不思議な力 前半
前世を軽く思い出して、少し記憶が交ざりながらもユリア・フラントスとして家族との時を過ごしていた。
ぎこちなさがあるかもしれないけれど、皆普通に接してくれた。時々、私を見て不思議そうにするけれども瞬きをすれば、その表情はすぐに消える。なぜだろう、といくら考えても私には全く分からなかった。
「ユリア、これ手伝ってくれるかしら?」
「はい、お母様。」
今は、お昼ごはんの準備中。お母様の手伝いと共に順調に家事を覚えようと、毎日自分からしていることだ。
お姉様は外でお父様たちと一緒に狩りに行っている。彼女はお父様に似て活発で、少し男勝りなところがあった。私とは全く逆で、いつも外で運動していた。
「ただいま、ローリエ!」
「ただいま帰りましたー!」
「あら、お帰りなさい。ライア―ド、マリア。
すぐご飯にするから、手を洗ってきてね」
料理が出来上がったころに二人が帰ってきて、お母様が出迎える。
返事をしたかと思えば、お姉様は私のほうに走ってきて横から抱き着いてきた。突然のことに驚くも、ここ最近はずっとだったからだいぶ慣れた。
「えへへ、ユリア!今日はね、今日はね……」
「マリア、手洗いが先だぞ」
「えー!」
「行ってらっしゃい、お姉様。」
私へこうやって狩りの成果を報告してくるのが日課になりつつある。けど、毎回途中でお父様に流し場へ連れていかれる。少しかわいそうだけど、彼女だって嫌がってるわけじゃないしね。
食事が終わったら、魔法と剣術の勉強。お姉様は剣術が主だけど、私は両方同じペースでしてる。どっちの勉強も楽しくて、時々やりすぎて気絶することもあるけど。
けど、今日はいつもと違った。
森の方から魔獣が出てきて、ちょうどいいということで実戦形式になった。お姉様はいつもしてるから、私が一人で。もちろん、危なくなったら援助が入る。相手は、お姉様がぎりぎり倒せるレベルで少し危ないかと思ったけど、保険もあるしやってみろということらしい。