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第14話 骸と別れ、鬼と逢う

俺は森の中や砂漠(砂丘?)、山、滝色々な階層を回った。

砂漠では、水を手に入れる事が難しい上に、食料となる物が殆ど無い。

一日以上飲食をしていないと死にかける俺には死の階層といえた。


「昔奴隷商に誘拐された時の砂漠越えを思い出させるなぁ。あの時は確かゴリと巧も一緒だったな。あの後にまさかあれに加わる羽目にあるとはな。」


今になっては良い思い出だ、と呟く。

帰れなくなって昔のことを思い出すのだから、人の頭というのはつくづく、困らせてくれる。

まあ、思い出せるからこそ、諦められないで居られるのかね。


嗚呼、ネットゲームの連続ログイン切らしたなぁ。

新しいワールドボスは出ているのだろうか。

個性豊かなみんなはどうしているだろうか。


俺の作ったギルド名、悪の組織

魔術師の中でも極大呪文を撃つことで有名だったのに治癒職の神官になった皆殺Zさん。

名前からして治療されたくない。


攻撃手段を一切持たないビルドの神官の癖に最初はソロでやっていたせいでpk対象になっていて、pkされ過ぎても、pkkする手段がなかったせいで聖人とか言う職業になった、いえす・しえんさん。


戦闘しているプレイヤーを見る度に

「お困りかな?」

とかワールドチャットで飛ばしてきて、戦闘に突っ込んできて横狩りした挙げ句に

「人として当然の事をしただけさ」

とかほざいて立ち去るから嫌われてGMコールまでされた放浪騎士さん。


ソロモンのような魔術師になると意気込んでエロイムエッサイムから、エロイムと名付けたのにエロ仏にしか見えないと言う不遇なエロ仏さん。

最初の名前が、巨狼フェンリルと名付けようとして予測変換の犠牲になり巨*フェンリルと言う下ネタ感溢れる名前となりチャットでは


「俺のフェンリルが火を噴くぜ」


だの、


「オーディーンすら食ったんだ、意味分かるよなあ?」

「アッーーッ!!」


なんて言うバカなやりとりがあったなぁ。

・・・俺がギルド長だったけど他のも結構変人だったな。

近接職でレベルマックスなのにHP17で紙装甲ビルドだったからだろうか?


鉈の二本持ちが悪かったのか?

俺は二本持ちのパイオニアだからな。


他にも思い当たるものが多すぎてわからない。

大剣二本持ちで、重量のせいでまともに動けないとか言うロマン野郎もいたし。

オトコマエストロとか言う、自称ゲイもいたな。

後、異様に下ネタ勢が多いネットゲームの中でも名前は普通なのが多かった。

いや、そんな事はどうでも良い。


現在の状況として、森は迷いの森と言った所で霧やらなんやらが大変だった。

そして、在り合わせの物を接着剤代わりにしていたため、俺の愛弓である飛龍がばらけた。森で捕獲、捕食した鹿のしっかりとした皮を煮詰めた接着剤(膠)を使い、山羊の腱を弦ではなく、膠で張り合わせた後にその上から使って強い弓にした。

モンゴルの遊牧民族を真似たのだが、元々強靱な和弓に小型でも強力な大陸式。さらに、電気を発生させるような山羊(使ったのはボスのバルバロッサ)の腱である。

強弓になるのは最早必然であろう。



そんな強弓であっても大樹は引ける。

この男にはぷち人外とか言う称号をやった方がいいと思う。

本当の俺TUEEEEみたいに異常な魔力を誇るとかではないし

(後に判明するが、大樹の魔力はこの世界の乳児に勝るとも劣らぬ魔力値を誇っている。要するに雑魚だ。)


全ての魔法を無効化するとかもない。

(炎や雷は大丈夫な人外だが気温というか体に触れている空気の温度がマイナス2度以下になると行動がほぼ出来なくなる。凍っても細胞は破壊されない)


一日に何回かしか、使えない魔法も異能力も無い。

持っているのは、汗水垂らして会得した技のみで、一日に体力の続くまで出せる。斬撃も飛ばない。汎用性重視なのだ。


そして、なにより才能が無い。

大樹と同じ事を凡人がやったならば運気の違いで死ぬだろうが、死ななかったとしたら、斬撃が飛ぶかは知らないが遙か高見にいることは疑いようは、無い。


言うなれば、凡人の三分の一しか全てにおいて才能が無いが異常なほどの運気によって、どうにか人生を全うしている状態である。

それが異世界に落とされたら変な化学反応が起きたのだ。


これは言うなれば、


[まぜるな、危険!]と表示された納豆。


まぜてはいけないが、まぜざるをえない。

運が発揮してはならないが、発揮しなければ死んでしまう。

そんな状況であるが故に彼は、大樹は、プチ人外になってしまったのだッ!!


