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不安な帰り道

授業は退屈で、どうしようもなく眠くて、記憶があまりない。

そんなことだから成績もあまりよくないのだろう。

ぎりぎり赤点は免れているが、時間の問題な気がする。

すでにもう授業には追い付けていない。

鈴音はどこに行ったのだろう?そんなことを考えたり、ああ、暇だなとか思ったりして一日の授業を終える。

友達と別れて、家に帰ろうとする。校門に行くと鈴音が待っていた。

いつからいたんだろう?

「お疲れ。さっききたところだからそんな待ってないよー」

また思ったことを当てられてしまった。

心が読まれているのだろうか?それとも声に出ているのだろうか?

「んー未来の考えてることは顔見ればだいたいわかるかな。心がつながってる証拠かも」

気持ち悪いことを言うな。他人まではいかないとしても自分の心が読まれるのは嫌だ。醜い部分が出てしまうではないか。

「しょうがないじゃん。未来の考えてること何かなーって思って顔見ると見えるんだもん」

「普通は他人の考えてることなんてどうでもいいもんだと思うけど?」

「えー。だって未来と私は他人じゃないじゃん。友達でしょ?」

「そうかもしれないけど……」

「じゃあいいじゃん!仲良くいこうよ」

「仲がいいからって自分の考えてることが見られてもいいってわけじゃないでしょ?」

「そうかな?考えがわかるってことは先回りしてその子の思うように動けるってことでしょ?口に出せないこととかもわかるし、それってとっても空気が読める子になれるんじゃない?便利じゃん」

「鈴音はそうかもしれないけど読まれてる方は気味が悪いよ」

「そうなの?んー便利だと思ったのにな……じゃああんま見ないようにするよ」

「そんなことできるの?」

「んー多分できると思う」

「ならできるだけそうして」

「なんか怒ってる?」

「怒ってないよ」

「えーそうかなー?」

「怒ってないって」

「本当?」

「本当だよ。嘘ついてどうすんの」

「そうだよね、ごめん」

しばらく沈黙が続いた後、鈴音が唐突に思い出したように話し出す。

「あ、外にいるときは話しかけちゃダメだったのに話しかけちゃってごめんね……普通に話してたから大丈夫かなって思ったんだけど、やっぱり周りの人じろじろ見てくるし、いけなかったね……」

その言葉を聴いて思い出す。

そうだ、鈴音が他の人には見えないってこと忘れてた。

独り言をずっと言ってるように見えていたのか。恥ずかしい。

しかも校門前でずっと立ち止まって話していたため、非常に怪しかっただろう。

周りの視線が気持ち悪くて、隠れるように下を向いて歩きだす。

こういう状況になったのは自分の性だ。仕方ない。私が悪かったんだ。そう思う。

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