第13話 骸は語り大樹は呟く
説明が少し長いです
設定を考えながら書いているので、後々変更されるかも?
「ゆyっhkdvls。vjっdさd;あvjか」
日本語と銀竜フィアスから教わった言葉しか知らない大樹にはこう聞こえた。
「何奴ッ!?」
意志が在るような気がすると、大樹は考えた。
今まで名前すら知らない国に誘拐された経験は伊達でも飾りでもない。
「ふむ?おかしな体をしている者がいるな。体に幾つ気を持っているのか・・・」
大樹には
「jfjvんjんbfsjんsっp;jvfjsjんmspjんm」
と聞こえる。
こう言うときの対処方は、身振りと知ってる言語を組み合わせることだ。
「私を、顕す言葉は大樹。地を歩く、火の民。牙も爪も研いではいない」
日本人が隣にいれば、唸り声をあげる動物を彷彿させるだろう。
顕す言葉、これは己は周りから認識されて存在が認められていると考えられ、日本語で言うところの名前にあたる。
地球でも力在る言葉というのは珍しくない。
地を歩く、火の民と言うのが人の事らしい。
そして、牙も爪も研いではいない。は、交戦の意志は無いという意味だ。
文法は日本語に近い、主語を略せる言語である。
ジェスチャーでは自分の胸に手を置いて名を告げ、手を上に上げる体勢、いわゆる万歳のポーズを取って交戦の意志がないことを告げる。
するとまたもや声が聞こえる。
「羽持てる噛み砕くもの(竜)の、かわすもの(言語)を走らす(話す)とは、珍妙(久しく見ない)な奴だな」
相手も話せる様で、言語が変わる。
ただ、気になることと言えば……
(この先は作者の頭の都合で通常の日本語で表示と相成ります。)
「竜言語?」
大樹にとっては標準的な人類が交わす言葉と思っていたら竜という空想的な生物が話す言語だったと言う衝撃的な事実。
言うなれば、SEGA○ATURNのゲームを買ったはずがプレ○ステーションだったような、
ファミ○ンじゃなくて、スー○ァミだったような事実。
それが、苦労して貯めた数万のソフトだったならばどう思うだろうか。
「俺は、これを人の話す言葉だと思ったんだが・・・・」
声は、
「随分時が経っている、何が起きていてもおかしくないと思っていたが竜言語が主流になっていたか……」
「長いとき?」
気になった大樹は暗闇を見通す目を凝らしてみると
「喋る、骸骨?」
がいた。
「確かに骸骨とも言えなくもない。私自身よく分からないしな……」
うん?
*#*#*#*#*#*#*#
その後、骸骨と話すと色々な事が分かった。
まず、ここは魔力の吹き溜まりと言うらしい。
魔力の吹き溜まりでは魔物が生まれる。
ちなみに、獣が魔力を何らかの原因で暴走させてなる魔獣とは違い、魔物は生まれつき魔力が表面にでていて、親が居なくても魔力の塊からも生まれる。
十階層毎に強い個体が居たのは魔力が澱になって溜まるからだそうだ。
じゃあ、何故十一階層目になると弱くなるのかと言うと
「空間が区切られている。主がぼすと呼ぶ個体を倒すと階段がでただろう?あれは、空間が若干ズレていることに起因しているのだ」
顎をカタカタ話す骸骨。
つまりあの階層で区切ってあって……あの階段は異世界的に言えばゲートってところか……
ああ、なるほどね。空間位相をずらして下に強引には行けない様にしているのか。要するに、漏斗を重ねているのだ。
そして、濾紙の役割をボスが担っていて勝てば、濾紙を突き破って下の漏斗にいける、と。
そして、魔物ものんびりと快適。その魔力が下に下りて、ボスになる。
と、言うわけか。
うん、なるほど。すっきり、すっきり。
ってなるものかよ。
「では、こちらも訊きたい」
骸骨は俺から三つの気を感じると言う。
強い人気。強い竜気。神気の器。だそうだ。
ぶっちゃけ、そんな力を得る様なことをした覚えは一つしかない。
刀を見せながら、地球の事、ディネアせいでここにいる事、灼竜と戦った事と結末、フィアスや金猪、ここをダンジョンと呼んでいること。
ここに来るまで。全て話した。
普通もう少し警戒するものだが、久しぶりに話し相手に会えた事や、少しは状況が良くなるのでは?と言う考えから全て話した。
そして、俺がバルバロッサの稲妻が消えた事を言うと
「すまない、少し実験に付き合ってもらうぞ?
