マヤの真実
とりあえず、これだけは連続投稿。
出来上がっていたので。
なお、この解釈は作者の勝手なものです。
信じないでくださいね。フィクションだよ!
2012年12月21日。
この日付に心当たりはあるだろうか。
そう、この年はマヤ文明の人類終焉の日だ。
暦の上でこの日から続きは書かれておらず、学者たちの中では人類が滅亡する日だと騒がれていた。
曰く、宇宙から巨大隕石が降ってきて氷河期がはじまるやら。
曰く、巨大地震が発生し、大陸が津波で押し流されるやら。
曰く、某国の核技術が暴走し、全世界が核で汚染されるやら。
そんな憶測が全世界を飛び回った。
大多数の人間はそんなことは信じなかったし、暦の続きも別の調査隊により発見されている。
しかし、少数の人間はそれを信じ、生き残るために行動をした。
周りの者たちにすればひどく滑稽に見えただろう。私財どころか借金をしてまで生き残るために努力することは。
だが、彼らにしてしまえば生き残る努力をしない者たちの方が愚か者に見えていたのだ。
しかし、そんな彼らの努力を嘲笑うように結局人類の滅亡など起こりはしなかった。
天変地異が起こる様子はなく、隕石も観測などされていない。
雲の様子からも、ノアの方舟を襲った大洪水が起きる様子はない。
全くの無駄骨、所詮世界を騒がした虚言話。
世間の人々の認識はそうであった。
だが、それだけでは終わらなかった。
マヤ文明が記していたのは、人類の文化の終わり。
後世の学者たちが判断しただけであって、人類が滅びるとは一言も書いていなかったのだ。
そう、その日を境に、人類の科学という歴史を覆す【超能力】が誕生した。
最初の超常現象の発生・・・超能力者の誕生は、不幸なことに大国の貧民層の少年であった。
発現した能力は、小説や漫画などのフィクションの世界でも最もありふれた【念力】であった。しかし、ありふれている分その能力は危険極まりないものであった。
少年は誕生と同時に能力を発現し、家が持ち上げられ、車がねじ切られ、大地はひっくり返されるという大災害が貧民街に集中して発生した。
死者は二百六十人、重傷者は六千人とも言われていたが、死傷者の大部分が貧民街の人間だったため正確な人数は更に上をいくと考えられている。
当時の警官たちはなんらかの組織による事件だとも考えたが、結局調査は捗らずに迷宮入り、犯人も原因も分からずじまいで終わってしまった。
そもそも被害にあった人間はほぼ貧民街の人間ばかり、この腐った国でそんなもののために真剣に調査する警官が存在しなかったのも迷宮入りの原因といえるが。
大災害はその国だけでなく各国のマスメディア達も大層騒がせた怪事件であったが、どこから出たかもわからない学者たちの説明により皆納得していき、次第に忘れられていった。
そして、それが仇となった。
【念力】使いの少年は青年へと年を重ね、そして自分の力を持って国家を転覆させようと企んでしまったのだ。
富裕層中心の政策、名ばかりの貧民層支援、過酷な重税、人々の不満は青年によってまとめあげられ、国を滅ぼそうと団結してしまったのだ。
もちろん、政府も最初はすぐに弾圧できると信じていた。それは、大国であるだけの自負であった。
しかし、そこにいたのは【念力】という名を持った超能力であった。
銃は捻じれて壊れ、戦車はひっくり返され、爆弾はすべて不発になった。
ナイフを持ち突撃しても、いつの間にか首や四肢が吹き飛んでいる。
それは、あまりにも圧倒的であり、もはや虐殺としか言えないものであった。
政府が危機感を覚え、各国に救援を頼んだ時にはもはや遅く革命の刃は国の喉元まで到達していた。
こうして、世界から一つの国が消えた。
各国はそのことに危機感を覚え、また一部の国は希望を見出した。
その希望は、自国の戦力の増強という実に歪んだものであった。
超能力者一人で一国の軍隊を壊滅させることができる、その結果は軍事大国でなくとも実に魅惑的なものであった。
しかし、超能力を持った赤子は一万人に一人という極僅かな可能性でしか生まれない。
さらに追い打ちをかけると、超能力は先天性のものだ。
生まれつきにその能力は決まり、後からその能力を変えることはできず、また能力を増やすことも消すこともできない。そのため、当初計画されていた超能力者だけでできた軍隊というのは夢のように思われていた。
