新しい家族
私たちが魔獣を連れて帰ると、お母様が一言。
「あら、お帰りなさい。
ところで……あの、その子はどこの子?」
「拾ってきたんです!」
「今日から俺たちの家族だ!」
「すみません、お母様。
止めたのですが……」
お母様のいうことはもっともだ。むしろ、「まあ! 可愛い魔獣じゃない、家族になるの?」とかじゃなくて安心した。普通の人は魔獣を飼おうだなんて考えないよね。
……考えるのはお父様とお姉様の二人だけ、だよね。
「……いいのよユリア。
ライア―ドは頑固だから一度決めたら変えないの。あきらめましょ?」
「お母様……!」
ああ、心底尊敬しますお母様。そのすべてを包み込む笑顔に疲れが抜ける様です……。
反対に、お父様方はハイタッチして喜んでる。ウルフもどき君(魔獣)は私の足元で静かに伏せてる、えらい。
「じゃあ、名前を決めないとな!」
「どうしよう!どんなのがいいかな?」
すっかり歓迎ムードになって、全員で名前を考える。
ちなみにこの子は、真っ黒な毛でおおわれていて瞳は禍々しい紅、という私とは全く逆の見た目だ。一目見ただけで魔獣とわかるけど、少しウルフに似てるのが可愛い……かもしれない。といっても、この子はオスだからカッコイイのほうがいいのだろうけど。
その時ふと、いい名前が思いついた。
「……リアルフ、はどうですか?」
私とお姉様から「リア」をとって、ウルフの「ルフ」。何とも安直だが、そこまで悪くないはず。その証拠に、ウルフもどき君は一気にすり寄ってきた。……癒される。
「いいわね!そうしましょ?」
「うん!リアルフ、よろしくね!」
「ハハッ、狩りにでも連れていくか!」
「ガウ!」
こうして、新しい家族が増えた。
まだまだなついてはいないが、いずれなつくだろう。リアルフをもふもふとなでていっぱいじゃれることにした。