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騒動

一気に更新する野望を諦めた。

 あの後、空気は最悪でしたね、ええ。

 まさか、いきなり宣戦布告をするとは思いませんでした。

 担任はたいして動揺していませんでしたから、あらかじめ知っていたんでしょうね。口元も微妙に笑ってましたし。

 それにしても・・・この超能力者だらけの学園であの自己紹介はないでしょう。

 超能力者が嫌いだって、自分もその中の一人でしょうがと言ってはダメなんでしょうか?ああ、いますぐツッコミたいですね。

 幸いにもまだここに来たばかりで、ちょっと情緒不安定なんだろうということで皆さんは流しましたが、最悪の場合、いきなり超能力戦争が始まるところでした。危なかったです。

 だから・・・


「やめてもいいですか?」


「ダメに決まってるでしょ。男に二言はないんじゃないの?」


 現在、学園長に直談判中です。授業?そんなものは些細な問題です。どうせ出席確認なんてされないんですから。

 それはさておき、本当に無理というものは無理なものです。協調性ゼロのというか協調する気ゼロなんですから。

 あれをやるくらいなら、深淵の黒森で狩りやっていたほうが楽な気がします。いや、どっちもどっちですね。身体的致死率が百パーセントか、精神的ストレス百パーセントかどっちを選べと言われても選べませんもの。

 なにせどちらも最悪なのですから。


「そんな難しいことじゃないでしょ?つきっきりじゃなくて、危険なことが起こりそうな場合だけ手を貸してあげればいいのよ。それぐらいなら出来るでしょ?」


「私は学園長みたいに無駄に年を重ねていませんから、そこまで楽観的に考えられませんよ」


「・・・何か言ったかしら?」


「きっと気のせいでしょう」


 そうしておいた方が、きっといいです。

 全く、見た目は確かに二十代かもしれませんが精神は何十歳って話ですよ。肌の老化も、その自慢の能力で止めているみたいですし。

 

「ちっ、姿さえ見えればこっちのものなのに・・・一度ぐらいはその能力を解いてみたらどう?」


「殺気立っている人の目の前以外なら、もしかしたら解くかもしれませんね」


「・・・相変わらず可愛くないわね」


 自分でもわかっていますから、わざわざ言わなくても大丈夫ですよ。


「他のメンバーは今、どこにいますか?」


「押し付けようとしてもダメよ。ライちゃんなら、確かテンちゃんと一緒に第一種ESP災害地帯に出張中、みーちゃんは・・・どこの組織かは知らないけど超能力兵士の気配があるっていて殲滅に行ったわ。ということで今この学園島にいるのはあなただけよ」


 ちっ、肝心な時にいないなんて・・・なんて使えない人達なんでしょう。空気読みなさいよ空気。ESP兵士の気配なんて読まなくていいですから。


「他に押し付けられそうな人はいませ(コンコン)・・・嫌な予感がしますね」


「あら誰かしら?入っていいわよ」


 丁寧にノックをして入ってきたのは、鉛色の髪の女子生徒・・・生徒会長ですね。

 このやたらめったら問題が多発しまくる学園の生徒会長は、仕事が多い分だけ権限も強いです。

 予算に関しては生徒会がほぼ握ってますし、教師が生徒会に干渉することはできません。もっとも、学園長には勝てないみたいですけど。

 そして、例のごとく生徒会長はこの学園でも最強の能力者となっています。というか、強くなきゃやってられないです。

 超常現象の力を持っているせいか、この学園の生徒は思考が若干暴力的ですからね。強きが正義とかわけわからない世紀末ルールが適用されてしまっているのですよ。

 まあ、最終兵器(刻々崎刹那)がいますから生徒の鎮圧はそこまで重要度は高くないんですけどね。

 生徒会長の能力は、重力操作です。まあ、超能力の中ではわりとポピュラーな能力です。あくまでフィクションの中でのことですけど。

 現実世界で発現したら、普通にチートですよね。

 なにせ空を飛ぶこともできるし、相手にかかる重力を倍化して押さえつけ捕縛することもできるしと使い方次第で様々な応用ができるんですから。

 

「失礼します学園長・・・おや?話し声が聞こえたので客人がいたと思っていましたが・・・」


「あら、もしかして電話の音声が漏れていたかしら?ごめんなさいね」


 とぼけた声でシラを切る学園長。さすが、その年により重ねた面の皮は分厚いですね。


「どうしました学園長?部屋の隅なんかにらんで・・・」


「いいえ、気にしなくていいわ」


 そう言いながらもこちらを睨んでくるどうかと思いますよ学園長。そこになにかいますと言っているようなものじゃないですか。

 ステルスをかけているのに場所がばれているのは、少しだけ弱めているからでしょうね。私の能力はオフにすることはできませんが、加減することはできますからね。逆に言ったらもっと強めることもできるんですけどね。

 そうしてしまった場合、声すら聞こえなくなるんで滅多にやらないですが。


「はあ・・・まあいいです。本題に入らせて頂きますが、二年廊下で少々面倒な騒ぎが起きているもので」


「あら?あなたでも止められない生徒なんていたかしら?」


「いえ、私が止められない生徒は皆自分の立場をよく理解しているので、そのような騒ぎを起こしません。今回の騒乱は、問題生徒の農木豪三年によるものが原因なのですが、その絡まれた生徒が本日編入した生徒のようでして・・・問題はないかもしれませんが、いちおう保持能力の詳細を聞こうと思いまして」