<雷の獅子よ 御身の力 授け給へ 紫電>」
すると、バルバロッサの比ではない速さで雷が来る。
何かが食べた。
「……ワット イズ ディス。これは何ですか?」
今のが魔法である。俺のピカピカ光るのは魔法じゃあない。
「なにをしたのかな?」
痛くも痒くもない。
悪役みたいだ……
「うむ。今撃ったのはバレーノと言う軍でも使える魔法なのだが・・
予想どうり出てきたな。」
「これってなんなの?」
「それは、寄生スライムが異常進化した物だ。寄生スライムは、宿主に取り付いておこぼれを貰う。」
アナサキスの恐怖を忘れられない大樹はぶるっとくる。
「しかし、魔物を食らい過ぎたのか魔力をも餌と認識している。しかも、よほど相性が良かったのか一体化すら、だ」
い、一体化だって・・・つまり、つまるところ、パイルダーオンしちゃってるって事じゃ
何時からだ?
・・・何時からなんだッ!!
「これは珍しいぞ。」
だからどうしたッ!
大体がフィアスも竜族言語等という怪しげな物をいれおって・・。
ただでさえ、脳のキャパが常人の三分の一とか言われてるのに、一つの言語を無駄にいれてしまった。大樹は自分で頼んでおいて散々な言いようをみせる。
「と、言うよりも、あなたの名前を聞いてい無いんだけど……」
「ふむ、我に名はないぞ?」
「えっ?」
「えっ?」
「名前無いの?」
「うむ。無いな。名前を呼ぶ相手もいないし……」
アンデッドの王(?)=リッチ=不死者の王
「そうか。じゃあこれからは、リッチ・ノーライフと呼ぶことにしよう」
「リッチ?」
「そうだ。これからは、リッチ・ノーライフって名乗るといいさ。」
「響きは良いな」
リッチ・ノーライフ。
「少し訊きたいが、竜眼は知っているか?」
と、急に訊ねてきた。俺は考えて、そういえばと、
「竜眼というと、あれだ。何か邪眼、魔眼みたいなのの一つ……」
銀竜フィアスの俺へと使った知識伝授の力も竜眼、だと思う。
結構いろんな力があって、人だけ損してる気がしなくもない。
「いかにも。まあ、魔眼は種族関係無く、魔力が目に多く集まって変質する事で発現するのだが……実はもう、竜眼を使ってはいないか?」
魔眼は種族関係ないとは……と、考えている時に訊かれた事に心当たりは無かったため、
「いや。多分使ってないと思うが」
と、答える。
実際、そんな力があればもっと楽に勝ててた気がする。
「だとしたらおかしいのだ。人に限らず外に居たものがあそこに入ってすぐ慣れるのは。ならば、気づいていない可能性もあるな。
<闇よきたれ 汝に闇を 光を拒む暗幕を>」
急にリッチが魔法を使って来た。驚きながらも、体は自然と抜刀する。敵意を感じていなくても。
一瞬、暗くなったがすぐに見えるようになった。
「ふむ。やはりな。今、周囲が見えているであろう?
魔法の暗闇は夜目が利く程度では見ないものだ。
魔力に打ち勝つか、違う法則でねじ曲げるしかないのだ。」
竜眼と魔力が違う法則で動いている?
どう言うことだ?
大樹の知っている地球の法則では大体が密接に関わっている。
物が落ちるときの法則には、物を転がしたときにいづれ止まるのは何故か、という法則も含まれる。
いわゆる、摩擦である。
逆に全く関わらない物は何かと問われてもすぐに思いつく物は無い。
竜気と魔力は別物。
(不思議な物だ。)
「それにしても、人間の瞳が竜眼になるとそうなるのか。ふむ、竜眼の効果を見ても良いかな?」
ふむふむ?本来なら今も視界が真っ暗。でも、俺が見えているのは開眼しているから、ということだろうか?効果を見るというのはどういうことだ?
「構わないけれど、どういうことだ?」
訊ねると……
「うむ。私の魔眼が見た物の情報を見れるのだ。ただ、同格以上の物……今は、竜眼だ。を見る場合は相手の許可が、必要なのだ。
まあ、実力差があったり、知る資格が必要だったり変な風に気が渦巻いていると見えないが……」
眼なんて無いのに魔眼持ちかよ?とか言ってはいけない。
きっと眼はあるのだ。
……心の中に。
一瞬、リッチの目のあたりの窪みに青白い光が起こり、
「ふむ、特異な事だ。竜眼なのに体の内面に反応するか。」
「内面?」
リッチの言葉に違和感を覚える。
「うむ。竜眼はまだ、いくつか効果が残っているようだ。
今、分かったのは二つだ。
一つ目は、知覚拡大。
二つ目は、思考加速といったところ。
他の眼も可能性はあるかもしれない。そうなったら、見せてくれ。
研究してみたいからな」
効果が残ってるのにそれは見えないのか?と言うのは、実は眼は元から効果がある物では無い。
効果は後からついてくる物で、なんらかの理由で受け継がない限り空っぽである。
言うなれば、眼は銃である。
その中には銃弾は一発も入っていない。
そして効果を、大樹で言うなれば知覚拡大と言う銃弾を込めたことによって、竜眼となる。
そして、残っている効果というのは銃のマガジンの空きである。
要するに……無いものは見えない!!
