寂しい夕暮れ
やっと一日の授業が終わる。
どっと疲れがやってきてぐでっと机に突っ伏した。
「お疲れー」
頭上から声が聞こえてきて、上を向くと鈴音が天井からひょっこり顔を出していた。
驚いて椅子から飛び上がってしまう。
そんな私を不審そうに周りの人が見る。
周りの視線を気にしないようにして、ノートになんで授業の終わる時間がわかったのか鈴音に質問を書き、とんとんとそれを叩く。
何か言いたいことがあることが分かったらしく、鈴音が隣にすーっと寄ってきて、ノートを覗き込む。
内容を理解すると話を始める。
「うーん……なんでだろ?分からないけどね未来が呼んでる気がしたから!」
気がしたって……確かに戻ってきてほしいとは思ったけれども。こっちの思ってることは筒抜けなのか?
いや、さすがにそれはないだろう。
考えていると友達がやってきた。すぐノートの鈴音と会話した部分を隠す。
「一緒に帰らない?また一緒にゲーセンでリズムゲーやろうよ」
鈴音は多分ゲームセンターにも行ったことがないだろう。鈴音にちらりと視線を向けると不思議そうな顔をしている。最近はすぐ帰ることが多いので、付き合いが悪いと思われてしまうのは嫌だと思い行くことにする。
「いいね。行こ」
「そうこなくっちゃ!最近すぐ一人で帰っちゃうからさーさびしかったんだかんねー」
「ごめんごめん。ちょっといろいろあって」
「いいよ。仕方ない。そんだけで友達やめるとかにはならんから気にせんでいいよ」
「ありがとう。あ、今度の土曜映画行かない?確か昨日見たいって言ってた映画始まったみたいだし。私も見たかったから」
「そうそう!今日からなんだよー!一緒に行きたい!!」
友達と話をしているのを鈴音は黙って見ていた。
悪いかなと思っていると、鈴音は私の前からいなくなってしまった。
先家帰ってるねと鈴音の声が聞こえたような気がした。
鈴音のことが心配になったが、友達とゲームセンターへ行くことになってしまったので、そのまま友達と行動を共にする。きっと家に帰っているのだろう。そう楽観視した。
別の友達も連れて行くらしく、靴箱の近くで待っていたので、合流する。
その後は楽しく会話して、ゲームして、帰った。
鈴音はいなかった。