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第15話 古の賢人、おーぷん・せさみ

「かふっけふっ。<治癒>

し、死ぬかと思ったぞ・・・というか、体を鍛えていなかったら落下ダメージで死んでいただろう。もう、この世界いやっ!」


そんな事をヒステリック気味に叫ぶと、目の前に扉があるのに気づいた。


「ふむん?なんだこれは?」


そう言いながら刀の先っぽで突っついていると


`かちっ”


と言う音がして、刀が若干前に動いた。


ビクッ

スタタタタ。


その逃げ足は正しく脱兎の如し。


「しかし、何も起こらないな。 はっ!まさか下かっ!」


しかし、何も起こっておらず・・・


「ふう、最近落ちてばっかりだからね。いやあ怖いね・・え?」


扉がゆっくり、ゆっくりと動いていく。


「な、何が来ても怖くないぞ。俺の知り合いは文字道理化け物ぞろいだからな・・・」


なかなか酷い。

そして、開ききった扉の中を見た後、石で扉を固定しにかかる。


「昔、こっちに来る直前だけど、俺のやってたネトゲを思い出すね。

ギルドの精鋭で攻略中も入った途端閉まるって奴のせいで、超・大ピンチになった事もあるし。少し慎重にね』


あの時はヒドかった。`まおうっ!”と言うまるでギャルゲーのようなタイトル表記のくせに本格的な、生産、戦闘、探索の出来る傑作で、純和風(日本のサブカルチャーらしい)なタイトルなのに世界規模のゲームで数多くの伝説がある。


曰く、

一時期有名なゲーム評論家達が他のゲームを評論せず、しかし`まおうっ!”の評論をしていた訳でもなく、ひたすらやりこんでいた、


曰く、

`まおうっ!”なんてタイトルだけれども、魔王はいない。


曰く、

NPC一人一人に自我がある。


曰く、

ダンジョンを攻略すると所有権を得ることが出来る。


等々


さらに

絶妙な配分のスリルに、定番があるのだ。

大樹はギルド、`悪の組織”の創立者の一人だった。

今考えると、どんな名前だよっ!とツッコミたくなるが


だから、名前に相応しい組織に成るために新人達にこのゲームの厳しさを教える為という名目でアシスト無しの方が強くなると言って一人で二十人の新人を虐めたりしたのだが・・・


まあ、そのお陰かは知らないがギルド`悪の組織”は、ウドの虐めに、耐えられればソロでも何でも行けるようになる。と評判だった。


ちなみに`ウド”と言うのは、大樹だからwoodである。


まあ、実際は何故か名前設定で一つのキーは連続で押せないという[まおうっ]初期の謎のバグで、当時小三の俺はXTUでッになることを知らなかったためになった名前である。


しかも、[まおうっ!]は基本的に名前の変更は不可能で、パッチが入ったときに一回だけ初期プレイヤーは変更できる権利が配られた。

そのために、巨*フェンリルは、変態プレイヤーネームを変えられた。


そんなこんなで評判になった俺たちは、精鋭でダンジョンに挑み、戦っていたら、雰囲気のある扉があった。

盗賊職でも無いのに偵察に評判のある俺と盗賊職達で中に入る。と同時に閉まる。


眼が赤く光っている奴と戦う。


数人を残して勝つ。


しかし、扉は開かない。


戦っている時には使えた回復アイテムの使用が不可


チャットも使えなかった。


そのまま、連戦。


俺以外全滅。


どうにか勝つ


ファンファーレと共に扉が開く


仲間達が来て、帰る


と、言う流れだった。


戦闘中に手元が狂ってHPバーが満タンの時に飲むとしばらく回復し続けると言う激レア薬を使ってしまったが、結果オーライとか、


「番号交換してください!」


と誰かが言ったのをきっかけに、ギルドメンバーはほぼ全員フリーメールのアドレスを知っていたとか等の幸運の手助けがあったのだ。


転移される10日後に数年に一回一種類更新される敵の六種類目に当たるワールドボスに挑むつもりだったんだが・・・・

ああ、ドタキャンしたことになってんだろうなあ。


なんて事を考えながら扉に細工して、中に入った。


しかし、ここの空気が綺麗なお陰で分かるが俺の体臭がキツい

唯でさえ代謝が良いのに、最近は戦い続けていた。

お陰で酸っぱい臭いなんてもんじゃあ無い。


しかも、服も学ランは見る影も無く、ワイシャツも終わっている。

下もこの前、社会の窓が壊れたし、下着は洗っているとは言え、鬼のパンツでは無いのだからぼろぼろだ。


そのため靴も下駄になった。

ジャングルの層に、でかい蚕っぽいのが居たから今度戻って取りに行こう。

そんな事を考えながら進むと・・・


「同郷の者か・・・」


重厚で、知性を感じさせる落ち着いた声が耳に届く。


「誰だ?・・・どこにいる?」


怖い。何?なんなの?イベントなの?