「さすが生徒会長なだけはあるわね、そこでうかつに手を出そうものならどんな被害が出るかわからないもの、賢い選択よ。でも、能力の詳細について聞く必要はないわ」


「何故ですか?」


「おそらく、その騒乱はすぐに終わるだろうでしょうからね」


 チラッとこちらに流し目をする学園長、いらっときますねその仕草。だから年を考えないさいよ年を。

 そして今の言葉はおそらく、はやく止めてこいということでしょう。というかそれしかないでしょうね。

 しかし・・・わざわざ生徒会長が出向いてきたのに対して詳細を明かさないとは・・・これは多分普通の生徒には明かしたくない何かが編入生の能力にあるようですね。

 なんですか?また、あのヤバイ天災級の能力ですか?

 ひと昔のやつは確か、台風を自在に操作する能力でしたかね?

 自分で作ることもできて更に操作できる、悪夢でしたね。しかも発動者は洗脳済みの超能力兵士。幸いだったのは台風を作るスピードがとんでもなく遅かったことでしたね。

 洗脳を施した大元の組織―――確か、『暁教団』でしたっけ?―――は憂さ晴らしに潰しましたが、今はどうなっているんでしょうかね?

 まっ、どうせどこかで復讐でも考えていることでしょう。

 それではそろそろ行くとしましょうか。学園長の目も怪しげな光を放ち始めてますし。

 私は生徒会長の言ったとおり、自分の教室の廊下へ忍び急ぎ足で向かうことにしました。








「・・・やっといったかしら?」


「何がですか?」


「いいえ、気にしなくていいのよ。あなたには関係の無い話だから」


「先ほどの気配はやはり、暗部の人間ですか?」


「うふふふ、何故知っているかは聞かないわ。それはあなたが知るべきことではないのよ」


「・・・私はまだ、信用できませんか?」


「ええ、私が信頼できるのはあの子達と教師だけ、私の信頼は安売りじゃないのよ。特に、裏で何か探っている人間には売らないことにしているの」


「・・・お忙しい中失礼しました」


「そう、大した用事はなかったから大丈夫よ。それと・・・あなたは少しは自重という言葉を覚えたほうがいいわよ。この世界は正義だけじゃ回らないんだから」


「・・・・・・失礼しました」


 





 ダンッ、と壁を殴る音が寂しく響く。


「くそっ・・・なぜ理解できない!?神に選ばれた力を持つ我々は、この力を持って人間を導かなければいけないことを・・・!!!」


 周囲の光が歪み、壁や床がメシメシときしみ始める。そこは通常の八十倍以上の重力が掛かっている魔境と化していた。


「私たちの力があれば、もっとたくさんの人間を救えるはずだ!それをこんなところに留めておくのは、宝の持ち腐れでしかない!何故あの魔女はそのことがわからない!?」

 

 鉛髪の女子生徒の声は、虚しく廊下に響き渡っていく。


「この学園の教師もだめだ。私が変えなくてはいけない。そう、人類を救えるのは私だけなんだ・・・」


 その小さな叫びはまるで、理想と正義だけを叫び続ける狂信者のようにも見えたのであった。




   □ ■ □




「なめてんじゃねえぞクソちびィ!」


「・・・・・・・」


 目の前にいるのは睨み合う男女。

 口汚い言葉を吐いているのは、見た目も汚いゴリラのような巨体を持った生徒です。

 あの猿のような顔には見覚えがあります、確かいつも問題を起こすことで有名な生徒ですね。能力は変身系統の獣人系・・・ゴリラでしたっけ?まだ能力は使っていないはずなのに、見た目が既にゴリラということで変身後と変身前の見分けがつかないということでも有名ですね。

 無言を貫き続ける女子生徒は、先ほどあったばかりの編入生。フードはかぶったままですが、その小さな体からは怒気が溢れ出ています。

 ・・・どうすればいいんでしょうか、これ。

 周りの生徒の声を拾い集めた結果、どうやらあのゴリラが編入生を見つけて突っかかって、それに編入生が挑発兼反論、そして今の状況ということらしいです。

 ・・・実にわかりやすく、わかりたくない展開ですね。

 痛くなる頭を抑えるためにミルク味の飴を口に含む。短気になりそうな時は、カルシウムを取るといいとどこかの博士が言ってましたからね。

 ・・・そうです、彼らもこの飴玉を食べれば冷静になるでしょう。

 ということで、早速実行。親指で弾き口元へショット。


「なんかいいやが―――ゴゲッ!」


 ちょうど喉に命中、何やらのたうちまわる音が聞こえますが先ほどよりは静かになりましたね。

 いちおう止めをさしておきましょう。


「ゲホッ・・・一体何ごはっ!ぎゃっ・・・ごほ・・・」


 レバーにスタンピング。えぐり込むように三回ほどやっておいたので、しばらくは立てないでしょう。

 これでしばらくは静かになることでしょう。

 それでは用事も終わったのでさっさと帰ることにしましょう。

 周りの生徒もあまりの事態についていけていないみたいですしそれに・・・


「・・・・・・・・・」


 何故か、編入生もこちらを凝視していますしね。

 もしかして、気づかれちゃいましたかね?




次回は明日更新。今回は二個。



生徒会長は、だいたい五章ぐらいかな~

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