ルークからの決闘申し込み
今日、朝の先生の話に魔族のことがあがった。
「――最近、魔物がよく現れているようです。ここまでは来ないと思いますが、成績の良い人は討伐に駆り出されることがあるので知っていてください。」
魔物がよく現れる。それは、魔族の活動が活発になっているということで、魔族の住み着いている方の森にある村は危険にさらされるだろう。
……私の家族は、だいじょうぶかな……。
「おい、貴様!」
「なんでしょうか、アスタリア様。」
「今日こそ決着を……!」
もうすでにおなじみと化しているアスタリア様の決闘願い。
まあ、今日は何もないから……受けてもいいかな。いい加減受けないとアスタリア様も大変だろうし。
「ええ、今日ならいいですよ。」
「っ本当か! じゃあ、今日の放課後覚えておけよ!」
「わかりました。」
了承すれば、ぱああっと笑顔になりルンルンと帰っていく。すごくイメージが違ったんだけど……そんなに決闘したかったのかな。
「ちょっと! ユリアちゃん、決闘受けたの!?」
「はい。そろそろアスタリア様も大変だろうと思い……」
「変なところに気を遣うんだな。」
「ほんとにね……じゃあ、私たちも見に行くから!」
「ありがとうございます。」
呆れたように言われたけど、結局は応援しに来てくれるらしい。
決闘の結果がどうなるかはわからないけど、うれしいものはうれしい。少し笑みをこぼすとハドラー様が抱き着いてきて驚いたけど、一緒に笑った。その様子をシュミリア様が見ていて、少し恥ずかしくなり顔を俯かせた。
決着をつけるといえど、どのくらいの手加減がいいのかわからない。勝つか、負けるか……気を満足させるには負ける方がいいと思うけど、手を抜いたのがバレればもう一度頼まれるだろう。それは困る……
その日の授業は、そんなことを考えながら過ごした。