異世界冒険すたーと!
真っ暗中の中に随分長い間居たためか、ぼんやりした光の膜をくぐった折には、余の赤々とした眼が悲鳴あげる。
その膜をくぐった所、鮮々とした空気が鼻腔を満たす。周囲をうかがうも何かが動く様子はない。余の素足を冷たい土の感触が這ってくる。かさかさと木葉の擦れあう音が余の耳をじんじんと刺激してくる。ゆっくりとまぶたをあげればうっすらと暗がった森の中であった。
ふんむ、と一つ深呼吸をする。己が姿に何か変化はないかと足から順々に胸までみやってやる。白子の腹のように白がかった素足。腰から膝にかけてはぴっちりと黒い布地が這っている。ピチピチ具合が丁度よく余のすれんだーな足を程よくうつす。腰背からは赤と白を基調としたマントのようなものが飛び出ている。上は赤白の巫女装束をまとっている。人間の着物で一番のお気に入りだ。
些かの変化もないようだ。このにっくきぺったんこの胸も相も変わらず「あら、私これからすくすく成長するわ、見てらっしゃい」と言わんが如く毅然として振るっているが、母体たる余は3000とんで15歳となる。諦めもつくものだろう。
ぺったりとした胸まで確認してから改めて周囲を見回すが思った通り面白味のない森である。はて、ここはどこか。少なくとも先居た「世界」ではないことは明らかである。九尾まで力をもった余は世界とも語ることもできた。それゆえ弾き出されたことはすぐに感じ取れたのであった。
元居た世界が若干恋しくもあるが、ようやっと遊べるであろう人間があれでは、先も似たようなものであったであろう。今はこのよく見知らぬ世界、「異世界」を堪能する心持ちでいる。
少しそうやって物思いに耽っていると、ふとやんやと騒ぎ立てる音が聞こえてくる。剣戟と悲鳴が交じっている。それを聞いて余はまた遊べる事が出来ると、やや心上向きにし、喧騒響く方へとぺたぺた歩いていくこととした。