ここで疑問に思っただろう。どうやって、超能力者か一般人かを見分けることができるのかと。
それは、超能力者は、体の一部が変質しているのだ。
例えば、動物の耳が生えていたり髪の色がおかしかったり目の色が変質していたりと、とても見分けがつきやすく、生まれにくくはあったが集めるのは非常に簡易であった。
一部の地域ではその性質のため一時差別なども発生したが、それもすぐに鎮静化した。
それは、超能力者は感情により能力が暴走することが確認されたからだ。
暴走による壊滅事件は世界で325件、その中で41件の事件発生地は今も人が住むことができない不毛の大地となっている。
一面の野原がマグマが煮えたぎる荒野へと変化、または緑豊かな森が魑魅魍魎が跋扈する暗黒の森へと
変化、または人が溢れ活気づいていた街がありとあらゆる場所に罠が仕掛けられた死の街へと変化するなど、能力の暴走は地球環境、もしくは人類の発展に甚大な被害をもたらした。
一部の国はその力にも目を付け、自国の超能力者を集め、そしてESP爆弾として開発を始めた。始めてしまった。
強大な力を身につけているとはいえ、子供は洗脳をしやすい。
ゲーム感覚で殺人を教えられた少年兵などがいい例であろう。それだけに、強力な力を持った子供であっても扱いやすかった。
そして洗脳された超能力者を特攻させ、意図的に能力を暴走させて敵の主要地を壊滅させる。そんな非人道的な作戦が次々に組み上げられていった。
そして、その研究の末にて生まれてしまったESP爆弾をかけて第三次世界大戦が始まってしまった。
きっかけは、一番最初に生まれた超能力者である青年。
その理由は、自分の力は神に選ばれたものによるものであり、その同志である仲間が下等種に虐げられるのを見過ごすわけにはいかないといったものであった。
理由を聞けば聖人のごとく聞こえるかもしれないが、この青年の自惚れによるうかつな行動が原因で世界大戦が始まってしまったということを忘れてはいけない。
青年は数十人の超能力者を率いて隣国へ出撃、それを見た各国はついに侵略が始まったと勘違いし、世界を巻き込んだ戦争へと発展してしまった。
いままでの戦争事情をひっくりかえすような戦闘が各地で発生し、その被害は凄惨なものであった。
ついには世界の滅亡か、人々の間でそんなことがささやかれ始めたころに戦争は終結した。
世界大戦を止めたのはたった一人、英雄の名は刻ヶ崎刹那。
戦争を終結させたのは、彼女が持つ時間操作という強大な超能力であった。
戦地にて発揮されたその能力は、あらゆる生物を時空の闇にて凍結させ永遠という名の監獄に収監するという、いわゆる先延ばしというものであったがその効果は絶大。
各国の超能力兵士も、また放たれてしまったESP爆弾も凄惨な悲劇を起こすことなく時空の闇に葬られていった。
そして、終戦直後に刻ヶ崎刹那は世界に超能力者専門の学校を創立することを宣言した。
このような悲劇を繰り返してはいけない、そう世界中の国に諭し、国際法によって超能力者は刻ヶ崎刹那により作られた学園に入学されることが義務付けられた。
超能力者を国家、組織、個人を問わず隠し持つことは重罪とされ、またESP爆弾の研究により生まれた技術も平和的活用が期待されるものを除いて全て凍結され、闇に葬られていった。
また、超能力は年を重ねるごとに消滅していくことが確認された。
しかしその期間は果てしなく長く、比較的弱い類の能力であっても百年以上はかかるといった壮大なものであった。
そこで、刻ヶ崎刹那は自身の能力を使い、超能力の年だけを急速に老いさせていくという技術を開発、平均して大学を出るぐらいの年には超能力が消滅した普通の人間に戻れるということが可能になった。
こうして平和になった世界。
だが、いくら平和になろうとも世界から悪意が消えることはない。
この物語は、人々に、世界に復讐を誓う最悪の破壊系統超能力保持者連合―――――――
「―――頑張ってますね~」
―――を影から見つめて嘲笑ったりするステルス能力者の話。
言われなくてもわかってるって?
すいません。
一章ごとに出来上がり次第、投稿します。