかも知んないっていうことを言う為の」


「お前、例えであの爺さん殺したのか?全く……例えとして不適切だろ」


「お前、人の曾祖父さんを化け物の様に……許せん!」


「そう思っていないのか?」


「思っているが?」


 ぎゃあぎゃあ騒いでいると、


「静かにしてもらいたい!」


 突然語尾の強い言葉を叩きつけられる。

 叩きつけられると言う表現が似合う程の勢いであった。


 この少年の名を東出徹(ひがしでとうる)と言う。

 良くも悪くもクラスだけで無く、学校全体にも影響が大きい。

   基本的には、東出と言うのが言いにくいと言う理由から、(ひがし)と呼ばれる。


 ただ、大樹にとって、厄介な相手だった。

 東出は大樹を嫌っている訳ではない。

 東出は日向に片思い中である。


 少女漫画風に告白しちゃうぐらい本気で、である。


 しかし、この東出は恋に鈍感であたかも漫画のヒロインであるかの様に恋に気付くのが遅かった。


 そしていざ告白してみればはぐらかされ、幼馴染みポジションの男(大樹)が現れたのだ。


 その男とは親しげ(に見える)だが、自分には一世一代の告白をはぐらかす……

 要するに、嫉妬である。

 男の嫉妬はなんとやら。


 大樹に対してはもっと別な想いも持ち合わせているし、そちらの方が比率は大きいが。

 しかし、そう言う事情はともかく、言っている事は正しい。ならば従うぐらいの度量は大樹も持ち合わせていた。


 その為、謝ったのだが、


「ちっ!」


 従ったら従ったで、舌打ちが出るのは恋する男の性であろうか……

大樹に関わる以前は理想なイケメン、みたいな人間離れした物を感じさせたが順調に人へと落ちていっている。


 簡単なホームルーム……中学校では朝学活が終わり1時限目の数学も終わり、その五分後に試験官が入ってきて、試験は始まる。



大樹は心中で数学は中々良かったな。次の英語、リスニングは行けるとしても……等と独白しながら


クワッ!


 問題冊子を閉じたまま透かし見る!と、言わんばかりのまなざしで試験開始の合図を待っていた。


「ぎゃあぁっ!」


しかし、姑息な大樹が思わず目を抑えながら叫んだ。

 うっすらと見える英文に目を限界まで見開いた瞬間、“いまだっ!”と言わんばかりに床が光ったのだ。


 床に、日光が反射した訳ではなく、床が光っている!

急に陰陽師の清明桔梗やダビデの五芒星、いわゆる魔法陣の様な物が現れたのだ。


 魔法陣は大樹の目が回復する時には、複雑な幾何学模様とその上に文字が重なっていた。


同時、事態に反応した者がいる。


「急げ、全員外に出るかまとまるかしろっ!」


 雄斗は叫ぶ。

 彼は野生の勘、もとい大樹に巻き込まれた経験から、テスト中という認識を捨てた。


 これで何事も無かったら恥ずかしいで済む行動ではないと言うのに……


がたっ! がっちゃん! と派手な音を立てながら、大樹と雄斗、巧の三人が駆け出し、扉が開かないことに気づく。


「くそっ!」


「鍵はかかっていないのだが?」


 すると背後から、


「そこを、どけっ!」


 雄斗がクラウチングスタートを切り、そのままドロップキックを放った。


   派手な見た目である。


 しかして、その結果は凹みすら作れず、


「床を削るか?」


 大樹は聞く。


「いや、投写なら……いや、歪みでずれるか?」


 と、巧は呟くが


「いや、下手にいじるのは危険な気がしてきた」


 大樹は返す


「ッ!なら、固まるべきか?」


 叫ぶ様に巧は、火災時には滑り台のようになる装置の入った金属の箱の中を漁りながら訊き返す。


「ああ、分断はされない方がいい!」


 大樹は叫び返す。


 一箇所に固まる為に中央に駆け出した直後、光が視界を埋め尽くしたのだった。


 ~✴️


「ここは、どこだ?」


 大樹はいま、深い霧の中にいた。


「……よくある拉致では?」


 近くにいた雄斗が言うが……


「よくあってたまるか!また大樹のせいで……」


 巧も神経質そうな顔を嫌そうに歪め、そのまま大樹の方に近づくと、布に包まれたまな板ぐらいの大きさの物を渡す。


「ごそごそやってると思ったが、こう言うことかよ」


「あった方がいいだろ?」


「まぁ」



霧が唐突に晴れ、


「な、なんてこった」


大樹は唖然とした様に呟く。


「ほう?これは……ギリシャだったかっ!」


被せて巧は叫ぶ。


 そう、その場所にはパルテノン神殿に似てなくもない物があった。


「どこだ此所はっ!」


 背後からの声に三人は振り返ればクラスメイト達がおり、見計らった様なタイミングで光の塊と言って良い様なものが来る。


「上から来るぞ、気を付けろ!」


 某・光の巨人と違って、赤い訳でものみこまれた後に語りかけて来る訳でも無く白い光の塊であった。

そして実際に上から来ている


 すると、少しづつ形が変わり女……金髪碧眼の身長は170センチ程。髪の毛はゆるいウェーブが掛っている。に、なる。



 その背後には十数人の男がいる。

 そこで大樹は、思う。


 嗚呼、ファンタジー(非現実)に関わる事になるとは……

 厄介な事になる事なかれ、と。


   俺の人生(波瀾万丈な人生)は一体全体、何処に行くのか、と。

白鷺大樹→馬鹿


須藤巧→天才


坂崎雄斗→ゴリラ


日向千穂→アワレな常識人


東出→マトモだったせいで可哀想なことになった人

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― 新着の感想 ―
[良い点] おバカ友達の会話で少しクスッときました。 [気になる点] 丸括弧の中の文や記号、絵文字は小説に入れるのは不適切ですね。 [一言] むむ。まさか召喚されたところで一話終わったとは。まだまだ始…
[良い点] 一話からの捲られた新しいページの彼らがどうなるのかという展開、メインキャラクターの分かりやすさが良いなと! クラスメイトごと連れていかれた事に何かのドラマを不意に思い出しました。 (学校…
[良い点]  ルーです。つい気になって書き方を直してしまいました。もし気に入らないようなら消してもらっても構いません。  これからどんな展開が待っているのか楽しみです。俺は読むのがおそいので少しずつ…
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