と、言うことだ。
さて、大樹の竜眼の効果を訊いてみると、心あたりのある効果だった。
知覚拡大・・・五感に作用し常人の数倍から数十倍になる。
思考加速・・・思考速度及び認知速度、神経伝達速度が数倍になる。
恐らく、地下水脈の位置や夜目、気配や味に敏感になったのは知覚拡大の効果だろう。
思考加速は多分、蜂や、羊と戦ったときの最後の一撃だろう。あの最後の一撃は若干空気を焦がしていた。
なるほど。でも思考加速って多くの主人公がほぼノーリスクで、ポンポン十倍とか使っているけど、二〜三倍であの後頭に激痛、鼻血がでるし、頭の血管が切れかかっている人みたいになった。あの時良く死ななかったものだ。
と、大樹は考える。
「そういえば、内面だと珍しいのか?」
「うむ。基本的に`眼”は相手に何らかの干渉をするのだ。目は相手を見る物だから、自ずと外に向くものだ」
そして、例を挙げるならば、
「私が眼で見た相手の情報を見える。と言うようにな」
なるほどね。そう聞くと確かに、俺は内面に作用しているんだな。
シャイボーイだからかな。
「じゃあ、リッチちょっと手伝ってくれ。俺に魔法ぼこすか撃ってくれ。
死にかけながらやれば、好きなときに竜眼が使える様になるはずさ」
大樹は意味の分からない、論理的に破綻している頼みをする。
#*#*#*#*#*#*#*#
そうして、リッチと俺による訓練がはじまった。
その他にも、もしも何かあった時に使えるように、と言うことで礼儀作法からダンス、農民の話し方から貴族の話し方。常識を教わった。
何が悲しくて俺は骨と抱き合わねばならないのだろう?
最後に踊った踊りなんて組体操が危険って言われて代替案にあったハカを踊った中学三年生の体育祭が最後だ。
しかも、男と女の両方を覚える羽目になった。
リッチが、骨になる前(人だったらしい!)に覚えた踊りに合わせて踊ったが、あんちくしょうは自分の踊り、即ち男の方を踊ったせいで俺は最初女の方をやらされていたのだ。
さて、そんな愚痴はともかく、フィアスのくれた知識は竜族の物の様で人間の物とは違うところも多々あった。
そのため、リッチと情報交換をしてみる事になったのだ。
一番テンプレだと思ったのは魔王がいることだろうか。
魔獣、魔物の王だそうだ。ただ、王と言っても人間が魔獣、魔物の中で最も脅威度の高い個体を魔王としている、と言ったところだろうか。
ちなみに、魔人や魔竜、魔族は理性があれば魔物。無ければ魔獣となるらしい。
邪族は日本語に直すと邪魔族になってしまうため、魔族と表記する事を了承して欲しい。
地球で言うところの魔神はなんて言うのだろうか……
そんなこんなで、言語を十個程も覚えるという偉業を成し遂げるのに十数年。
各地の名産品から、本当にあったちょっと笑える話に至るまでを網羅した俺は言うなれば、歩くコンピューターか歩く桃鉄。
リッチからあらかた訊いた俺はまた戻ってくるよーと言って、攻略を再開した。
目指せ地球。打倒、ディネア!
嘘だ。一矢報いて、俺の事を忘れられないで、夜に一人でトイレに行けない様に恐怖を刻めれば御の字だな。
神殺しを決行できると思うほど自惚れてはいない
しかし俺の寿命と見た目はどうなってんだろうか。
もう四十過ぎなのに十八から姿が変わってないよ!
これで若作りなだけで寿命は変わりませんは、マズイ。
残りの寿命が後、数十年だった時に俺の遺志を継いでくれる奴も育成しておこうかな。
数十代掛ければ、あるいは。俺の屍を越えて行けと、神殺し国家を作ってみるのも有りか?
神を信奉しない国、か。
そうするには、何も希望が無い奴が良い。
まあ、とりあえずはこのダンジョンを脱出する事が大事だろう。
大樹→つけた名前は(仮)です
リッチ(仮)→珍しい。少し解ぼ……何でもない
魔力→シェア率No.1、汎用性が売りです
竜気→魔力なんかと一緒にしないで、専用気です




