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変わったお客

最近朝起きて立ち上がるとき地面がぐらぐらすることがある。

あんまり気にしないようにしているつもりでもやっぱり少し立ち上がれないし困る。

そういう時はしばらく座っているとそのうち治る。目覚まし時計が鳴らなくて遅刻しそうだった時にこれがあった時には本当に困った。遅刻ギリギリまで直らなくて急いで行って教室に入るとちょうどチャイムが鳴ったことを覚えている。

自分のことなんてどうでもいいけど。

今日は特にひどくて地面がぐらぐらするというより世界がぐにゃりと歪んでいく感じでいつもと違う感じがしたけどすぐに収まった。

なんだったんだろう……

授業中に落書きをした。

眠いときは大体いつもそうしている。

落書きをする時は人を描く場合が多い。というか人以外あまり描いたことがない。

絵を描くのは好きだけど、そこまでうまくない。どちらかというと下手だ。

描いては消していく。

ちょっとうまくかけるとその子がどんな子か想像する。

大体が優しくて、話が面白くて、いつも笑顔で、明るい私とは正反対の性格になってしまう。

いつも笑顔の子ばかり描いてしまうからそうなるのだと思う。

たまに想像の世界に浸っていると声が聞こえてくることがある。それは他の人には聞こえないみたいで多分想像しすぎて聞こえてないのに聞こえているように感じてしまったのだと思う。

気にしないようにする。

その日、友達と一緒にゲームセンターに行って遊んで帰ってくると私の部屋に人がいた。

部屋に入った時は誰もいなかったはずで、いきなりあらわれたので驚いた。

その人は私を見るなり笑顔で言った。

「おかえりなさい!」

私はびっくりしてしまった。今日絵に描いた人物の中の一人にそっくりだった。

唖然としている私を放ってその子は言う。

「今日からよろしくねー」

「え、ちょっと待って」

私は頭の中の整理がつかないまま、とりあえずその子が話をしようとするのを止めた。

「何?」

その子はきょとんとした顔で言う。

「えーっと……なんで私の部屋に人がいるのかわからないというか……私の部屋一人部屋だし寝る場所一つしかないし……第一あなたは私の想像の産物のはずで……」

ごにょごにょ言うせいで最後の方は聞き取れなかったみたいで不思議そうな顔をして彼女は軽快に言う。

「私はきづいたらここにいたの。名前は京野鈴音。寝る場所は自分で勝手に見つけるからいいよ。気にしないで。あとなんでかわからないけど私この部屋から出れないんだよね……だから外の世界のことあんまり知らないんだー。教えてくれると嬉しいな!」

にっこりと笑う。

とてもかわいい。

いやいやかわいいとか思ってる場合じゃない。

なんでこんなことが起こってるのだろう?すべてがわからない。

でも彼女はやはり私の描いた絵の子らしい。

今日一番うまく描けた子だ。

鈴のブレスレットをつけたから鈴音と名前を付けた。

彼女の腕を見ると確かに手首に鈴のブレスレットをしていた。

とりあえず少しだけ気になることがあったので質問してみることにする。

「あのさ、この部屋から出られないってどういうこと?」

すると彼女は少し困ったような顔をして

「えーとね、気が付いたらこの部屋にいて、どうしようかなって思ってとりあえず部屋から出ようと思ったの。で、ドア開けようと思ったんだけどなんか開かなくてさー。窓も開かないんだよねー。でも未来ちゃんは開けてこられたよねー。なんでだろ?」

……なんで私の名前を知ってるんだ?いや、私が鈴音を作ったんだし知っててもおかしくないかもしれない。

「まあいいや。これで出れるし、そろそろ外に行こうかなー。またなんかあったら来るからね。メアド交換しよ!そうすれば困った時とか連絡取れるし!」

そういって携帯をポケットから取り出す。

私がおろおろしていると

「ねーねー早くー」

とせかしてくる。

「あ…はい。」

そう言って私も携帯を取り出して赤外線通信をした。

「おっけーありがと!てか扉開いたし今なら出ていけるかも!」

そう言って彼女は開いた扉の方へ向かっていった。

「またね!!」

手を振って行ってしまった。

廊下に出るとそこにはもう誰もいなかった。

「……どうなってるの?」

よく分からないことの連続でそうつぶやくしかなかった。


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