決闘 前半
「ついて来い!」
「はい。」
授業がすべて終わるなりすぐ、私の席まで来たアスタリア様。命令されてもそのままついていく。行くのは決闘場で、一対一の決闘用に設けられたスペースがあるのだ。観戦も可能で、決闘のたびに身に行く人は多いらしい。
「決闘は剣・魔法あり、使い魔はなし、審判が勝ち負けを決める。
この間の時と一緒だ。」
「わかりました。」
「それと、勝ったときの条件を指定することができる。
……なにか、あるか。」
勝ったときの条件……何かしてほしいことがあるわけでもないから特にはない。けど、アスタリア様はあるのかな……?
「アスタリア様は、何かございますか?」
「……俺様が貴様にしてほしいことなどあるわけないだろう!」
「そうですか、なら私も特にないので構いません。」
少し間が気になるところだけど、まあないと言っているし良いだろう。
「ここだ。今からすぐ決闘だから準備をしろ。」
「はい。」
ついたのは、大きな石造りの建物。シンプルではあるけどやっぱりそれなりの装飾はしてある。さすが貴族の学校……村にいたら絶対にお目にかかれなかったな……
中に入り、実際に決闘場をのぞいてみる。
戦うのに十分な広さの空間がとられており、その周りの一定の高さまでは壁で囲まれている。一部ガラス張りになっているのは審判用だろう。それより上は観戦席のようになっていて、すでに観戦客らしき人が座っている。
決闘準備をするため、それ専用の部屋に入るとたくさんの武器がおかれていた。剣や盾、槍、斧などもあり、少しだけど鎧まであった。その中のシンプルで軽めな剣を手に持ち、軽く素振りをしてから決闘場へ出た。
「準備はよろしいですか?」
「はい。」
確認しに来た審判に軽く会釈しながら返事をする。向かい側にはすでにアスタリア様が立っていて、手には大きめの剣が握られていた。
《では、これよりルーク・エリーゼ・アスタリア対ユリア・フラントスの決闘を始めます。
構え。……始め!》
「っ行くぞ!」
拡声用の魔道具によって審判の声が響き渡り、決闘が始まった。
短く声を上げてから、前と同じように向かってくる。前の時の一回目はただひたすら避けてさりげなく場外へ出た。けど、それだともう一回ということになるだろう。二回目は、攻撃されるたびにカウンターを返した。
今回は……
「っはあ!」
勢いよく斜めに振り下ろされていく剣を飛びのくことで避けた。
今回は、剣を主に戦う。
剣については、お父様に教えてもらったこと以外は独学に近い。戦っていた相手もリアルフのみで、人相手に使ったのは騎士団長様が初めだ。そして、騎士団長様からいわれたのは”まあまあ”。
鍛えるのにちょうどいい機会だろう。
私は両手で剣を握りしめた。