第19話:姉妹の誓いと、キラキラ光る受難
独占欲の「聖なる光」
魔術戦での圧勝後、ルインはルイーゼによって自室に連れ込まれていた。
「ルイン君。お姉様を見る貴方の目が、あまりにも優しすぎますわ……!」
「ル、ルイーゼ様? それは単なる礼儀であって……」
「いいえ! こうなったら、誰が見ても『私のもの』だと分かるようにして差し上げます!」
ルイーゼが唱えたのは、魂の契約を強化する独自の聖術。ルインの全身が**「自分専用の匂い付け(聖なる加護)」**によって、常にキラキラと神々しい光を放ち始めた。
「……まぶしい。これでは隠密行動どころか、夜中にトイレに行くのも目立ってしまうじゃないか……」
帝国の罠、そして「至高の毒膳」
そこへ、帝国から「和解の印」として豪奢な晩餐が届けられた。だが、ルインの魔眼は一瞬で見抜く。すべての料理に、じわじわと魔力回路を焼き切る「魔力毒」が仕込まれていることを。
「……やれやれ。これでは料理人が可哀想だ」
ルインは皆が口をつける前に、フォークをかざして広範囲の「癒し(浄化)」を施した。
単に毒を消すのではない。毒の成分を分解し、その分子構造を再構築して「究極の旨味成分」へと変異させたのだ。
「な、なんだこの味は!? 脳が震えるほど美味い!」
一口食べた帝国の料理長は、その場で膝をつき、涙を流してルインに詰め寄った。
「ルイン様! この隠し味は何ですか!? 私は毒を盛ったはずなのに……いえ、私は今日から貴方の『食の奴隷』です!」
暗殺計画は、一瞬にして「ルイン親衛隊・調理部」の発足へと変わった。
姉妹の和解と、ゼノスの婚姻届
一方、廊下の隅ではシルフィアが一人、涙を浮かべていた。
(ダメよ……妹の婚約者なのよ。でも、あの笑顔を思い出すだけで胸が苦しい……っ)
そこへ、すべてを察したルイーゼが歩み寄る。
「お姉様」
「ル、ルイーゼ!? 違うの、これは……!」
慌てて涙を拭うシルフィア。だが、ルイーゼは優しくその手をとり、姉の涙を指で拭った。
「泣かないで、お姉様。他の人にルイン君を奪われるのは、死ぬよりも嫌ですわ。……でも、お姉様となら。世界で一番大好きなお姉様となら、一緒にルイン君を愛せると思います」
「ルイーゼ……。貴女、いいの……?」
「ええ。二人で彼を『守護』しましょう?」
感動の和解シーン。だが、その背後に影のように現れたのは、教頭ゼノスだった。
「主……。姉妹揃っての合意、確認いたしました。至急、この魔界式婚姻届(連名用)にサインを。これで魔王軍の血筋も安泰ですな」
「ゼノス、空気を読め! というか、誰が側室を認めるって言ったんだ!」
全身をキラキラと光らせながら叫ぶルイン。だが、ルイーゼとシルフィアは、既に「二人で一人の夫をどう愛でるか」という会議を始めていた。
「ルイン様、まずはその光るお体を、二人で磨き上げて(お風呂にいれて)差し上げますわね?」
「そ、そうね! 汚れがないか、わたくしもしっかりチェックしなくては!」
「……女神様。私は、魔王だった頃の方が、まだ『平穏』だった気がします」
最強の姉妹に挟まれ、ルインの「逃げられない幸福」という名の地獄が、本格的に加速し始めた。