おねぇが入る思考。


「お主の眼の前にいるではないか』


「目の前?」


大樹はキョロキョロと見回していた目を前方へと向けて、徐々に下に向ける。


すっかり下が恐怖の対象になってしまったようだ。


何もないことを確認した後に少しずつ視線を上に上げていくと・・・


「でかいっ!」


何か黒い鎖に縛られているのか何かSMっぽいことしている巨人がいた。


「同郷って言うけれど、俺の故郷に巨人はいない。球団はあるが』


「?そうなのか、ふうむ・・・おかしい。 儂以外の者が作りし人の匂いが」


「おいおい、何だって?そんなに臭うかい?」


「いや。臭うと言うわけでなく。そうではないのだが」


人を作るって神話みたいだ


いやそんな感じするよ。

嫌だな。


嫌な予感がするような。


「そうなのか?」


いい加減驚きすぎて、もう何を見ても聞いても平坦な声で聞き返す大樹。


「いかにも」


ふむ。なるほど。今までここで会ったのはどれもメジャーな妖怪だ。

ならば・・・・神様じゃない事を願って。


「デイダラボッチ?」


「違うな。火を盗み、昔は縛られて肝を食われていたのだが・・・」


「名を言ってく・・・うん?」


「すまんのう。儂の名はあの者に言う事を禁じられておるのだ。されど、名を告げられれば、封が解けるのだが・・」


ビートルジュースみたいだな。


「なあ、名を思いついたんだが・・・言ったらどうなる?」


「肉体が崩れるな』


「いや、じゃあ言わない方が良いんじゃあ・・・」


「その時は主の体に宿らしてもらおう」


「いや、何いってんだよ。しかも、俺の体なんて後数十年ってもんだろう?」


「何を言っておるのだ。今更もう一つや二つ宿っても変わらぬ、お主が数十年で死ぬものか」


「それは、先読み・・・先見の明って奴か?」


「しかり、しかり。儂の名も分かったようだ」


「ふぅ。何故俺なんだ?」


自分を少し落ち着けるために一つ息をついてから尋ねる。


「お主しかこんな所に来ないと言うのが一つ。お主にある、神気の器が異様に儂に合う事が一つ。あの者を止められるかは分からんが敵対している事だな」


「なるほど・・・あの者ってディネアかい?」


「ふむ。今はそう、名乗っておるのか・・・いかにも。

あ奴はゼウス、オーディーンの眼をかいくぐりこの世界を作った。

いや、色仕掛けでゼウスの力をも纂奪して、な。

しかも、儂の先読みでゼウス達が介入するのを恐れ、邪気を纏わした上にゼウスと同じ封をしおった。

儂がエピメテウスとパンドラを庇った隙にな。

先が見えても何もできんと言うのは腹ただしいものよ!」


「おおう。ディネアはそんなに凄かったのか・・・しかし、有名な弟夫妻まで実在していたのか。箱が有名だな。

まあいい。俺は仁義に重みを置くが、あんたとは特にない。利点はなんだ?」



「ふむ。利は神眼の開眼、及び神気。そして、ゼウスのちょっとした知恵袋たる儂だ』


「ふむ。分かった。なら害は?」


「害は特に無い。もしかしたら歴史の紡ぎ手になるかもしれぬが・・」


「歴史の紡ぎ手?」


「神に魅入られし者よ」


「ふうむ。なるほどねえ。で、どうすればいいんだい?」


神に魅入られる?

