力比べ
魔法名適当すぎてすみません……(´・ω・)
校舎裏へと着いて、力比べの方法を相談する。
結局、簡単な対戦式で魔法も剣術もあり。けど、相手が降参したらすぐに止めることと魔法は周りにばれない程度のものを使うことが決められた。剣術といえど、その辺にあった棒しか使えないのでほぼほぼ魔法の対戦だ。
「誰からする。」
「はいはい! 私ユリアちゃんとしたい!」
「じゃあ、私とハドラー様でしましょうか。」
「そうだな。」
ハドラー様はやる気満々で、私の正面で準備運動の様なものをしている。私は何も変わらずただ立っていた。
ちなみに、リアルフはシュミリア様と一緒に見学だ。
「構え。
……始め!」
「エア・トランブル」
シュミリア様が始まりを告げた瞬間、私よりも早く魔法を発動したハドラー様。その魔法によって、耳鳴りがして一瞬ひるんでしまった。
「ファイア・ボール!」
「ッ、ウィンド・ブレード!」
いまだ、というように立て続けに発動されたファイア・ボールと私のウィンド・ブレードがぶつかり合う。少し準備が整いきらずに威力は落ちたものの、私の魔法が打ち勝ちハドラー様が後ろに飛びのく。
「フェアリーハミング」
「!」
それに立て続けて魔法を発動し、相手の動きを止める。フェアリーハミングは風で音を鳴らし、相手の戦意を削ぐ魔法で、風魔法の中級。込める魔力量によって効果が強くなる。けど、相手の精神力が強ければ強いほどききづらい。
この音を聞いて、ぺたりと座り込んだハドラー様にしまったと思う。この魔法、込めすぎてしまうと相手を催眠状態にしてしまうからだ。
「エミル!」
「ハドラー様! すみません、やりすぎました!」
「……うっ……あ、れ?」
ゆさゆさと揺さぶられて目を覚ましたハドラー様にホッとするも、シュミリア様から訝し気な視線が投げかけられる。まあ……ハドラー様だって相当強いはずなのに、易々と戦意をそぎ落としたからなあ。
「すみません……どれくらいでいいのかよくわからなくて……」
「あっ、いやいいよいいよ!
結局はどっちかが勝つんだし! ちょっと悔しいけど、ね。」
ハドラー様、優しいな……。
性格が曲がった人なら、怒鳴っているだろう。私たちの村に一人いたからよくわかる。”もしあの時私が起きれなくなっていたらどうするつもりだったんだ!”なんて、もしも話で相手を脅すんだよね。
「……次は俺とフラントスで構わないか。」
「うん! ユリアちゃんをしっかり見てるね!」
「では、お願いします。」
シュミリア様は、土属性と水属性。どう来るのかはわからないが、少なくともハドラー様より頭を使ってくる、と思う。はったりとかもしてきそうだから気を付けよう。
「じゃあ……
構え、始め!」
対戦が始まっても、お互いにしばらく動かずにじっと見つめる。
まあ、こういうときにこそフェアリーハミングをすればいいと思うが、さっきのでよくわかった。どのくらいの威力がいいのかわかんないから、下手したらさっきの二の舞、もし使ったとしても対戦にならない。
「……アイロンソード」
しばらくして、シュミリア様の手に黒い剣が静かに現れた。それを合図にとびかかってくるシュミリア様。すぐさま身体強化をして横跳びで避け、その剣に対応できる武器を考える。
その間にも剣は私のスレスレを通り過ぎ、一歩間違えれば負け確定。考えながらなので身体強化をしていてもちょっと危ない。早く考えないと……
「!」
「なっ! 無詠唱……!?」
ふと視界に大きめの木がみえ、とっさに思い浮かべる。すると、魔法名を口にするまでもなく地面から木でできた剣が生えてきた。
……やってしまった。この魔法名は、グローイング。草属性の初級だが、思うように形を変えれるようになると中級に値する。それを無詠唱してしまえば、どれだけの力を持つかわかってしまう。大体、今の年頃で中級を無詠唱で発動できる人は30人に1人いるかどうか。
私とシュミリア様が顔を見合わせて止まる。
「……これは、負けが決まっているようなものだな。
降参する。」
「……そうですか。」
やっぱり、隠し通せないか。
少しぎこちなくなりつつ、放心状態になっているハドラー様のところへ集まった。