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あなたは、誰?  作者: とらまる
第二章
18/25

初日の授業


 初日の授業は基本的な知識の復習だった。

 王家についてや、魔力・魔法についての説明など。本当に基本的なものでしかなかったが、私にとっては知らないことも多かった。それに対し、周りの貴族の方々はつまらなそうにしていて、少し舟をこいでいる子もいた。


 授業を聞いていて、特に驚いたのが属性魔法についてだ。

 属性は火・水・草・土・光・闇・無の、全部で7。大体の人が使えるのは多くて三つらしい。だけど、私は闇属性を除いた計6つの属性を使える。主に使うのは草属性が派生した風属性だから、目立たないためにも普段使うのはそれだけにしよう、と決めた。





「あー、疲れたぁ!」


「エミル……何もしてないだろう。」

「私は楽しかったですけどね。」


 今日の授業がすべて終わり、三人で集まって話す。

 おそらく、ハドラー様も基礎知識は全て知っていたからつまらなかったんだろう。シュミリア様は、いかにも真面目そうなので知っていてもきっちり聞いていたんだと思う。


「そういえば、ユリアちゃんって何個属性使えるの?」

「私は一つですよ。」


 先ほど授業で決めたことを口にする。少し胸が痛むが、バレなければ大丈夫……だろう。もしバレたら全力で謝ることにしよう。


「意外だな……俺たちでも2つ使えるから、てっきり3つ使えると思っていた。」

「うんうん、私もそう思ってた!

けど、きっと一つでもすごいんでしょ?」

「意外ですかね?

すごい、といってもそれほどじゃないですよ。」


 そんなに意外だったのか……せめて二つにしておけばよかったかもしれない。あと、すごいなどと期待しないでほしい。私には基準が分からないからうっかり、”上級まで使える”と言いそうになった。

 魔法の難易度には初級・中級・上級・最上級があって、あの騎士団長様も上級魔法を使うと驚いていたから私の魔法の実力は周りと違うかもしれない。そんなことを言えば目立つのが目に見えている。


「ちなみに何属性が使えるの?

あ、私は無属性と火属性!」

「俺は土属性と水属性だ。」

「私は草属性ですよ。」


「全員使える属性が違うね!」


 顔を見合わせて頷く。

 まさか、全員違うとは思ってなかった。とはいえ、実際には私が六つ使えるからかぶってるといえばかぶってるけど。


『僕は闇と火だからかぶってるよ!』

「ああ、リアルフは闇属性と火属性らしいです。」

「リアルフらしいけど、かぶったな。」

「けど、リアルフ君と同じでうれしい!」


 ハドラー様はリアルフが大好きらしく、モフモフとリアルフを撫で続けている。リアルフもされるがままで、気持ちよさそうにしていた。


「そういえば、明日は少しだけ実技の学習をするんですよね。」

「うん! 楽しみー!」


 担任が言っていたことを思い出して、少し考える。

 剣術は……騎士団長様も”まあまあ”って言ってたから普通にして問題はない、と思う。けど、実技っていうくらいだから対戦式で魔法も使うだろう。……どこまで加減すればいいのかわからない。

 実際、相手にとっては加減されたくないだろうけど、私にはこれからの学園生活への安心もかかっている。変に目立っていじめられるのは嫌だし、やりすぎて恐れられるのも嫌だ。

 ここは一度、どちらかに付き合ってもらう……?


「確か、優勝した者は何らかの役職が与えられるんだよな。」

「そうそう! けど、役職とか大変そうだよね。」

「アスタリア様が優勝を意気込んでましたね。」


 私は絶対に嫌だ。大変とかもそうだが、庶民の私が就けばきっと反対する方もでる。いくら本気でやっていいとなっても、それを免れるのが一番だろう。


「なんなら、まだ時間があるし三人で力比べでもしないか?」

「いいね!」


 ……力比べ?


「どこでするんですか?」

「あまり目立たない校舎裏はどうだ?」


 それなら万が一、力加減を間違えても大丈夫そうだね。

 私もそれに同意して、三人で校舎裏へと向かった。

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