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鈴音の心

終業式は午前中で終わり、私は友達からの誘いを断り、鈴音と一緒に帰りの道を歩いていた。

どちらも無言で、ただただ歩いていく。

「…ねえ、そういえば話したいことって?」

沈黙を破って鈴音が聞いてきた。

「…家帰ってからでもいい?誰にも聞かれたくない」

「それはいいけど…どうしたの?なんかいつもと違う気がする」

「…そうかな?」

「そうだよー!なんか暗い顔してるよ!」

「そんなことないよ…」

「そんなことあるって!ねえ、私なんかしちゃったの?」

「そうじゃないけど」

「えー!絶対なんかある!!」

その言葉を無視してまた黙々と歩きはじめる。

鈴音は不服そうな顔をして私の後をついてきた。


「で?どうしたの?」

家に帰り、私の部屋へ着くと鈴音が聞いてきた。

「あのさ…」

?を頭の上に浮かべている鈴音に行っていいか迷っていた。

こんなこと聞いて嫌われないか…私ともう一緒にいてくれなくなってしまうか…そんなことばかりを考えてしまっている。

「何でも聞いてよ!!どんなこと聞かれても未来のこと嫌いになったりしないから!!」

そういう鈴音は何の悪意もないような顔をしていて、とても純粋で。

だから私も素直にならないとと思った。

「あのさ…鈴音は私の事どこまで知ってる?」

「何でも知ってるよ」

ずきりと胸が痛む。今日の夢みたいで。

「何でもって…」

「何でもは何でも!過去のことも今の事も全部!!」

にっこりと無邪気な笑みを浮かべて言ってくる。

「……どこまで知ってる?」

「えー?うーん未来の記憶にあることなら大抵知ってるよ!たとえば、小さなころに棒付きの飴を落としちゃって、それで泣いてたら近くにいた人がチョコレートをくれたこととかー恥ずかしいことからー知られたくなさそうなことまで!!」

ニコニコ笑いながら言う。そんな鈴音が少し怖くなる。

確かに私が小学生くらいの頃そんなことがあったような気がする。はっきりとは覚えていないが…

「私はさ、未来が作ってくれたじゃん!」

「え…?」

「何々?知らないと思ってた?もちろん知ってるよー!!今日見た夢のことがあったから今日は多分こういう話になるんだろうなとか思ってたもん!!」

「……」

「私はね。気づいたらここにいてさ。ここに住んでる人が私を作ってくれた人なんだなって!それでね。なんでか未来の記憶を共有してたの!だからこの世界に突然出てきたにもかかわらず自分の事も、この世界の事も知ってたんだ!未来の設定どおりいようって!!そうしないと私は消えちゃうから」

「…消えるって?」

「そのまんまだよ。私は未来に作られたからそれに逆らうことしちゃうと消えちゃうの。未来が自分を傷つけてることだって知ってる。最近はやってないでしょ。それって私がいるおかげだと思うんだよね。私っていう心を許せる人ができて、話ができて、とっても楽しいからそういう気にならないんでしょ?知ってる?私最近未来に触れるようになったんだよ」

「それはどうして?」

「未来と私のつながりが濃くなったからだよ!いやー最初触れた時嬉しかったなー!顔には出さなかったけど!あと携帯にメールしないでしょ?それもね、未来があんまり携帯見ないの知ってるから!メアド交換したのはつながりを濃くするためってのもあるけど、いざって時連絡できるようになんだよね!」

私にはよく分からないようなことを鈴音は話す。

でもそれが本当なんだってことはよく分かる。

なんとなく鈴音は私に嘘をつかないと思ったから。

「そうだったんだ…じゃあ、私は鈴音の事全く知らないのに、鈴音は私のことずっと知ってたんだ…」

「そうなの!なんかだましたみたいで悪いなって思いつつ…ごめんね。でも私未来のこと大好きだよ!!」

「それも設定なの?」

「違うよ!!これは本当に私の感情だと思う!!それに未来は私のこと知らないっていうけど未来は私の事一番よく知ってるんだよ?」

「…そうなの?」

「そうだよー!!だって未来に私は作られたんだから!!そりゃ作る側が一番知ってるよ!!」

「そっか…そうだよね」

「うん!!!そうだよー!!」

「鈴音、これからもよろしくね」

「うん!!よろしく!!」

そう言いながらそれから私は鈴音のことを心の中では拒否するようになってしまっていた。

なんとなく、鈴音のことが信じられなくなってしまったのだ。

その日から鈴音はまた私に触れなくなり、私はまたあの行為をするようになった。

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