来訪者
周辺に飛び散った、オークと魔獣の血を魔法で浄化し、魔法の被害を受けた木々を自然に見えるように修復し終わったところで、狩りに向かっていた人が無事戻ってきた。
もちろん、リアルフのそばにいる二匹の魔獣を見て驚いているけど。攻撃態勢に入りそうな人もいる。でもそれも仕方ないだろう、ようやくリアルフになれたところだ。急に増えたら誰だって警戒する。なにがあったのか、と。
そのくらいは予想できていたので、聞かれる前にこうなった経緯をきちんと説明した。
「――ということがあったんです。それで、この二匹もリアルフと同じようになりました。敵意ゼロです。安心してくださいね、襲いませんから。」
「……ユリアはやっぱり優秀だな!」
「家族が増えるかも―!」
「お、襲わないのか……」
「ユリア嬢ちゃんはえらいなぁ」
私の説明に対しての反応は様々。
喜ぶ人もいれば、恐る恐る武器をおろす人、褒めてくれる人もいる。
けど、お姉様の言ってる新しい家族にはならないと思う。だって、リアルフが増えただけで少し厳しい状態、さらに二匹増えればどうなることやら。肉を与えればいいといっても、肉だって有限だし仕方ない。
とりあえず、魔獣のことは丸く収まったため家に帰った。
家に帰ってすぐ、新たな家族が増える可能性は絶たれたのは言うまでもない。そのため、あの二匹は自給自足の生活だ。時々姿を見せるが、ほとんど見かけない。
それから数週間たって、誕生日が近づいていたある日。
なぜか、王都の方から人が訪れたらしい。
しかも呼び出されたのは私。ちょうどリアルフと練習中だったために、彼を連れて呼び出しに答えた。
「お待たせしてすみません。」
「いや、突然きて申し訳ない。
私はセラトリア王国騎士団長、ディオ・ヴァイタルという。
貴嬢が噂のユリア・フラントスか。」
き、騎士団長……無表情で、相手を威圧するオーラ?がありますね……。しかも、噂?噂って何ですか、私そんなの聞いたことない。
「はい。
……ですが、噂とは何のことでしょうか?」
「たまたま王都で、十歳にしてオーク10体と魔獣3匹相手に勝ったという話を聞いた。しかも、なぜか魔獣を味方に引き込む能力も持っているらしい。
間違いないか?」
ああ、この村の人は商人でもあるからそこで言ったのか……
でも、そのくらいだったら他の子どももやってると思うけど、運が悪かったのか……?
「……事実です。」
「そうか。それが事実なら、話をさせてもらいたい。」
「わかりました。部屋の中だと家族もいるので、外でもよろしいでしょうか?」
「ああ、かまわない。」
とりあえず、断るわけにもいかないので場所を提示してそこへ向かった。家じゃないのは、単に聞かれたくないから。
にしても、話って何だろう……