人の外側にいる事を知らない大樹は欠伸を一つすると、落ち着いて穏やかな仙人のような心で鳥たちのさえずりに耳を傾けていると、体から青っぽい色と黄色っぽい色と碧っぽい色の靄の様な物が体から出てきた。


これは気を出している状態らしい。最初、大樹の気はヤンキーの様に尖っていてつっぱていた。

しかし、今では純粋な鳥や獣は食物連鎖を忘れて俺の側でくつろぎ、意志疎通も多少ながら出来るようになった。


ちなみに大樹が食するのは魔物であり、主食が獣になったら生態系が変わる。

魔物はどういう仕組みかはっきり分かっているわけでは無いが、獣が成る場合と、溜まっている場所である水溜まりならぬ魔力溜まりからどう言うわけか発生する場合があるらしい。


魔力という物からあんな肉が出来るのである。

もし解明出来たのならば、莫大な財産どころか生命在るものの根元が分かるかも知れない。


言う成れば、空気から肉を作っているのだ。

不思議に思ったことは無いだろうか?


もしも、全ての臓器、組織、細胞に至るまでを揃えたとして、全くその通りぴたりと正しい場所に置いた場合、もし命を持って動き出したならばそれは命を作ったと言ってもおかしくないだろう。


しかしだ、組織や細胞を形作る元素は元々そこらへんで見つけられる。

それこそ、人間の成分をまるまる埋めている土葬の墓まで行けば簡単に見つかる。


人魂が出るとか言う墓場は土葬の可能性が高い。

あれは雨、すなわち水にリンが反応しているからだ。


小学生の時にゴリラたちと見に行った墓も土葬だった。

しかし、だからといってそこから人間は発生しない。


だというのに、高密度で存在すると、山羊だの何だのが発生するのだ。

細胞、その原点にして根元に絡んでいてもおかしくは、無い。

一体、どうしたら細胞・・いや命が出来るのだろうか?


ぼんやりと考えながら跨っている熊の毛を撫でる。

今となっては昔のことだが、石の窪みにあったブドウとかが発酵して酒になっていたのを見つけて飲んでいたのだが、それを作ったのがこの熊であった。

猿酒ならぬ熊酒であろうか?



そんなことをしながら、次の階層、第四十九階層に下りると、そこは深山幽谷と言った様な場所だった。

少し気圧が低いな。

と、思っていると洞窟を見つけたので入ることに


「さ〜て。鬼が出るか蛇が出るか」


なんで鬼と蛇なのか?といつかも思ったことを考えながら入っていく。

洞窟の中はテカテカとしているがこれは恐らく風が吹き込むことによって削られた為に凹凸がなくなっているからであろう。


しかし、少し歩くと曲がり角がある。

この曲がり角は城下町では時々あるほぼ直角でしかも、その部分は張り出ているのだ。

そうすると、遠くから見た場合行き止まりにしかみえない。


曲がってみると、その先は風が吹き込まずなかなか快適に思えた。

更に歩くと、一際狭くなっている穴があり・・・


中にはよぼよぼの、鬼がいた。


「お、鬼だと!」

つい叫ぶと、


「ほう。人の子が来るとは珍しい。それに、逃げずにいるのも珍しい」


シャベッタアアアアアアアアアア!!!

