ありきたりな日常
目覚まし時計が鳴る。
今日も一日が始まる。
制服を着て、朝食を食べて、髪を結んで、忘れ物がないか確認して、家を出る。
朝は苦手だ。頭がボーっとするし、眠いし、朝日がまぶしい。
学校までは自転車で十分ちょっとくらいで他の人に比べれば結構早く到着するので結構ぎりぎりまで寝て少しだけ急いで学校に行く。
学校に来ている人はまだ半分くらいしかおらず、残りの人たちは遅刻ギリギリかそれより少し早いかくらいで来るのがいつものことだ。
私の友達はまだ一人も来ていなかった。
やっぱり類は友を呼ぶらしく私の友達のほとんどは朝が苦手だった。
一人でお気に入りの作家の小説を読む。
私は好きな作家のばかり読むせいで知識が偏っていると友達に言われたことがある。
でもやっぱり好きな作家の物を読みたいし、たまに他の作家の物を読もうとわざと苦手なジャンルを選んだり、見たことはあるけど読んだことのない作家を選んだり冒険をしてみることもあるけどたまに苦手な作家もいたりして、そういうことがあるとやっぱり好きな作家が安定の面白さでいいなと思ったりもする。
自分が好きになったものはとことん好きになってしまうタイプなのでそうとう贔屓してると思うけど。
しばらく集中して本を読んでるとだんだん登校してきたころよりにぎやかになってくる。
たまに挨拶をしてくれる友達がいて私があいさつを返すと自分の席へ向かっていく。
私が小説を読んでるときは気を利かせてくれているのか私の方へはやってこない。
大体の生徒が登校してきたところで本を閉じるとちょうどチャイムが鳴って、朝のホームルームが始まった。
昼休みになり、友達と机をくっつけてべらべらと他愛のない会話をする。
私の友達は私と同じで言ったら悪いかもしれないけど人生の脇役みたいな地味目な子が多くて、話題はばらばら。
小説の話だったり、アーティストの話だったり、ドラマの話だったり、いろいろだ。
たまにわからない話があっても興味があるようなそぶりをしておけば乗り切れるのでそうしている。
お勧めされたらとりあえず教わったものを覚えといて後でその日のうちに見るなり聞くなりして感想を求められたら言う。
いまいち他人を信じきれない私にとってはそれくらいがちょうどいい。
他人を信じきれないからと言ってクラスメイトとの関係を切ってしまったら一人になってしまう。
それは嫌なので偽なのかもしれないけど友達を作ってクラスの人から見たら浮いてるわけでもなく普通の人ってことになってる。
グダグダするのは嫌いなので話が一区切りして話題が無くなったところで図書室へ行く。2人ついてくと言って一緒に行くことにした。
最近お勧めの小説や、新しく出た小説の情報などを交換しながら図書室へ向かう。
図書室について、各々別々の場所へ読みたい本を探す。
私の好きな作家さんで新刊が出たと聞いたので探すとあった。借りる。
こういう時生きていてよかったと思う。とても嬉しい。
しばらく読んでいるとそろそろチャイムが鳴るから帰ろうと友達が来たので一緒にクラスへ帰る。
退屈な授業がやっと終わって各々部活なり帰宅なりする。
私は部活には入っていないから他の部活に入ってない友達と帰るときもあるけど今日は早く帰らなきゃいけなかったから、また明日と言って帰宅する。
家に戻って自分の部屋に入る。
ふと気づくと私はカッターを持って布団をかぶっていた。
何がどうなってこうなったのかさっぱりわからない。
最近では日常となりつつあることだ。
特に何も思わなかった。
カッターを握りしめ、腕に当てる。
そのまま一直線に線を引く。
力が入っていなかったのかちょっと血が出たくらいだった。
ティッシュで血をぬぐう。
そのままティッシュをゴミ箱に入れる。血は見えないように折りたたんだ。
時間を確認すると6時だった。
だいたい40分くらいたっている。
これもいつものことだ。
もう少しで夕飯に呼ばれるので、明日の支度をする。
音楽を聴きながら勉強していると、母親が呼びに来たのでリビングへ行き、食事をする。
その後風呂に入り、今日借りた本や読み途中の本を読む。
友達に勧められた音楽のことを思い出し、本を読むのをやめ、パソコンを開く。
本を読むのに集中していたせいか風呂に入ってから2時間くらいたっていてびっくりする。
しかしすぐに本を読んでるとすぐ時間が過ぎてしまうしこんなもんだろうと思いなおす。
パソコンで検索する。最近はやりのバンドの曲だ。
流行にはあまり敏感ではないので初めて聞く曲だ。
特に何も感じなかった。
恋する女の人の曲だったので、恋をしたことのない私には共感できなかったのかもしれない。
その後もいろいろ検索していると、深夜になってしまう。
そろそろ寝ようと思い、今日もウォークマンを聴きながら布団に入った。
そうやって今日も平和でありきたりな私の一日が過ぎた。