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『聖暦15年



降服の証として送られてきたテネの姫が


カルフォスの暗殺を狙い

カルフォスが姫を殺害したことによって


テネはテバイト国と共同戦線を張り復讐戦へと出た。





兵力の弱く復讐で冷静さを失ったテネを先に攻め

次いで本隊を囮にしテバイト本国を攻めることを判断した

カルフォスの鋭い判断力と巧みな用兵


敵となったテネとテバイトの王の家族を女と子供まで皆殺しにした

カルフォスの冷酷さと容赦のなさが


このことにより周辺諸国に知れ渡った。』
















時は流れる・・・・・・・・












「殺されてしまったのでしゅか?」


小さな王子に頼まれて読んでいた史書を


そこまで読んで付き人は本を閉じた。


幼い王子の表情を見てみると、


その大きな瞳から今にも涙が零れ落ちそうで


付き人は慌てた。




「・・・・えっと!あの!!でもね、テネから来たお姫様は、


その~騙そうと来ていて~カルフォス王様を殺しちゃおうとしてたので~


悪い人だったのですよ~だから~」


『殺されてしまった』とか『殺しちゃおう』とか『騙す』とか


王子の情操教育に悪いな


と思いながら、でも他になんて言ったら良いか


思いつかなくて付き人はそう言った。


思えばいくら読んで欲しいと頼まれたとしても


大人用の難しい史書なんて読まないほうがよかったな


と後悔しつつ


(『復讐』とか、『皆殺し』とかもあるし・・)


付き人の服をギュッと握り込んで少しだけ震えている


王子の手の甲に手の平を重ね


微笑みかけて勧めた。




「さあ、ご本ばかり読んでないでお昼寝に行きましょうか?


そろそろおねむの時間ですよ」


「ね・・・ほんとにお姫様も、王様も大嫌いだったでしゅか?


こ・・・殺しちゃうほど嫌いだったでしょか?」


首をブンブン振って縋り付く様に付き人の手首の辺りの裾を握り締めて見上げる


王子の瞳に付き人は、言葉が詰まった。




「それは・・・・」


「ほんとは・・・嫌いじゃなかったら・・


嫌いなんじゃなかったら凄く凄く・・・でも、その気持ち、知らなかったんなら


なんだか・・・」


ますますヘニョッとなってきた王子の表情に付き人は慌てた。

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