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♯3

「う、うわぁああああ!!」

俺はたまらなくなり悲鳴を上げてその場から逃げ出した。


「誰だ!?」

先ほどの男も俺の声を聞いたのか俺を追いかけてきた。


「くそっ!なんでこんなこと…」

俺は必死で走った。

もうすぐだ!ここからあと5分で家に着く。

俺は後ろを確認しつつ走った。


「待てよ!見たんだろ!」

男は叫びなが走って追いかけてくる。



「はぁ…はぁ…」

もう少し…あと3分…。


それからさらに走る。


残り1分…。

もうすぐだと安心したその時、男は何かに気づいたのか立ち止まり呟く。


「ローラースケート…」

呪文なのか、つぶやいたあとに足から回転する刃物が生え、それがローラースケートのようになった。

男はそのローラースケートで滑り、一気に俺の前まで追いついた。


「あぁ…」

俺はその場で尻餅をついた。

流れ出た涙が頬を伝った



「見たんだろ?」

男の顔を見ることができなかった。

「み、みてない!」

「嘘つくんじゃない!!」

怒り狂った男が俺の真横のコンクリートに腕のチェーンソーを突き刺した。

「う…」

「見たんだろ?」

「あ、ああ…」

正直に答えしかできなかった。

「じゃあ死ね…」

男は無表情で俺を見つめながら突き刺していない方のチェーンソーを俺めがけ振り下ろした。






しかし、いつまでも痛みが来ることはなかった。

つぶった目を開けるとうちの制服を着た少女が回転する刃を鎖一本で受け止めていていた。

「あぶないあぶない~」

余裕の表情で少女はおちゃらけた。

「大丈夫?忍くん?」

「え!?橋田!?」

その少女はクラスメイトの橋田いおりだった。

「忍くんも歳なんだね~。力を手に入れたばかりのネガティブに出会っちゃうなんてさ~」

「ね、ネガテェブ!?」

「そそ。私たち“フノチカラ”っていう能力を持ったものをネガティブっていうの。もちろんちゃんと意味があるのよ。とりあえず、こいつを片付けるわよ!!」

そういって橋田は一気に男を押しのけた。

「ぐあ!」

男は倒れ込む。

「ダメよ新人さん。殺すなら学校でやらなきゃ。あ、でも忍くんはダメよ~」

「うるせぇ!チェーンソーカーニバル!!」

体のあちこちから回転する刃があらわれ、タコの足のように襲う。

「あら。力を手に入れたてでもう技ができるんだ~いいわ~。ほんじゃ~あたしも~♪

でも、スネイクスネイク!!」

地面から生えた無数の鎖が男を襲う。

「くっ!」

瞬く間に男は拘束され、四肢の自由を奪われた。

やがて興奮状態から落ち着きを取り戻し、意識を失った。

「ふぅ…終わったわね…」

清々しい表情の橋田。

しかし、俺は何も言うことができなかった。

「な~に?どぉしたの?」

そこでようやくしゃべることができた。

「…あ、ああ」

「あ~これのことか~」

橋田は鎖をくるくる回しながら意地悪そうに言う。

「ああ…その鎖は…」

「あ~これはね~“フノチカラ”っていって一種の超能力よね。んで私の力は“ザ・チェーン”。

鎖を自在に操り相手を“殺す力”よ」

「え!?」

「そうよ~。殺す力。正確には復讐する力って行ったほうがいいかしら。私たちネガティブは皆固有の能力があるのよ」

「じゃ、じゃ…鹿屋かなでも…」

「ええ。あの子は“イーター”っていって食い殺す力を持っているわ。身体強化系の能力者は珍しいのよ。だいたいは武器蝕合系ね。まぁ~“幻想系”よりは人数は多いわね」

「幻想系?」

「幻想系…何らかの超常現象を利用して殺す能力。例えば…よしましょう。これ以上はあなたの脳がついていかないようだし。ああ、そうそう。私がここまで話したのには理由があってね~あなたも直に覚醒するわよ…」

そう言い残して橋田は去っていった。

俺は訳がわからなくなりその場で立ち尽くすことしかできなかった…。




それから30分後、俺は家のベッドでさっきのまでの出来事を思い出していた。

戦う二人…。

ネガティブと名乗る能力者たち…。

そして「直に覚醒する」という橋田の言葉…。

俺も人殺しになってしまうのだろうか…。

そう思うと怖くてたまらなかった…。











「返して…」

知らない女の子が悲しそうな顔をしながらなん度も繰り返した。

「私の居場所を…」

「何を言ってるの?」

「あなたは奪ったの…パパとママを」

「君は一体…」

「詩乃…」

「しの?」

「私の名前…

あなたは私の命を奪い、私のいるべき場所に入り込んだ…

あなたの恐ろしい力…生まれながらにして“フノチカラ”に覚醒した…偉業の存在…

“ザ・チェンジ”

存在を無理やり交代させる力…」

「俺が…君を?ん?」

そこで思い出す…今の両親が本当の両親ではないことは知っている。事故で両親を失った俺を母さんのおねえさん夫婦…叔母さんに引き取られた…そして、おばさんには…流産した子がいたのを思い出した…」

「はははは!!」

笑い溢れ出した。

「そうか…君がその子供なんだね…

俺は君を殺したのか…ふふふ…俺が流産させたんだな…はははは!!

ならば、その罪を受け入れよう!

俺は君だ!」

「私は貴方!」

二人は手を重ねる。

そして夢の世界が終わる。

やがて朝が来て俺は目覚めるだろう…。










翌日、俺は…体は…女になっていた。

「なんでじゃぁあああああああああああ!!」


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