表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/15

『聖暦15年












カルフォス12年












(カルフォスニ世2年)




・トルアキア国のマイウドリア族と交戦勝利


・テネ国と交戦勝利


降服の証として隣国テネの王女、


カルフォス王の妃に迎えられる。


・テネの王女カルフォス王の暗殺を謀り


カルフォス王により殺害


・テネ・テバイト連合軍と交戦勝利

                 』
















聖暦2366年月の女神に愛されし


染血王、紅の貴公子にして聖王カルフォスを祖とする国、


巫子王国サフラ国の王宮内図書館にて齢三歳の幼き王子ウンディが


一冊の古びた本を手に取った。


それは、きちんと整理されている王宮内の蔵書にしては所々欠けて汚れていた。


首を傾げて開いてみたが小さな王子には


まだ読めない古代の文字で書かれていた。


王子は、仕方なくその本を閉じもとの場所に戻す事にした。






しかし、王子の頬には、自覚の無いまま後から後から


透明の涙が伝っていた・・・・・。





















カルフォス王は、ため息を吐いた。


今から自分は降伏の証として贈られてきた隣国テネの王女


テネリーズと婚姻を結ばなければならない。


14歳の幼き国王カルフォスにはそれがとてつもなく苦痛な事に思えた。


長い黒髪に気が強そうな深緑の瞳を持つ王女は、


出迎えた夫となるべき相手であるカルフォスの手を振り払い


憎しみに満ちた瞳を向けてきた。






その瞳が


(必ずお前を殺してやる)


と言っていた。












誇り高きテネの王女であるテネリーズは、自分の運命を呪った。


自国のために、父王や、次の王太子となる幼い弟の為に


私は人質としてこれからこの国の王の妃とならなければならないのだ


テネリーズの婚約者を殺し、


年下の直ぐ下の王太子であった弟を殺し、


その為に母は、悲しみの余り亡くなった、


血に染まったあの王の妃に、




初めて見た時、思わず息を呑んだ。




太陽に照らされて煌めく美しい朱金の髪、


心の奥底まで覗きたいと思ってしまうような


上質のワインのような赤茶の瞳、




幼いながらに整いすぎた顔は、女性的と言って良い筈なのに


その瞳に宿る炎と身に纏う切り裂くような雰囲気で


女とは思わせない。








もっと醜悪で残忍な姿をしていると思っていた


テネリーズは、復讐心を一瞬忘れて見惚れてしまった。








「テネ国の姫、お手を・・・・」


差し出された幼き王の手に我に返ったテネリーズは、


一瞬でも復讐心を忘れ敵に見惚れてしまった自分に自己嫌悪した


この血に染まった王は憎い敵なのだ。


絶対に夫として受け入れたりなどするものか


この王の寝首を掻いてやるのだと睨み付けた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