使い魔
リアルフが急にここへ来たその数日後。そろそろ解決しなければ、と一度第一図書館に向かった。
第一図書館につき、契約魔法についての資料を探す。図書館には魔法についての文献が多くあり、参考になるはず。
しばらく探して、ようやく見つけたものが一冊。なぜこんなに少ない、と思ったが仕方なくその本を開いた。
そこに書かれていたのはもちろん契約魔法について。だが中身は絵本。勇者が旅の途中で出会った精霊・魔獣と契約し魔王を倒しに行くストーリーで、契約している様子は書かれているが……なにこれ。
「”私と共に、魔王を倒しに言ってはくれませんか?”って、ただのお願い……」
しかも、それに対する答えは”もちろんです”。言い終わると同時に光に包まれる、らしい。……これ、本当?
まあ、考えても意味ないし……やってみようかな。
「ガウ!」
部屋に戻ると一気に駆け寄ってきたリアルフ。それを宥めながらリビングに行って、一度座らせた。
「さて……あの本ではお願いをしてましたよね……」
同じようにお願いすればできるのか……。いや、でも一応魔法だしなにか順序はあるはず。例えば……魔法陣?でも魔法陣とか私知らないし……
うん、とりあえずやってみよう。
「えっと……私の使い魔になってくれませんか?」
「バウ!!」
試しにやってみれば、リアルフは嬉しそうにしっぽを振りながら私の指を甘噛みした。少しだけ血が出て、リアルフはそれをなめた。
それと同時にリアルフの体が淡い光に包まれる。まさにあの本の通りで、これだけで成功するのか……とあっけにとられた。
『ご主人様!』
「え?」
突然聞こえた誰かの声に、あたりを見回す。でも、私とリアルフ以外居ない。
『ご主人様ってば!ここだよ、ここ!』
「……リアルフ?」
『そう!僕だよ!
使い魔にしてくれたから話せるようになったんだよー!』
「使い魔になると話せるんですか……」
リアルフが嬉しそうにしっぽを振りながらすり寄ってくる。
使い魔になると話せるようになるとは……まあ、これでだいぶ便利になるね。
『ねえねえ!外行きたい!』
「今ですか?」
『うん!ここ広いから楽しみ!』
「んー……今日は無理ですね。
明日ならいいですよ。」
リアルフには悪いけど、一応許可をとってからのほうがいいだろう。許可をとらずにつれだして、見つかって驚かれて勢いで殺されるとか嫌だからね。
『うう……』
「明日には絶対いけるからその時まで待ってください。
お楽しみ、です。」
『……分かった。』
よし、じゃあ今から許可取りに行かないと。
もう夕方だけど……まあ、すぐ終わる用事だしさっさと行って来よう。いくら身分差別が厳しくても、一応私は推薦で入ってるから使い魔なら許可が取れるはず。
実際、学園長のところへ行き交渉を持ちかけるとすぐ許可が下りた。もちろん、注意することはきちんと説明されたが。少し冷や汗をかいていたから上からの圧力もあったのかもしれない。まあ、詳しいことはわからないけど。