どっちだ。

デメリットと言うのならば、なにかヤバイ筈だ。


予想道理ならば、結構苦難の道を歩んでいる巨人の言うことだ。

損得計算は必要だろう。

しかし、慈悲深き巨人の事である。


人を嵌めるとは思えない。

いや、今のままではディネア(復讐対象)に俺の牙は見せることすら(あた)わないだろう。

前に進んだ場合に地獄が待っていようと、今のままでは目的なんぞ果たせるはずもない。


退いても停滞しても変化がないと言うのであれば、勝算が低くとも進むしかあるまい。

今の確率が0だと言うのならば、これ以上下回ることはない。

ならばこそ。


「お主が今まで何かしらの概念を込めたものなら」


「概念を込める?」


「うむ。たとえば、儂の名と概念を崩せる物だ。

 だから、しっかりとした物、荒唐無稽な物でない物に概念化せよ。

 一回こっきりだからな』


「ただアンタの名を言うだけで良いのか?」


「儂について、形を持てるなら』


「了解。じゃあいくぜ?」


「うむ』


了解が得られた俺は刀を抜く。

これが唯の刀で、力を吸収しているのでは無くとも、こいつは俺にとって、唯一無二の神刀。


俺がそうと決めたのだからそうなのだ。

こういうものは信じたもの勝ちさ。

荒ぶる風の神が蛇より得た刀の概念化をする。


そして、構える。


「かつて、先見の明がありし巨人は、己の作りし人が凍える姿を哀れに見たと言ふ。

 彼の賢人は、主神の言を破り、文明の火を与えたと。

 怒りし主神、賢人をコーカサスの山に磔にし、金色の鷲に肝を喰わしたと言ふ。

 されどっ!人々は慈悲ある巨人に感謝し、たたえた。

 その賢人は大戦のおり、早くに神に付いた事から先見の明ある者と呼ばれていた。

 そして、賢人は戒めを解かれ、また主神に仕えたと言ふ。

 その賢人の名と、我が故郷の神刀を以て、今再び磔にあいし賢人に自由をっ!」


大樹は名前の大切さを知っている。

何故ならば己が白鷺であることに誇りを持っているから。

よくあるラノベみたいに現実に嫌気がさしているわけではない。


充実した現在()にて自由と幸せを謳歌していた大樹は異世界に落とされると言う理不尽な目に遭っても、こんな状況になってもディネアに憎悪と言うのも生ぬるい感情を向けてでも生き残ろうと、足掻こうとしているのは…


白鷺としてもっとも恥ずべき行為である理不尽(運命)になにもせずに屈することをしたくないから。


白鷺の一族の恥となりたくないから。

なればこそ、この名を告げよう。


      「彼の賢人の名はプロメテウス!」


    そして、引き斬るっ!


「見事っ!」


俺は巨人ことプロメテウスの賛辞の声と迫り来る白い玉。

そして、斬った筈の縛鎖が来るのを見た後に、巨人の体から溢れた光によって、意識も白くなった。


「アアアアアア!」


体には途轍もない痛みがあった。斬りさいた鎖の半分近くは消滅。

残りは実体であり実体でないと言う意味の分からない物となっていた。


そしてそれらは右手に入った。


寄生されたかと思ったが自由に出し入れとまではいかないが、ささくれを引っこ抜くときぐらいの痛みを我慢すれば行けるものである。

イメージとしては必殺仕事人の鋼糸が鎖になった感じである。


カラカラっていう音ではなくチャラチャラと言うCHARAついた若者のズボンにくっついているチェーンのような音。


そして、今はウルトラ○ンが来るときのハヤ○隊員の様である。


「無駄に、格好付けすぎたか・・・末代までの恥だ』


やり遂げたと言う達成感を抱いているからか、冗談めかして呟いた。


その後に、ガクリと倒れた。


~✴️


痛みの理由は過吸収だという。

俺の体はこの世界に適応するために吸収を行っており、一定量を吸収すると吸収しなくなるとか。


言うなれば、強制的な進化と言って良いかも知れない。

適応させるためにぶち込んでいるわけだから。

しかし、俺の体は今後その力を能力にすることは無いだろうと言う。

極めて特殊な事に、多飯喰らいの安物喰わずなんだと。


これは、俺の体が竜、神そして鎖の邪も吸ったから。

それらを吸った事により味をしめたのだ。

そのせいで、竜を喰らう以前に得た分しか魔力を得られなかった。

そして、これ以上に美味いものしか吸わない。


だから、今回で吸うのも終わりになるそうだ。


まあ。痛みが引くまでにプロメテウスとまとめた、俺の体についてだ。

  テストに出るぞー


なんのだよ。

生物学的にいうのであれば、水平伝播に近いのかもしれないが一世代で行っていることから全く別物ではある。

どちらかと言えば、部位を強制移植されたといった方がいいかもしれない。

もちろん、適合率は1%を優に下回る確率である。


次に、魔力は魔法とかに使うやつだ。

一般人ならこれの二倍、魔法使いとかだと2乗くらいが魔力抵抗数と言い、その生物が持てる魔を示す。


これ以上のものを一度に体に入れられたり、純粋な魔を浴びようものなら魔獣とか魔物と言うやつになってしまう。


魔獣は理性無きもの。

魔物は理性が在るけどイカれたやつだ。


そして、灼竜は魔獣。

魔物だった場合は、俺は今この世界にいないことだろう。


そして、体としては一定以上の温度で熱は感じるが恐らくターミネーター2のあのラストの感動のシーンを代わりに俺がやった場合、焼け死なないと言うハプニングが起こる程度には炎耐性がある。


