どこかの世界の人間の話
<硝子瓶に閉じ込める>
「ねぇ、好きな人っている?」
緊張しながら、私があなたに尋ねる。
「好きな人?____いるよ。」
素っ気無く、あなたは私にそう答えた。
「へぇ、そっか。」
モヤモヤしながら、私はあなたにそう答えた。
あぁ、この思いを閉じ込めなくては
触ると儚く散ってしまいそうな、あの透明で美しい硝子瓶の中に___
<喪失からの逃走劇>
「ねぇねぇ~、宿題見せて~。」
「いいよー。」
私は、笑顔で承諾する。_______でも本当は嫌。
何で見せなくちゃいけないの。私だって頑張ってやってきたのに。
何で何もやってない人なんかに見せなくちゃいけないの。
けど、断ったらどうなる?
目の前で、文句を言われるだけでなく、周りの人間にも言いふらされる。
結果、私は利用価値のないものに認定される。ずっとひとりぼっちだ。
そんなの嫌だ。絶対に嫌。
そんな思いを抱きながら、私は笑顔をふりまいていく。
<悪夢のつづき>
「さっさと運びなよ」
「これ買ってきてー」
「死ねよ」
「マジ気持ち悪~い」
「話しかけんな」
ねぇ、誰か。
「ねぇ、見て・・・」
「またやってるよ」
「よく飽きないよねぇ」
「無視無視。関わったら何されるか」
ねぇ、何で誰も助けてくれないの?
「______っ!」
あれ、声が。
私の声が______出ない。
どうして?なんで出ないのよ。こんなに苦しいのに。こんなに辛いのに。
苦しいよ。
誰か。誰か。誰か。だれか。ダレか。ダレカ。
~~♪
~~♪
私は、携帯の着信音で目が覚めた。
顔や体中が汗でびっしょり濡れている。
あぁ、神様。
夢の中くらい幸せにしてくれったていいじゃない。
静かに涙が流れていく。
私は夢の中でさえ報われないのね。