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「・・・・・テネリーズ」


カルフォスが、テネリーズを呼ぶ


少し照れたような、困ったような顔で口元だけ歪ませて少しだけ微笑む




テネリーズはそれから何度か自らカルフォスの方に向かっていた。






「今日は、私、カルフォス様の為に


朝早く鬼百合の花を摘んでまいりましたわ、」


「・・・・私に、花など飾る趣味など無い・・・。」


笑顔のテネリーズに困惑気味のカルフォス、




「そう仰らないで、カルフォス様のお部屋は大体、


飾りっけが無さ過ぎるのです。


一国の王だと言うのに、衣装も玉の一つも無い、」


どうせ花瓶など無いからと侍女に言いつけて持ってこさせた花瓶に


カルフォスが良いとも言わないままに強引に鬼百合を挿して


部屋の中で一番生える場所を探して、あっちにおいたりこっちに置いたりを繰り返す。




「・・・・テネリーズ・・・・勝手に・・・。」


「・・・やはり、こっちの方が部屋に入る優しい光に照らされて


映えるかしら・・?


それとも、この棚の上のほうが部屋に入って直ぐに目が付いて


一枚の絵のように美しいかしら?」


首を傾げながら右から左からと見回すテネリーズにため息を付いて、


カルフォスは、




「・・・・テネリーズ・・・お前・・・何を考えているんだ?


さっぱり分からない・・・・・もう・・・勝手にするが良い・・」


諦めて壁の方にそっぽを向いて不貞寝してしまった。




「・・・このお花、まだ、蕾に朝露が付いて


とっても爽やかな気持ちになれますわよ」


くすり、と笑ってあっちを向いて瞳を瞑っていたカルフォスの頬に触れる。


少し、ビクリッと身体を震わせるが、


ゆっくり瞳を開いて、鬼百合とテネリーズを見る。




始めの方こそ触れただけで何度も剣を抜かれそうになって、


その度に『触れるな』と警戒心も露に睨みつけられていたが、


最近になって触れても黙って此方を見るだけになって来た。




そして、テネリーズは気付いた。




カルフォスは、本当は、触れられる事を求めていた。


黙って、頬に触れて、笑みを浮かべているテネリーズに、


居心地悪そうな、でも、ちょっと嬉しそうな顔をしてカルフォスは、




「花の美醜など分からない・・・・・


部屋に生えるとか爽やかさなど見ても理解できない」


そう言ってその後に


でも・・と続ける。




「・・・・少しだけ・・・だが・・・いつもより息がしやすいような・・


そんな気がする・・・・その・・・礼を言う。」


カルフォスの言葉にテネリーズは、笑顔を向ける。










いいえ・・・私は貴方を裏切る為に、


全ては、貴方を裏切る為なのです・・・・・・・。






テネリーズは、笑顔の裏に心を隠す。

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