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水族館

日曜日。

私と鈴音は水族館に来ていた。

何の変哲もない普通の水族館だ。

私の好きなペンギンがいる。

鈴音にも外の世界のことを教えようと思って、大金をはたいて(そんなに高くはないかもしれないけど私からしたら大金だ)来ることにしたのだ。

わたしはどきどきしていた。

鈴音がもし私の知らない間に来ていたらどうしよう?

そんな思いがぐるぐる頭の中を回る。

そんな私の心配をよそに鈴音はるんるん言いながら水族館の入口へ入っていった。

「うっわー!!!すっごい!!!!なにこれ!?!?魚めっちゃいるー!!!知らないのしかいない!!!なんてこった!!!」

入ったとたんに目に入った水槽へ突撃していく鈴音。

「うっわーきれー…かわいー…うっわー…」

「鈴音?大丈夫?」

「え??何が?テンション高すぎてハイになってんじゃないかって??そんなことないから大丈夫!!躁鬱病ってほど気分の上下激しい訳でもないし!!」

躁鬱病って…精神病をそういうたとえに使うのはどうかと思う。

でも本当に喜んでくれたみたいだ。

良かった。

「ん?未来もしかして笑ってる?」

「え?」

「うわー未来が本当に笑ってるとこ初めて見た!!!」

「そんなことないでしょ。いつも笑ってるじゃん。」

「いーや!!いつものは嘘っぽい!でも今日のは本当に笑ってる気がする!!」

鈴音は優しい顔になって言った。

「良かった。本当に良かった。今日ここにこれて。未来と会えて。ここに存在することができて。」

いつもはうるさい鈴音が静かなけれどあったかい声でそう言った。

「ちょっどうした!?涙出てるよ??どっか痛い?大丈夫??」

「え??」

そっと頬に触れてみる。すると湿っていた。

そう気づいた途端涙がだばだば流れてきた。

「ええ!?何があったん!?大丈夫??」

「だ…だい…じょ…ぶ…」

しゃくりあげながら私は言った。

変な子だと思われるだろう。周りからは一人で勝手に急に泣き出したように見えるから。

迷惑かけちゃだめだ。

泣きやまなきゃ。

そう思うほど涙が止まらない。

鈴音に手を握られて人通りのない角の方へ誘導される。

それからしばらく鈴音にやさしく声をかけられていた。

しばらくして泣き止んだ私は

「ごめん…迷惑かけちゃって…せっかく楽しんでもらおうと思ったのに…」

「いやいや!全然いいんだよー!!迷惑でも何でもないし。泣きたいときはなきんさい~」

「本当にごめん…」

「謝らないでよー。全然気にしてないし。平気だよ。私は未来の事嫌いになったりしないから何でも言っていいんだよー」

優しい声でそう言われてやっぱり私はまた泣きそうになったけどこれ以上迷惑を掛けたくなくて、泣くのをこらえた。

「うん…ありがと…水族館見てこ。時間だいぶなくなっちゃったけど…」

「うん!!!!!そうしよそうしよー。ノックアウトされた心を安らげに行きましょー」

その後は楽しかった。

二人でいろいろ周りに聞かれないように私はぼそぼそ、鈴音はきゃぴきゃぴ話ながら行った。

私がペンギンを凝視するのを鈴音は怖いと言った。

でも嫌いになったりしないという言葉を信じてみる。

鈴音は隠してることがある。

でも私も傷のことを話していないし、心の不調の事や、朝のめまいのようなものの事も話していない。

私の方が隠してることは沢山ある。

だから鈴音の隠してることも時が来るまでは聞かない。

鈴音といる日々を大切にしたかった。


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