俺のヤナ死因のトップスリーに入る焼死の可能性がなくなったのは喜ばしい。

因みに残りの二つは、溺死。

そして、最近入れ替わって高所からの落下による死だ。


肉体は、強靭で膨張による強化だけではなく、質の強化によって見た目よりも圧倒的にパワーがある。

その代償か異常に重いがまあ、仕方あるまい。


髪の毛は斬れにくく、ほぼ燃えない。

その代わりに伸びるのが異常に早いのだが腰まで来ると止まる。

しかも、頭をかきむしってもなんと、その数秒後にはもとの髪型に。

そンな効果要らない。


『ふむ。痛みも収まったようだな』


賢人は言う。


「なーにが、ふむ。だよ。害があったじゃん。痛みと言う害が」


『すまぬ。お主がまさか、鎖まで吸うとは思わなんだ。しかし、鎖にはかなりの量の邪気が込められておったから邪眼も開く。しかし、種族は変わるが』


「へ〜。邪眼も・・・種族が変わるってなんの事だ?」


『うむ。お主は人から何かとの間。人間となる』


「人じゃ、無くなるのか?」


『否。違うぞ』


「だよなぁ。いや、変わってたらね。きついと俺は」


『もう、変わっている』


「死ねっ!」


=================


「はあ。地球に帰った時どうしよう。塩基配列変わってるんだろ?

 思えば、傷が一晩で治るって言うのもおかしいんだよ。

 はあ。絶対ディネア殺す。斬り殺す。ぶつぶつぶつぶつぶつ」


『まあ、とりあえずお主の眼を見てみようではないか』


「うん?あ、ああ」


『ほう。お主のは、儂の影響もあったのかのう?』


プロメテウス曰く、


神眼


遠見

ぶっちゃけ千里眼。

見たい物、地点まで視覚を出張させる。

視覚は自由に飛ばせ、対象が無くとも、見回りのような事も出来る。


しかも眼との間に繋がりが無い癖に見えると言う謎の眼。


漫画とかで有りがちな、術を辿ってのカウンターを封殺できる。


邪眼


精神感応

対象の見るもの(主に目)を見る事で、知識、経験を見れる。

逆に己の記憶、技術の伝授も可能

盲目でも、眼が抉られていても、死んでいても可能

それらの場合は魂、対象の根幹となる物が必要。



で、これらにはまだ空きがあるとか。


これらは、プロメテウスの、見通し、伝える(予言)の力に影響を受けたらしい。


邪眼、か。

物騒に見えるが、技術の継承とかは便利だな。



そして俺は、老師の元に視覚を飛ばす。

うーん、これはあれかアングルを変える感じだな。

うっ少し酔ってきたな。地道に慣らしていこう。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜数時間後〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ほう。これは便利だなあ。

俺は、現代社会でも問題になっている歩きスマホならぬ、歩き千里眼

にならないように、同時に見られる用になった。


これは、竜眼との併用で意識拡大している俺だから出来る。

ただ、見た目が碧眼なのに爬虫類じみた瞳孔という、何でも混ぜれば良いって訳じゃ無いと言う証明になっている。


まあ、俺は格好いいと思うがな。

でもやはり、黒目が・・・


まあ、自分の髪の毛は黒一択である。

人がなるんだったら・・・・・・白髪娘にロマンを持つが。


おぉ。老師か、これは。

なっ!?

砂漠に足跡残さず走っているのか!

怖ろしい。しかも、服の襟が襟巻きみたいで、一昔前にブームになったエリマキトカゲ見たいになってる。

一体何だろうか?ギャグなのだろうか?

俺が見ている事知って・・。


あひゃひゃ。ひゃふう!

殺す気なのだろうか?恐ろしい


『お主の笑い方もひどいな』


何?地球でも言われていたけど酷いか?


「なあ、何ができるんだ?」


『儂はお主と違い記憶は見えん。お主は過去、儂は未来なのだよ』


「ふうむ。じゃあ、試してみるか」


『何を?』


「いや。こうやって刀の白刃に俺の目を写して、お前に俺の記憶を見せる」


邪眼発動


俺の白目の部分が赤くなる。


『むおっ!』


そして、


『ふむ、なるほど。視れるな。だが、今のままだと思いつくものすべてが流れ込んできている。慣れるべきかな』


プロメテウスは言う。


「そうか、やっぱり難しいよなぁ。何を見せたくて、何を見たいか詳しく考えないと出来ないのかもしれないな」


そして、訓練することにした。



神眼と竜眼を駆使して、石を投げたときの音の響き、風などを感知したら、そこに神眼を飛ばすと言う事をしていたら、何かおかしな物を見つけた。

視覚をプロメテウスが同調させたのか、


『あれは・・・何時か見た』


などと言っていたから、そこに向かう。

どうやら、<土地勘>の魔法は神眼でも発動するどころか、神眼の方が使い易いようだ。

鳥の様に見下ろせるからだろうか?