いやまて、こういうのはしっかりとすべきだ。



言う言葉は

初めまして。俺の名は大樹 姓は白鷺だ。タイキ・シラサギだ。


「第一印象は、笑顔が大事!」


はっ。間違えた。


「初めまして。俺の名は大樹 姓は白鷺だ。タイキ・シラサギだ。」


「これは丁寧に。わしには名はありませんので。好物は酒ですか

 それと武と舞を軽く」


案外丁寧に返してくれるものだ。やはり礼を失すべきでないな。


「なら、これをまあ、知り合った祝いに。」


そういって、竹の水筒(中身はトレントのボスと大樹が言っている世界樹の蜜酒)を渡す。ミードにしろ甘いから辛かったが、最近は甘いのも飲めるようになった。


「これは……」


と、言いながらグビグビ飲む。味わって飲んでくれよ。


ふむ。鬼のよぼよぼの体が若返ってる

死にかけから、初老ぐらいになっていた。百薬の長というのだから、まぁ、おかしなことではないかもしれない。


「これは・・・ふむ。大樹殿」


「いや、大樹で構わない」


年上に殿は体裁が悪い。とはいえ、そこまでは気にはしないが。


「では大樹。ここにいると言うことは、君は強いのではないか?少し手合わせを願え無いかな?体がいま漲っているのだ」


ふぅむ。実は気性が荒いのだろか?否、まあいい。やろうではないか

いきずりに武を交えるも又一興だ。


「無論」


「ありがたい」


出会って、微かな時間しか経ていないとはいえ、腕に自信のあるもの同士が巡りあってしまえば、いたしかたないことなのだろう。

戦闘は、お互いに素手である。


「我が故郷にて、破戒僧の編み出しし絶技を受けるといい!」


そう言って、一発なのに衝撃は二発という京都の破戒僧の生み出したかなり格好いいと思っている技を打つ。

出来るようになるのに六年。隙を減らすのに八年掛けた俺の無手で出せる技の中でも、格好良さは最高峰の技。


他の技はいかに無駄無くシトメるかに向いているが為に格好良さとかはあまり無い。なにせ、魅せるべき物が削り取られているのだから。


反撃を受けないように一撃で相手を沈める技を苦労して身につけたが、ド派手なエフェクトどころか煙もでない。拳は赤熱化しないし、傍目からみれば相手が弱いようにしか見えない。


しかも、当て所をミスると相手の肩こり腰痛をとってしまう。

相手を回復させる技となり不利に成りかねない。

アニメとかラノベみたいな動きにはならないのだ。


しかも二刀流という物も出来ない。

元々、刀というのは重みと引く事によって斬る事を可能にしている。

ここが西洋剣の叩っ斬る、いや押し潰すとは違う点である。


その点から考えれば素人の二刀流というのは無駄を突き詰めればこうなるという様な、不合理の固まりである。

まず、刀と言われて想像する形状は片刃で緩やかなカーブの掛かった細身の刀身、そして伊達正宗の眼帯でもある鍔。そして綺麗に編み込まれた柄。


そんな所ではないだろうか?

