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記憶の中

「友達がいなくなっちゃうんです」

相談しても変わらないことを相談してしまう気になってしまったのはなぜだろうか。

そんなことしても意味ないのに。

でも私は中原さんに話をしていた。

「いなくなるって?どっか遠くに行っちゃうの?」

「…まあそんなところです」

「そっかー…それは寂しいね。仲いいんでしょう?」

「多分…私にとっては大切な人で」

「え!?もしかして彼氏?」

「ち…違いますよっ!!何言ってるんですかっ女友達です!」

「あはは~冗談だよ!そんな慌てなくてもいいじゃん~」

「すいません…」

「謝ることでもないけどさーでも急に決まっちゃったのかな?いままでそんな話一度も出てなかったよね?」

「はい。先週の金曜日に教えられて…それでずっともやもやしてるというかなんというか…」

「そっかー一週間も悩んでたのか…大変だったね。ごめんね。いつでもいるんだけど他の事も話すからさ。金曜日の昼休みは未来ちゃんって決まっちゃってるんだよね」

「そうですよね。急に来られても困るかと思ってこの日まで待ってたんです。でも別にこのこと言うつもりもなかったんですけどね…言っても意味ないし」

思ったことを伝える。この人の前だといつも思っても口にしないことがだだ漏れてしまう。

「意味はあるよ!人に話すだけでも少しはすっきりしない??」

「はあ…」

「だって一人で抱えていくのって辛いじゃん!未来ちゃんはいつも抱え込んでいると思うけど私の前では取り繕う事はしなくていいんだよ?」

「ありがとうございます…」

「うーん…さっきの話に戻るけど二度と会えないわけではないでしょ?メールとかしてみれば?それがだめなら文通とか?」

「いや…多分二度と会えないです」

「え!?なんで??」

「いや…なんとなくそんな気がするんです」

「そっかー…でもそのことの思い出は未来ちゃんの記憶に残ってるでしょ?」

「そうですけど…」

「だとしたらいなくなるって考えるんじゃなくて、自分の記憶の中で生き続けるって考えた方が楽しいんじゃないかな?」

「え…?」

「未来ちゃんの記憶からも消えるわけじゃないでしょう?ずっと忘れなければずっと一緒に入れるってことじゃない?あ、でもこれ考え方が気持ち悪いかな…変態にならない程度にね!!」

「変態ではないですけど…なるほど…そういう考え方もあるんですね」

確か鈴音も私の心の中で生き続けると言っていた。それってこういう事かなと思う。

でも忘れっぽい私(去年の記憶すらない)にはできるだろうか?

いや、鈴音程の存在感のある人物を忘れるはずがないだろう。こういう表現は合わないかもしれないけどお世話になったし。何度も私のことを想ってくれた。そんな彼女のことを私は忘れたりはしたくない。

「そういえば病院の件どうだった?」

「あ、母にも許可取りました。来週の水曜日に行ってきます」

「そっか!!良かった!あっちでも会えるの楽しみにしてるね!!」

そうこうしているうちに時間が来てしまった。

またねと言われてさよならと言い、お辞儀をしてから部屋を出る。

「お疲れー」

「鈴音…聞いてたの?」

「ううん。今来たばっか」

「そっか…」

「うん。未来これから授業でしょ?ファイトー」

「ありがと」

鈴音の顔をちゃんと見なきゃいけないのにちゃんと見れないでいる。

あと少しでいなくなってしまうのに。

残された時間はあと3週間と3日くらいだろう。

どこから1ヶ月かはわからないが。

「あと2週間と5日くらいかな?」

私の考えを読んだ鈴音が言う。

「そんなに短いの?」

「うん。今月までだからねー」

「そうなんだ…」

「そんな落ち込まないでよー…こっちまでテンション下がる…てかそろそろ行かないとやばいんじゃない?行ってきなー」

「うん…また後で」

「またねー」

2週間と5日その時間を精一杯使って鈴音と最後の時を過ごす。

でも私にはまだ現実が理解できないでいた。

鈴音がずっといてくれるような気がして。

それを願っていた。


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