竜眼との併用は頭が熱くなるような感じがする。

まあ、慣れると思うのだが・・・


そして着くと、石の様な戸に金色の装飾があり、装飾は四十一個の点だった。


『やはりこれは、宝物庫の・・・』


宝物庫ねえ


『昔、砂漠の盗賊が用いていたとか』


砂漠、四十一ねえ。


「それって、四十人の子分がいるって言う?」


『いかにも』


「ほほう。開け〜ゴマ」


     し〜ん


「な、な〜んちゃって」


     ガゴン


「開くのかよ」


『……』


「うるせえやい。さあて、中身は?」


誰かのものであっても関係なし。


大樹は物色を始めた。


機織り気か。しかも、さりげなく明治維新ぐらいのだな。

 でも、糸を紡ぐ機械は・・・

 あった。って、おい。

 これ、歴史の教科書でマハトマ・ガンディーが反・イギリスの意志表示に使ったって書いてあったやつだ。


剣等には目もくれず、富岡製糸場でみたような施設と、木綿用の観覧車のような感じの紡ぎ機を見る。一族は繋がりが強い。


板前と漁師、弓師と竹農家と流鏑馬とかそんな関係も成り立っている。


その上、事あるごとに集まり宴会をする。

それでデカい料理店しか入れないのだがはしごをする。

一族の店で。


一族の者以外で白鷺姓は見たことがないぐらいだ。

まあ、その繋がりのお陰でちょこちょこ役に立つ技を得たのだが・・・・



================================


部屋の中には石版や、巻物(俗に言うスクロール)、武器、ここにある施設の設計図、鉄塊、金塊等があった。


石版やスクロールは魔導書みたいな物で、

石版は神代の時代に作られた人間を超越した祭司が神からの神託を得て彫ったり、鍛冶神に頼んで神々が彫ってもらった物だと言う。


巻物はよくあるような使い捨ての魔法を封じ込めたものかと思ったが、どうやら石版と同じらしい。


唯、これらの物は魔法を覚えられる。

石版は繰り返し使えて、巻物は一回こっきりだと。


だから普通は得た連中で喧嘩したり、もっとふさわしい者のために、と諦めるのだろう。しかし、俺は全て使った。


覚えられると、体が一瞬ひかる。

そして、巻物が裂ける。


適性の無い者は覚えられないらしい。

恐ろしい話だ。


俺は全てに適性があった。神が取り付いてるからな。


『お主はとんでもない事を・・・』


「何か悪かったのか?」


『お主の魔力では、ほとんどの物が使えないぞ?』


「ばかなっ!そんなに魔力使うのか?」


『違う。お主の魔力が異様に少ないのだ』


「なにっ!これでチートライフじゃあないのか?」


『気を削って使う技なら使えると思うが』


「じゃあ良いではないか」


『気を削りすぎると死んだり、倦怠感がすごいのだ。魔力とは違ってすぐには回復しないであろうし・・・』


「まあ、他の連中が覚えるよりも俺が覚える方が価値があったしな」


『なにゆえだ?知恵と言うものは使ってこそでありそれは……』


賢人の名を持つだけあって、知識には拘りがあるらしい。


しかし、


「おいおい。知恵者たるお前らしくない』


手を肩の位置にまで上げ、ため息をつきながら、首を振る。


『どういうことだ?』


「ふう。俺の邪眼で他の奴に教えられるではないか。 しかも、俺が読み解いたやつを」


『おお!なるほど。確かにお主の邪眼で見た魔導書と、今入っているイメージで伝えられるぞ』


「更に!ここに在るものは全て設計図があり、知識もある。

 だが、こんな規模一人では使わないだろう?』


『それで?』


「自分だけの国を作るのさ』


ちょっとどや顔。


「良いと思わないか?」


『目論むことは別に構わない、しかしそんなにうまくいくものだろうか?』


「町までなら、シモシティやってたかんな!」


リアルとゲームは違う。

だが、プロメテウスは賢者であり慈悲深き巨人。

大樹の行動を否定することはなく、見守る方針へ舵を切った。

大樹→カッコつけすぎちまったぜ


プロメテウス→見事である!

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