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「多いな・・・・・」
カルフォスは王宮内に増えたテネ国の者を見ていた。
出入りの商人に、王の許可を得なくても任命できる
下官達に王妃テネリーズの国の者が増えて来た。
それが、何を示すのか教えてくれるものは
カルフォスの傍には居ない。
それに、カルフォスは基本的には人が如何しようと
余り構わない。
しかし、父の国を蹂躙しようとするもの
父が守ってきたこの国を滅ぼそうとするものは
許せないと思っていた。
「・・・・追い払うわけには行かないし・・・
王宮に人が居ないのも確かだ・・。」
このまま、父の国に王妃テネリーズの国の者が融和するのだったら
放っておいても構わない。
カルフォスは、考えた。
「・・・・それに・・・
テネリーズは嫌いでは・・・・無くなって来た。」
ボソリとカルフォスは言葉を零した。
テネの国の者に対してはまだまだ不安がある。
しかし、私には、テネの動きを
探らせるだけの人材が無い。
信用の置ける部下は居ない。
政治と軍の頂点は確かに自分だが
内乱を起こされたら一人では対抗出来ない。
このまま、テネもテネリーズも何も事を起こさないままならば良いが・・・。
それを信用しきるほどカルフォスは人を信じては居なかった。
だが、何となく、テネリーズを斬るような事になって欲しくないという
気持ちだけは芽生えてきていた。
「・・・・裏切るな・・・」
そう思わず零す自分にカルフォスは苦笑した。