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あなたは、誰?  作者: とらまる
第二章
13/25

急な再会


「ちょっと! イチャイチャ禁止!

仮にも婚約者の前だよ? どうかしてる!」

「ああ、すまない。」


「……婚約者?」


 しばらく呆けていると、ハドラー様が間に割って入り怒り出した。それに素直に謝るシュミリア様にもびっくりしたが……婚約者ってどうなんだろう。

 私と同じ年でも身分の差でこんなに差がつくのか……


「ええ!

クレイは私の婚約者なの! まあ、他に好きな人がいるようだけど。」

「まだ決まったわけじゃない。」


 その言葉を聞いた瞬間、思わずハドラー様と同じように冷めた目でシュミリア様を見てしまった。本人は拗ねるように言い返しているものの、それは言い訳にすらなっていない気がする。ハドラー様と同じ女性としては、最低だなと無意識に思う。

 まあ、私に婚約者事情なんて分からないけど。




 しばらく話すと昼を知らせる鐘が鳴り響き、することを思い出して話を切り上げる。すこし名残惜しそうにされたが、今日しようと決めていたことなので押し切った。シュミリア様の言葉もあってすんなりと行けた。


 今日しようと決めていたこととは、部屋の整頓だ。

 一か月の間、まだ大丈夫かなと思いながらずっとそのままだったために部屋が不便に感じ始めた。食事は部屋で食べるのだが、必要最低限しか出していなかったためにレパートリーも少なく質素だった。

 いい加減栄養をバランスよくとろう、と思っての行動だ。



 食事が終わって、動きやすい服装に着替える。よし、と気合を入れてから整頓を始めた。


 自宅から持ってきたものは最低限(服を何着かと剣)だったのでそれはすぐに終わったが、備え付けの家具を動かすのが大変だ。いくら鍛えているとはいえ、女。身体強化を大分使いながら進めていった。




 整頓が終わったのが、昼の中頃。時々他のことに意識が逸れていたのでその分時間がかかってしまった。

 さてどうしよう、暇になった。今からなにをしようか……


(チリリン……チリリン……)


 少し悩んでいると、ドアのベルが鳴った。

 誰だろうと思いつつドアを開けると、急に前から押され後ろに倒れた。頭は打たなかったが、すごく痛い。その原因をみると、リアルフだった。

 あれ、と思い玄関の方を見ると困った顔をしながら立っている男性。彼はこの学園の門番で、ここ一か月の間で少し話をする仲になっていた。


「どうされたんですか?」

「いやぁ……その魔獣が一直線に入ってきてしまったから追いかけてきたんだよ。

そしたらここについて……」

「すみません……」


 リアルフ、私を追ってきたのかな。だとしたらすごい嗅覚だ。一か月もたってたのに。それに、門番さんにはとても申し訳ない。追いかけるの、大変だったと思う……。


「ううん、いいよ別に。

それより、この子どうするの?」

「あ、寮で飼うことってできますかね?」

「ほかの生徒に迷惑が掛からない程度ならいいけど……魔獣だもんねぇ。

ちょっと厳しいかも。」

「そうですか……」


 リアルフをゆっくり撫でながら考える。厳しいかも、ってことは希望はあるんだよね。直接学園長に交渉に行く? いや……学園長も噂によると身分差別の激しい人だから許可は下りない可能性が高い。下手したらその場で処理されるかもしれない。

 ……打つ手無し?


「そうだ! 使い魔にしちゃえばいいんじゃないかな。

使い魔は教室とかでも一応大丈夫だからさ。」

「本当ですか!

……あ、でも私使い魔契約の仕方わからないです。」


 門番さんナイス、と思うもできなければ意味がない。使い魔契約なんて、学園卒業者じゃないとやり方さえわからない魔法だから、私も教えてもらってすらいない。


「それなら、第一図書館に行くといいよ。

きっとそれに関する資料があるから。」

「そうですね。それだけでできるとは限りませんが……

一度、試してみます。ありがとうございました。」


 早速、明日にでも行ってみよう。もしそれでできなければ、比較的身分差別の少ない先生に教えてもらおう。できるだけ早くリアルフの件は解決した方がいい。大きな騒ぎになったら困るからね。


「いえいえ。役に立ててよかったよ。

じゃあ、そろそろ門番の仕事に戻るね。また今度。」

「はい、また今度。」

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