しかし、この刀と言う物は見た目に反して重い。

満足に振るうならば、成る程。両手の方が都合が良い。

しかも、引き斬る動作がいるのだ。


例を挙げるならば、そうだ・・・包丁が良いだろうか。

素人に包丁を握らせれば、大概は押して斬ろうとする。

人によっては、料理番組の音を真似ようとまな板に叩きつけようとせんばかりに包丁を振るうのだ。


しかし、包丁のスペックを生かし刃を潰さない様にするには、斬る動作が良く、その為には腕の力はさほど重要では無い。

バットを振るう動作にも近いし、身近に回転イスがある人には伝えやすいのだが、あるよー。という方は足を地面につけたまま、座って貰いたい。


次に右腕を胴体に水平に垂らして肘からは垂直に曲げる。

そして、その位置で腕は固定して、足を動かさずに体は横を向くと腰だけで動いたのが分かるだろう。


そして、包丁を手に持っていた場合引く動作も出来ている。

要するに、威力を付けるには腰の動きも必要なのだ。

だから、刀をクロスさせて十字形に斬ると言うのは、一本持ちでしっかりと弧を描く様に円周運動させた斬撃よりも軽い。


故に、二本持ち出来るのはそれこそ片手でも刀を軽々と触れて腕が長く体が柔らかい人であろうか。

実戦で使うならば、更にそれだけの物を持って動けなければならない上に右の腕で円を描きながら左の腕で四角を描き、足では三角形を描けるぐらいの事を出来る人だ。

それも、相手に合わせて。


だから、宮本武蔵に憧れてるし、尊敬の念は禁じえないが、やろうとは思わない。


まあ、手数を求めるならば軽い双剣が妥当だろう。二刀流じゃなくて、剣の二本持ちならばいける。

剣を二本使って戦うのと、刀を二本使って戦うことを同じ二刀流と言うのは使い方や、難易度、あらゆる面から見て愚かである。


多少大げさだが剣と刀では、サーベルと槍ほど違うのだから。

使えたとしても、後は脇差しとの二刀流だろう。

直刃の刀を使い、突きと斬撃であればいけるかもしれない。


大樹はそんな事を思っているが、付け足すならば自分に二刀流なんぞ出来るほどの実力は無いと知っているからこそだろう。

大樹は謎の自信による傍目から見たら蛮勇としか思えない行動も行うが、出来ないと思ったらやらない臆病さも持っているのだ。



そんなことはともかく、破戒僧の技、スケルトン相手に使うと粉々になります。を打つと、


「おもしろい技だ。その動きまるで野獣のようである」


と言われながら眉間と喉笛への攻撃は避けられる。


「イイイヤアアアア!」


しかし、避けられたからと言って、相手の攻撃フェイズになる理由など無い。途切れさせずに次の動作に続ける。気合いの声と共に膝めがけて右足を振る。

お高く止まっている正義の主人公は足を使う描写が少ないが、相手の機動力を削ぐなら、足首か膝だ。

極めれば、スタイリッシュになる。


特に足首や手首、手は構造上モロい。

まあ、破戒僧の技でも俺が強ければ拳圧でダメージを与えられるのだろう。


しかし、現実だから出来ない。蹴りもあっさりと避けられる。

しかも、避ける時に軽く拳を出されていた。


うなる剛腕。追撃に出ようものならしっかり腰の入りながらも体制を崩していない事から、鬼の追い打ちの一撃でKOされることだろう。


頑張って足も使い踏ん張る。

しかし、オリジナル技も尽きた時、圧倒的なまでの技が鬼から来る。鬼なのにたこ殴りにされてしまう。


「冗談ッ!!これが、人外のスペックかよッ!」


鬼の蹴りには鶴の構えで耐え、拳を引くときに俺は足を顎に向けて蹴り出す。

続く拳を酔拳のように後ろに倒れて避け、そのまま肘めがけて蹴りあげる。

クルミをたやすく砕く指圧で喉仏を狙ったり色々とした。

しかし、実際に俺が自然体で使える技でもない。


すぐに手詰まりになった。

最後にクロスカウンターパンチを狙って……


「デリャアアアア!」

「オオオオオオオオオ!」


ごきっ!名も無き鬼の太い腕のみが俺に炸裂。

二メートル近い鬼となんやかんやで伸びた1・8メートルぐらいの俺との、腕の長さの差であった。

そこには、超えられない現実、身長差が立ちはだかっていた。


立て、立つんだ、大樹!お前は俺の…


おやっさーん!


意識は闇に呑まれた。



~✴️


目を覚ました俺は、鬼と共に俺の改良点を考えている。


「その武術は多対一を基本としているのではないか?

