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「最近、カルフォス王は、テネリーズ様がお部屋に入っても


何も言わなくなったようですね」


「ええ・・・」


「警戒心の強いカルフォスがそこまでテネリーズ様に気を許すとは


さすがテネリーズ様ですね」


「・・・そうね・・」


テネリーズの髪を梳きながらそう話しかける侍女に


少し上の空でテネリーズは答える。




「如何したのですか?テネリーズ様」


「・・・・・いえ・・・・何でも無いわ・・・・


ただ、国のお父様と弟の王太子は元気かしら・・・と思っていたのよ」


怪訝な顔の侍女にテネリーズは慌ててそう返す。


テネリーズの言葉にそうでしょうとも、と


頷くとまた笑みを浮かべ侍女が答える。




「国の者の話ではお健やかで居られるようですよ


テネリーズ様の成果をとても楽しみに待っておられます。」




「・・・・そう・・・よかったこと・・・。」


テネリーズは俯いた。




では、行くわ




テネリーズはそう言って、また、今日もカルフォスの元へと向かった。












カルフォスは珍しく部屋の長椅子でうたたねをしていた。


あどけない顔で長椅子の背に身体を預けて右手を椅子の背に、


もう片方の手は膝の上に置かれた剣から落ちたのか


そのまま下に向かい、片膝を立て、もう片方は真っ直ぐに伸ばして


その様子は王というより、まだ幼い少年だった。




テネリーズは、そっと顔を寄せてじっくりとカルフォスの顔を眺める。


少し開いた唇から静かな寝息が聞こえて


テネリーズは、目を細めた。




「こんなに無防備な姿を見せてくれるようになるなんて・・・」


綺麗な顔


あどけないながらもただの少年のように


眠りながらも


どことなく気品を感じる。








「・・・カルフォス様・・・・」


そっと瞳を閉じて顔を寄せる。


その唇が触れるか触れないかと言う寸前になって


カルフォスの瞳が開いた。




「!・・・な・・んだ?」


吐息が触れそうになっているテネリーズから身を逸らし


怪訝な顔でカルフォスが聞く。




「・・・・カルフォス様・・・・お慕いしております。・・・・


私達は、王と王妃としての役目を果たさなければなりません


どうぞ、私をお召しになって下さいませ」


カルフォスは、テネリーズの言葉に目を見開いた。














「どうしたのだ?テネリーズ・・・・・急に・・・」


不思議そうな顔をしてカルフォスがテネリーズに聞く。




「・・・・何も・・・・ただ、カルフォス様をお慕いしているだけでございます。


早く・・・・出来るだけ早く・・・カルフォス様のお子が欲しい。


この国と我が母国を繋ぐ御子が・・・。」


テネリーズの言葉にカルフォスは眉根を寄せて注意深い表情をする。




「今、テネの者が沢山この国に来ております。


この国に根を下ろそうと言うものも沢山出るでしょう・・・・


私は、カルフォス様の大伯母様や大叔父様方とも


仲良くさせて頂いております。


財務大臣様や、外務大臣様とも、陸軍大佐の方にも


随分親しくさせて頂いた。・・・・私は、私とカルフォス様の御子は


両国の架け橋となれるでしょう・・・ですから・・・」


驚いたように瞳を瞬きカルフォスは言葉を挟む事無く


テネリーズの言葉を聞いていた。








「・・・・・一週間のうちに・・・私の部屋にお出で下さい


一度も来られた事の無い私の部屋へ・・・。」


そう言ってテネリーズは去っていった。






カルフォス王が油断するまで待って欲しいと、


もう少しこの国を内から掌握するまで待って欲しいと言った


期限ももう直ぐ終わる。


父は、我が国は本気でカルフォス様を、


そして、カルフォス様のこの国を滅ぼすつもりだ




私は・・・私は・・・・・

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