1
言わなければわからないことがある。
言わなくても何も変わらないどーでもいいこと、そして…言うか言わないかで物事が左右される“大事”なこと…だ。
フノチカラ
作:おれんじじゅ~ちゅ
キーン!コーン!カーン!コーン!
放課がのチャイムが鳴った。
生徒たちはいそいそと帰り支度を始めた。
部活に出るものはいない。
別にうちの学校に部活がないわけではない。
ただ、みんなやらないのだ。
理由はある不思議な現象があるからだ。
“17時以降に残っている生徒は姿を消す”という現象だ。
毎度起きるわけではないがかなりの高確率で起こるため、今では部活等やるものが居なくなったというだけだ。
俺も怖い。
得体の知れない現象だからだ。
17時以降の学校で何があるのかは気になるが、恐怖には勝てない。
そうして俺も校舎を後にした。
16時30分。
俺は家で宿題に取り掛かろうとカバンを開いていた。
しかし見つからない。
「あれ~?ないな…」
別に明日でもいいじゃないかと思うが、今日出た宿題は量が多いうえに明日までなのだ。
「どうするか…」
少し考える。
16時35分…考えている間に5分無駄にしてしまった…。
「仕方ない…取りに行くか…」
家から自転車で10分のところに学校があるため、俺は取りに行くことにした。
16時50分…教室へたどり着いた俺は机の仲を漁っていた。
「しまった…汚いな…机のなかには様々なプリントが入っていたため、宿題がなかなか出てこなかった。
それから5分後ようやく宿題を見つけ出し、教室を出ようとした時
「あぁああああああああああ!!」
誰かの悲鳴が聞こえた。
いったいなんだというのか?
俺はどうしたらいいのだろうか?
いやそんなのは考えるまでもない、逃げるしかなかろう?
でも…もしさっきの悲鳴のやつを助けることができれば…
いやいや何言ってんだ!
得体がしれないんだぞ?
どうする?
気がつくと俺は悲鳴の聞こえた方に向かって走り出していた。
悲鳴の聞こえた場所はそれほど遠くはなかった。
その教室の扉を開けるか開けないかでまた戸惑ってしまった。
「んく」
つばを飲み込み一気に扉を開けた。
その光景はこの世のものとは思えなかった。
黒い影に人が頭からまるかじりされていた。
頭部は既に食されており黒い影の口らしき場所から首から下がぶら下がっていた。
「え!?」
俺は腰が抜けてしまい動くことができなくなった。
なんだよこれ!?
何がどうなってんだ!?
人が食べられてる!?
「ひぃ!」
何も言えなかった。
そして黒い影はゆっくりと近づいてきた。
「や、やめろ…」
徐々に近づく黒い影、俺は動くことのできない状況。
俺はここで死ぬのだろうか?
さっきのやつのように食べられるのであれば、あっというまがいいな…。
俺は目をつぶった。
やがて目の前に気配を感じた。
突然手のようなものが俺の頬に触れた。
そして
「んふ!?」
唇に柔らかい感触を感じた。
いったいどういうことだろうか?
思わず目を開ける。
すると目の前には血まみれの女の子がいた。
俺はその娘を知っている。
知らないはずがない。
だって彼女は…
「かなで…」
彼女の名をつぶやく
「しのちゃん…」
かなでは寂しそうな表情で俺をみつめる。
不意に口の中に生臭い味が広がった。
「うぇえええ」
俺は気持ち悪くなり吐き出した。
「かはっ!げほっ!」
かなでは心配そうな顔で俺を見つめてくる。
「あぐっ!」
「大丈夫…?」
「大丈夫…じゃな…い!!」
気がつくと俺は立ち上がりその場から逃げ出していた。