だから、少し一点への威力が集中せず、一撃一撃の威力が薄れている。

動きが、ひたすら動いて左右からの攻撃を受けにくくするために前に攻める。

追撃を受けないようにすると言う考えの基に編まれている事で、前だけに集中せず、故に攻め切れていない。

しかし、その動きには無駄がない。潰すのはもったいないから、もう一つ作ってみたらどうだろうか?」


と、鬼は言う


「作るって何を?」


大樹が訊ねると、


「洗練された動きというものだ」


鬼曰く、俺の強みを一度捨て、作り直し、利点を構成する。


強みとは俺の状況に応じて二転三変(気まぐれとも)する獣のような動き。

利点は俺の、何故か殺気が出ない、いや出せない事だという。

殺気が出ないと言うことは、お決まりとも言える絡んできたチンピラに殺気を当てて撃退するというあの場面が出来ないと言う事である。


極めてゆゆしき事態であるのだが、殺気が出ないお陰で獲物をシトメる時という隙が出来るタイミングを周りに認知されていないのだから、感謝すべきだろう、が。


俺にだって、ちやほやされたいと言う願望はある。

強さを隠す理由が目立ちたくないとか言いながら町とか救う為に晒しまくっている奴らとは違うのだ。


まあ、それでも俺は一矢報いたい神に手札を晒すほどマヌケでは無い、つもりだ。多分。

だから基本的には本当の実力を隠しつつちやほやされたいのだ。

そのためには、力を得る必要はあるに決まっている。それも、圧倒的な。


断るわけもない。


鬼の提案はつまり、ある程度の動き、つまり`型”を作ろうというのだ。

しかし、いつまでも鬼と呼ぶのは、悪口のような気がすると言うことで


「鬼、師匠……」


「ふむ?」


「酒飲み、老師?」


「ぬ・・・?」


「赤鼻の?いやいや。酒、山、鬼。酒呑童子?・・・老師」


「何を・・・?」


「む……酒呑老師だ。うむ。ぴったりだ!これからは 老師って呼ぼう。」


「それは名なのか?」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「大樹よ、どうやってその動きを?」

「ひたすら実戦、実戦で実践する事こそが上達の為の唯一の方法だ」


「道理でそんな動きに。それでいて殺気が出ない為に、捕食者に成り得ていた。半信半疑だったが、殺気が出ないのは反則と言っても過言ではなかろう」


そんなこんなで老師と戦い続ける事早十年。


「チェリャアアアア」

「ぬう!」


「っ!」

「ぅをっ!」


俺は勝利をマグレでなく得た。

そして、念願の新しい力となるような物を手に入れた。


型とは言っても、やはり臨機応変。

しかし、獣のようにその場その場の動きから、洗練された物となった。


ちなみに、型を得ても昔の動きも普通に出来る。

多対一なら圧倒的に昔の方が有利なのだ。


しかし老師曰く、俺の動きは独特の、生きるためのちょっとした動きが癖になりそれを生かすための足捌きなども入っているため、


「気づいたら間に入られる、ぬるっとした動き」


だそうだ。うなぎか。

ちなみに俺の目標は無形の位と呼ばれる無想の動き。


考えずに体を動かす。

体を理想の形で動かす為あえて型を捨てる。

しかし、俺には難しいようだ。


あぁ。ラノベとかなら主人公がぱぱっと出来るようになる物だ。

奴らと同じくらい鍛錬していると思うのだが、なんとも悲しい話よ。

なんだろうか。

幼少期とか、体の成長が残っているうちにやるべきなのか。


なりが十八歳のままだからなのか!そうなのか!

俺はもうすぐ半世紀生きるんだぞっ!

いや?もう越えてるか?


おかしいことだ。異世界来たら、チートを持ってて、俺tueeeeeして、出会う異性を虜に……

異性どころか人間と会っていないのか。現代日本じゃあ、化け物の区分に入る連中しかあってない、のか?


鬼とか、血筋から言ったら敵だ。


いや、大戦中に和解したか?

曾祖父さんが、一族の一割くらい(百人)を引き連れて、山鳥の尾羽の矢を持っていったら技比べになって、なんとかなったとか言ってたような……?


確か、よく本家の屋敷に出入りしてる叔父のような人が鬼の長とか言ってた気がする。


異性か。

ぶっちゃけ、俺の性欲は在るかどうか微妙になってきた。半世紀生きれば枯れるってか?

ていうか、最悪俺は後十数年で死ぬってか?


よし。こんな武芸に黙々と打ち込んでないで、外に行こう。


「老師、俺そろそろ行くよ。まあ、すぐ帰ってきそうな気がするが」


「そうか。待っているぞ」


「おいおい。もうちょっと別れを惜しんでくれよ」


「どうせすぐ帰ってくる。それに、気の遠くなるほど一人だったのだ。

いまさらだろう」


「確かに……ね。うん?なんだったかな。あぁ、そうだ。

 もし、暇なら上に行ってみても良いかもしれないな。前に話した者がいる」


「うむ。機会があったら行ってみよう」


「じゃあねぇ」


そして歩くと、そこから光があふれて……

ま、まさか……


今の俺の顔はひきつっているに違いない。

そして、穴となった。


「またかよーーーーーーーー」


「またかよーーーーーーかよーーーかよーーかよー」


そんな大樹の木霊する声を聞きながら、老師は旅の支度をしていた。

今までは無かった道、上階に行くのである。

大樹→な、灼竜!金猪、他にも……お前らは死んだはずじゃ


老師→満足感がある


龍生→展開が遅すぎる……そうだ、先生お願いします。


穴→任せたまえ


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